第5話 精霊ルビス
「竜王様、ひかりのたまを持って帰りました。こちらです。」
「おお、これはまさにひかりのたま。ダースよ、でかした。よくやってくれた。」
「そ、そんな竜王様、皆が見ております。涙は…」
「よい、よいのだ…」
「では私は仲間たちを出迎えますのでこれにて失礼します。」
・・・
「皆の者、大儀であった!…まずは筆頭、ひかりのたまの奪取、見事であった。」
「ははっ、ありがたきお言葉!身に余る思いでございます。」
「続いて武人、狩人、双方らはラダトームの第一王子の首、そして軍部大臣の首。こちらも見事であった。」
「「ははっ!」」
「大魔道士殿も、客人でありながらメルキドへ襲撃、大儀であった!」
「ははっ。我が主のハーゴン様もお喜びになっておると思います。」
「今回の侵攻は成功であった。っと言いたいが気になることがある。」
「そ、それは一体?」
「影の報告によると、ドムドーラに忌まわしきロトの鎧があったそう。だが触れるとこちらがダメージを受け破壊するにも至らずと。これに関しては我がなんとすることにしよう。それまでは武人、お主の手の者で人間の手に渡らないように管理しておくように。」
「ははっ。」
「あと、これも影の報告だが、筆頭の軍に所属するドラゴンがローラ姫を乗せて東の方に行った、とあるが、筆頭、これはどういうことだ?」
「そ、それは、申し訳ございません。私の管理不届きでございます。すぐにでも見つけてこちらに届けます。」
「いや、それには及ぶまい。筆頭を責めることでもないし、別にここに来てほしいと思わぬ。ただ、このまま放置はできぬ。おい狩人、お前はそのドラゴンに事情を聞きに行ってこい。お前なら出来るだろ?それでそのままそのドラゴンに姫を生きたまま持っておけと言え。」
「生きたままですか?」
「生きていればラダトームもさすがに動くだろ?どう動くか見てみたい。どこかに誘拐されたと噂を流すのもセットで頼むぞ。」
「ははっ。」
「そういうわけだから筆頭よ、そのドラゴンを勝手にさばくのは我が許さぬ。良いな?」
「ははっ。」
「あと、こことリムルダールとの間にあった橋が燃えたらしいが、誰の仕業だ?」
「え?私ではありませんよ、竜王様。」
「大魔道士殿ではなく、おそらくラダトーム第三王子の仕業かと。」
「この島の周りの海流は激しいから舟では容易には来れない。進軍するなら橋からと思っておったがまさか人間がそんなことをしたのか?てっきりメルキドのついでに橋も燃やしにでも行ったのかと思った。」
「いやいや、さすがの私もそこまで思いつきませんし、そこまででしゃばりませんよ。」
「それならよい。あと、大魔道士殿。この戦果を今一度、ハーゴン殿に伝えてもらえぬかな?我ら竜王軍が動いたと、そなたの口から伝われば安心するだろう。」
「そうですね。私もしばらく戻ってませんので。お言葉に甘えてハーゴン様の元へ戻ります。」
「今回の侵攻で筆頭のドラゴン達もかなりの被害が出たようだ。しばらくは地場の魔物に頑張ってもらおう。あとはラダトームの様子次第だが、次の侵攻に向けて準備せよ。良いな。」
・・・
「…以上が今回の被害でございます。」
「かなりの規模の被害が出たな。兵もそうだが王太子である第一王子と軍部大臣が、それにローラ姫も、…そうか。」
「さらなる竜王軍の侵攻の可能性がありますので引き続き防衛の準備と、復旧復興のためにもここは臨時復興増税を…」
「うむ、それは止むを得んな。とりあえず防衛と復旧、これはなんとしてでもやり遂げろ。…あと、王妃の催促は全額ではなく極力抑えろ。そんな金あるなら復旧に使うと伝えても良い。しばらく戻って来るなも併せてだぞ。それと第二、第三王子はラダトームに帰還せよと通達せよ。」
