予言者
「聖剣は基本この国で保管しているからな。だから渋々ながらも来たのですよ。宝玉の乙女様。」
「えっ?」
リュウ様の説明を聞いていたのですが、急に違う声が聞こえてきた。
女性の声。
聞こえた声の方に向けば、いつの間にやら女性がいた。
この方は?
「なんだ、ババアいたのか。」
「ちょっ、リュウ様?!」
「相変わらず減らず口め。ありえぬ勇者の癖に。しかし、絶望的な勇者であったが、まさか、宝玉の乙女様を連れてくるとは。」
「なんだ?」
「しかも初代様の欠片をもつ宝玉の乙女様を。」
リュウ様がババアと女性に言っていますが、どう見ても綺麗な女性なのですが。
基本他人には塩対応のリュウ様ですが、何時もよりもこの女性にはひどく冷たい対応な気がする。
そう言えば、今までもババアと言われていた人が居たような。
確か。
「予言者の人。」
「なんと!嗚呼、流石は初代様の欠片をもつ宝玉の乙女様。そうです、私が予言の力を持つ者です。お会いできて大変喜ばしいことです。」
「えっ、あっあの?」
「嗚呼、どこか初代様に似ていますね。」
「えっ?」
「嗚呼、予言が覆った理由がよく分かります。貴方が現れたからこそ、予言が覆ったのですね。初代様のあの時と同じです。初代様が覚醒したからこそ、この世界が生まれたのです。嗚呼、まさか再びその瞬間に立ち会えるとは。」
「えっと?あの?」
「レイ、そのババアはマジでババアなんだよ。」
「えっ?」
本当にって?
聞けば、この女性、初代様の時代から生き続けているとか。
初代様の時も予言者として、勇者を見つけ、そして、初代様の覚醒したことにより、絶望的と呼ばれた未来が覆されたことをよく知っていると。
自分の予言が覆されたことは初めで、それ以来初代様をとても尊敬しており、初代様の宝玉を守りながら初代様のような人物をずっと探していると。
「その為にも勇者の予言をし続けていたのですが、まさかまた絶望的な勇者の時に現れるとは。」
「いや、私は別に。」
「いいえ、あなたがこの世界にやって来てからずっと未来が見えなくなっているのです。今まで見えていたのに。なのに見えなくなっているのです。」
「えっ?」
「こんなこと、初代様の時以来です。彼女は、勇者を助けたいがために力をえて、運命さえも切り開いたのです。まだ幼かった私が見た光です。それがまた見られるとは。長生きをするものですね。」
そう言ってニコニコと笑う女性に、何も言えなくなる。
初代様の欠片を飲んで覚醒したけども、別に私は初代様ではないので。
初代様とはなんら関係の無い、勿論血筋だってある訳がありません。
元々、私はこの世界のものではないので。
なのに、この女性はあたかも私が初代様かのように言ってくるので戸惑ってしまう。




