第6話 暗躍
「で、竜王様。なぜ私たちはこんなところで密会を?ご用向きは?」
「そりゃぁハーゴンの息がかかってる奴らの目から逃れるためよ。」
「それはいいのですが勇者の墓の前ですぞ?」
「だからいいだろ?ここは竜王の城から来れるんだ。かつての魔王の爪痕、あれを応用して城のいたるところに竜王の爪痕を刻んでここにワープできるようにした。安心しろ、魔王の爪痕はロックしたし、竜王の爪痕は我にしか使えないよう細工してある。」
「私は任務の傍ら、誰にも気づかれずに、って所ですか?」
「そうだ。とりあえず用件だけ言う。我も早く戻らないといけないしな。用件は、大魔道士のボス、ハーゴンについてだ。大魔道士の奴、我の所に戻ってきたときにハーゴンの手紙を渡してきたわ。読んでみるがいい。」
「では、失礼。…切り札、でしょうか?」
「ああ、我に対する賞賛や今後の展望もあるが、このハーゴンの切り札とは一体なんだろうと思ってな?どうやらその切り札のせいで身動きがとれぬらしいが。それにハーゴンとは何者?どんな人物?すべてが謎だ。だが、一つ分かったことがある。これを見ろ。」
「…こ、これは世界地図。それもアレフガルトだけでなく、…これは一体?」
「これは精霊ルビスからの返事だ。」
「え、いつの間に?え?どういう事ですか?」
「我が送った手紙も返事の手紙も、喧嘩腰だったろ?あれはフェイク。本当に伝えたいことはこうして、っと。な?違う文字や図が出るだろ?これは上位の精霊が得意とする術だ。我も幼いころから精霊と付き合いがあったからな、これ位は出来る。下位の精霊や大魔道士程度なら見破るのは困難だ。精霊ルビスと我以外ならハーゴン位だろな、これを見破れるのは。だからこの術を使ってルビスと連絡を取った。で、前の会議で見せた精霊ルビスの本当の返答はこれ、ってわけだ。」
「な、なるほど~。しかしこの世界地図で何が分かりますか?」
「ずばり、ハーゴンの潜伏先、居場所だ。」
「え?分かるのですか?」
「大魔道士の移動方向と期間、地形的に干渉しづらい場所にいるという推定、そしてこの地図。地形的にこの辺りにいるのは間違いない。」
「ロンダルキア、ですか?」
「影にはそこに行ってもらう。最大の目的は奴の切り札だ。それ以外も調べるだけ調べてこい。特にハーゴンとハーゴンの幹部のの実力、特性を。で、一通り調べ終わったらここに行ってほしい。そしてこの手紙とある物を受け取って欲しい。」
「ははっ」
「期間は3ヶ月やる。その間は極秘任務で一時離脱してると伝えておく。ラダトームの監視は影の配下の死霊の騎士が指揮を執るように指示しろ。…頼んだぞ。あ、あと、これも渡しておく。絶対役に立つから。潜入もできるぞ。」
・・・
「…つまり、ラダトームは未だに復旧を急いでいるということか。反転攻勢まで最低もう2ヶ月はかかる、と。」
「おっしゃるとおりです。」
「相分かった。引き続きラダトームの監視を頼む、狩人代理の死霊の騎士よ。…今日の会議は以上だ。次回は2ヶ月後とする。」
・・・
「おい武人、狩人の奴どこ行ったか知ってる?」
「いや、俺も知らん。竜王様曰く、とある極秘任務にあたってるらしい。」
「…その話、私も混ざってよろしいかな?」
「げ、根暗野郎!」
「ふっ、あいかわらず蜥蜴の脳みそは小さいようですね?」
「な、ナニヲ~!」
「喧嘩するならよそでやってくれ。大魔道士殿は狩人のことが気がかりかな?」
「それはそうですよ。竜王様の四天王の一人ですから。それに竜王様のいう極秘任務とは一体なんでしょうね?」
「さぁ?想像もつかんな。…ただ、次回の会議で発表とか?」
「俺も分からん。どこ行ってるんだ?全く目撃情報がない。あいつ影だから普段でも目撃情報無いんだよなぁ~。」
「ふーむ…」
「まぁ、ここにいる誰も知らないなら仕方ないか。俺はドムドーラの様子を見てくるので失礼する。」
「じゃぁ俺はストーンの所に行くわ。根暗は?」
「…それは私の事ですか?私は死霊の騎士に聞いてみます。」
「多分あいつは知らないと思うが。まぁ無駄だけど聞いてみればいいさ。」
・・・
「さて、ここがロンダルキアですか。かなり時間がかかっちゃいましたね。寄り道も考えるとここには1ヶ月程の滞在でしょうか?竜王様やほかの皆さんは元気でしょうか?…あそこに見えるのは、神殿?」
・・・
「…見ない顔だな。おい、そこの新顔、貴様は誰だ?」
「これは悪魔神官様。私は先日から配属になったハーゴンの騎士です。よろしくお願いします。」
「神殿の警備員か。ご苦労である。配置はここで無く、向こうの階段付近だ。配置につくがいい。」
「はっ」
・・・
「はぁ~、今日もハーゴン様は書物庫にこもってらっしゃるのか、いったい何やってるんだろな?」
「さぁ?俺も詳しくは知らんがどうやら…」
「おい、そこの野郎ども!喋ってないでさっさと仕事しろ!」
「は、はいい~!」
「全く、…まぁここは魔境中の魔境だから人間などは来ることはないからそこまで警備は不要と思うがな、お前もご苦労様だな?ハーゴンの騎士よ。」
「これはアトラス様、お疲れ様です。」
・・・
「ハーゴン様、失礼します。」
「お、ベリアルにバズズ、来たか。今日は久しぶりに体を動かす。お前らも付き合え。」
「…こんなものか。そういえば、最近配属されたハーゴンの騎士、なかなかの剣術らしいな。連れてこい。」
「…失礼します。ハーゴンの騎士、参上しました。」
「お、来たか。お前の剣術が見たい。相手は…アトラス、やってみろ。」
・・・
「…ふたりとも、思ったより健闘したな。良かったぞ。ハーゴンの騎士、お前に褒美をやろう。そうだな、…ここにいるやつらは私と話出来るのがステータスらしいからな。少し話をしよう。…そんなかしこまらなくても良い。貴重な時間だ、聞きたいことでもあれば…」
・・・
「あれ?最近ハーゴンの騎士の野郎、見ないな。」
「ああ、定期的に交代で警備してるからな。しかし1ヶ月か。交代にしては早いな。よく分からんが洞窟にでも戻ったのだろう。また別のハーゴンの騎士が来るだろうさ。」




