第9話 勇者候補と竜王の思惑
「これで最後、だな。」
「お疲れ様です、陛下。これで通算1985人ですね。お疲れさまでした。」
「世はもう疲れた。さっさとディナーにでもしたいわ。」
「…あ、申し訳ございません。もう一人残ってました…。」
「おい、まだあるのかよ、クソが!」
・・・
「今度こそ本当にお疲れさまでした。陛下、ディナーの用意をしますので少々お待ちください。」
「…やっとか。おい総理大臣、結局1986人を勇者にしたが、ぱっとしない連中ばかりであったな。」
「無職の浮浪者ばかりでしたから致し方ありません。」
「これで全滅したらまた勇者を増やすのか?」
「そうですね、最初の時よりは軍の体制も落ち着きましたし、勇者が全滅するまでに新参兵の育成も進んでいるでしょうから、勇者があてになら無くなればそのときこそ進軍をしてもよいかと。その時の総大将は王太子様が適任かと。」
「なるほどな、それは良案だな。」
・・・
「おい、総理大臣。最後の勇者を送り出してから1ヶ月は経った。経過報告をしろ。」
「はい、勇者1986名の内、生存確認できたのは20名です。死者は推定を含めると1000名は超えてます。あとは盗賊になり果てた、犯罪を犯し収容されたのが62名、それ以外は行方不明です。」
「…ひどいな、それ。」
「犯罪者は地下にて強制労働に出しております。半数以上は死者になりましたが。」
「…もうよい。最初から勇者どもに期待はしてなかったのだが少額でも国家予算が動いている。勿論、世たちも貴重な時間も使ったしな。それくらいを賄えるくらいの活躍はして欲しいものだ。…仕方ない、総理大臣。今から1ヶ月後に世が認めた勇者どもを集めろ。ラダトームだけでなく各町にいる世の兵どもに連絡を入れておふれをだしてでも呼び寄せるよう手配せよ。」
・・・
「おお、勇者たち!よくぞもどって来た!わしはとてもうれしいぞ!そなたたちならきっと竜王をうちほろぼし平和をとりもどしてくれるだろう!世界のみながその日を待っておるぞ。…さて、本題に入る前に、総理大臣よ、これで全員か?」
「はい、生き残った勇者5名でございます。30番目の勇者カンタタ、467番目の勇者トンネラ…、そして1986番目の勇者アレフ、以上です。」
「…まぁよいわ。5名か。仕方ないか。勇者たちよ、よく聞くがいい。ラダトームが侵攻され、ローラ姫が誘拐され、ドムドーラが滅んで早半年、数多の勇者が名乗りを上げ使命を果たそうと冒険に出たが今の所の成果はラダトームの地下室にあったたいようの石のみであった。世が思うに各自それぞれですべての使命を果たそうと欲張りすぎたことも原因である。そこで世は考えた。ちょうど5つの使命に分けてある。で、ここにちょうど5名の勇者がいる。よって勇者1人で使命を1つ果たす。これなら1つの使命に集中できるだろう。そういうことで、ではその5名に使命を出す。」
「まず勇者カンタタは最も勇者歴が長い、よってアレフガルトに一番精通してるだろうからアレフガルトのどこかにいるローラ姫の救出を頼む。目情報では東の地に向かったらしいからおそらくマイラかリムルダールの近郊だろう。」
「次に勇者トンネラ、お主にはロトのしるしを探してほしい。世が認めただけでは納得できない連中もロトのしるしがあれば黙りよる。ロトのしるしはどこにあるか見当もつかんがこれも重要な案件、頼むぞ。」
「次に勇者ああああ、お主はあまぐもの杖を探してくれ。竜王の島へ橋を作る、これはかつての勇者ロトの伝説そのもの、であればあまぐもの杖は必須じゃ、頼むぞ。」
「次は勇者でろりん、お主はドムドーラに行ってロトの鎧を獲ってきてくれ。ドムドーラにロトの鎧があったらしいが…廃墟になった今でも魔物が跋扈していてもおそらくそこにあるだろう。あれは聖なる鎧、魔物ごときが触れる代物ではないし簡単に壊れたりはしまい。かつての大魔王ゾーマですら伝説の剣を破壊するのに三年はかかっておる。ロトの鎧なら半年では破壊できてないだろうし、触れてもいまい。よって、ドムドーラに向かいロトの鎧を探すがよい。」
「最後に勇者アレフよ、お主はこの中で最も勇者歴が短い。よって一番簡単な指令を出す。ラダトームとドムドーラの中間、ここからだと南西あたりに洞窟がある。そこに盗賊や魔物が跋扈してるらしい。その中にはそなたたちと同じ勇者になり、身を堕としたものがいる。そいつらを一掃しろ。…それぞれが難しい使命ではあるが竜王討伐のためだ、これくらいは朝飯前にやって見せてほしい!以上だ。なお、この使命の期限は半年。未達成でもここにもどるように。では各自、行ってくるがいい。」
・・・
「勇者たちの墓参りが終わりました。出てきてもいいですよ。」
「影、すまんな。まさか密会中に勇者たちが来るとはな。」
「それでですが、ルビス様からもらったこの薬はどうされるので?」
「そろそろ勇者たちの中にローラ姫を助ける奴も出てくる可能性がある以上、こちらも動く。その薬をローラ姫に飲ませろ。いいな?そのために後日、我から正式に指令をだすからジョーカーと共に向かえ。で、見張りのドラゴンはジョーカーのラリホーで眠らせる。その間にその薬を飲ませろ。」
「ちなみにこの薬は?」
「毒薬だ。」
「…毒殺、ですか?」
「もがき苦しむ様を味わらせる。ラダトームの王族の末路にふさわしいだろ?その名目なら他の者も邪魔はしまい。ジョーカーの方は我から言っておく。なお、この薬の事は他言無用だ。いいな?」
「は、ははっ」
「さて、久しぶりの密会だ。ゆっくり長旅の話でも聞かせてくれ。今日は時間を作ったから心配は無用。さぁ!」
「はは、まずはハーゴンの居場所ですが…、ハーゴン本人は…、そして幹部構成は…そしてハーゴンの切り札は…」
「ふーん、想像はしてたが思ったより深刻だな。さて、どうしてくれようか。…思いつかぬな。仕方ない、今回はこれ位にしとくか。次はいい案があったら集まろか。」