・・・
「…まだ竜王と話は通じないのですか?」
「申し訳ございません。一応竜王の配下の狩人に手紙を渡しておるのですが…」
「竜王の真意も不明、ラダトームへ侵攻、ドムドーラを滅亡、メルキドに放火…もはや猶予はありません。急いで竜王に繋ぎを!」
・・・
「影よ、お前に一つ頼みがある。」
「はっ。」
「以前お前が足蹴にした精霊ルビスの使いと連絡取れるか?」
「え!?」
「え、じゃない!…精霊ルビスに頼みたいことがあってな、これは影にしかできないことだ。」
「ははっ。」
「…その手紙を渡してくれ。くれぐれも頼むぞ。あと、大魔道士の手下どもの眼があるかもしれんから精霊の使いに対しては基本的にぞんざいに扱え、よいな?」
「ははっ」
・・・
「…この手紙をルビス様に、ですか。」
「そうだ、頼んだぞ。」
「…これはこれは狩人様ではございませんか。精霊ごときとここでこそこそ、何をやっておられますかな?」
「貴様らは大魔道士殿の手の者だな?控えろ、これは竜王様の命令だ。」
「そういうわけにもいきません。我らが主は大魔道士様であり、教祖様のハーゴン様です。竜王様と精霊の事に関しても無視はできませんぞ!そういう事ですのでやましい事がなければその手紙を拝借いただきたい。やましい事があれば、主の大魔道士様とハーゴン様に報告します。」
「…お前らの言い分も一理あり、か。いいだろう。お前らにも手紙を見せてやろう。」
「では…、こ、これは。あの~狩人様、竜王様は精霊と戦うおつもりで?」
「手紙にそう書いてるならそうなんだろ?」
「…さすがは竜王様ですね。アレフガルトの次は精霊ですか。素晴らしい!」
「そういう事だ。おい、そこの精霊、その旨、手紙と共にしかとルビスに伝えるがいい!あと返事も待っていると!」
・・・
「私のいない間にそのような事が?で、続きは?」
「小競り合いとなり、精霊の使いが弓矢で狩人様の足に矢を射抜き、どこかに消えました。」
「それは面白いな。竜王もやりますね。ハーゴン様もさらにお喜びになるだろう。」
・・・
「ハーゴン様の使いである大魔道士、再び竜王様の元へ戻ってまいりました。」
「うむ、大儀である。」
「ハーゴン様は大変お喜びでした。さすが竜王様です。」
「そうか、それは良かった。」
「さらなる活躍を遠方の地より願っているとの事です。」
「うむ、分かった。大魔道士殿もご苦労であった。下がってよい。」
「ははっ」
・・・
「さて、皆の者集まったか。今回集まってもらった件だが…は精霊ルビスが我らの敵になった。」
「「「はぁ?」」」
「交渉役は狩人であったがアレフガルトの次はお前らだ、首を洗って待ってろと手紙を送ったわ。その返事はこの手紙だ。」
「…竜王様、これは大事ですぞ!」
「はは、筆頭殿、たかが精霊。慌てすぎですぞ。」
「なんだとこの根暗…」
「よさぬか!」
「ははっ、申し訳ございません。」
「狩人、足の具合はどうだ?」
「竜王様、ご覧の通り問題ありません。」
「そうか、精霊だからと言って油断するなよ。ラダトームの監視も引き続き頼むぞ。今回は以上だ。次回は1か月後、議題はラダトームに関する事だ。その時の報告、期待しておるぞ。では解散。」
・・・
「ルビス様、これでよろしかったのですか?」
「ええ、よくやってくれました。」
「竜王相手にそちらこそ首を洗って待っていろって言う返事を送って…大丈夫ですか?」
「そうねぇ、アレフガルトが無事の間は大丈夫でしょう。」
「そんな呑気な…」
「それより、今は領土創生の仕上げが先よ。」




