運命の相手
運命の相手である初代宝玉の乙女を手に入れることが出来なくなったロゼリアの王は狂い、悲しみ、その衝動で大きかった国を半分破壊し、消滅してしまった。
これが、ロゼリア国で今も言い伝えらている話である。
運命の相手を手にすることができなかった王族は狂い、国は衰退すると。
逆に、運命の相手を手に入れられた王族は良き君主となり、国を繁栄させるだろうと。
そんな言い伝えができるほど、初代宝玉の乙女を手にいられなかった王の狂乱は凄かったそうだ。
そして、最後には自ら命を絶った。
その後、その王の弟が新たな王となり、今に続いている。
その末裔のリュウ。
本来なら絶対に勇者では、ありえないのだ。
初代宝玉の乙女を、運命の相手を勇者に奪われた一族の末裔。
1番勇者に遠いはずだったのだが、預言者はリュウが勇者だとはっきりといった。
絶望の勇者だと。
初代宝玉の乙女と共にいた勇者と同じ絶望的な勇者と。
まさか、ありえないと皆が言った。
なぜ、ロゼリア一族の末裔がと。
しかし、今、はっきりと分かった。
「レイ。これ以上ここにいる意味がない。さっさと行こう。」
「何を言ってるんですか?ちゃんとしないと、師匠に怒られます。」
「母上に怒られるのは慣れているから大丈夫だ。」
「馬鹿ですか?馬鹿ですか?嗚呼、馬鹿でしたね。」
「嗚呼、そうだね、レイ馬鹿だ。俺は。」
「はっ?あーもう、意味がわかりません。」
そう言って呆れたように笑うレイちゃん。
嗚呼、彼女。
彼女があのロゼリア一族の末裔であり絶望的な勇者の隣にいる。
初代宝玉の乙女と同等の。
いや、初代宝玉の乙女以上の力を持つ少女が。
あの時とは違う。
あの時は僕のそばに居たのに。
○○。
なぜ、君がそいつの隣に。
「ゴウ様?」
「あっ、えっ、あっ、ごめんね。ちょっとぼうっとしていた。」
「そうですか。もう、リュウ様がゴウ様に言いすぎるからですよ。」
「えっ、あれぐらいいつもの事だ。寧ろ優しいぐらいだけども。」
今、俺は何を考えていた?
レイちゃんが、リュウの隣にいるのはリュウが詠んだのだから当たり前だ。
なのに、なんで、俺の隣に居ないことを不満に思うんだ。
レイちゃんはリュウの為に死ぬ思いで宝玉の乙女に覚醒したのに。
なのに、なのに。
「勇者の血筋。」
「えっ?ゴウ様。」
「いや、なんでもない。」
「レイ、ゴウのことは気にしなくていい。」
「えっ、でも。」
「大丈夫だよ、レイちゃん。色々とビックリしただけだから。」
そう、ただ驚いただけ。
驚いただけなんだ。
そうじゃなきゃいけない。
勇者の血筋だから、レイちゃんに惹かれているなんて。
そんなことあってはならないんだ。




