出発の地
目を開ければ、見知らぬ天井が目に入り、ぐるりと視線を動かせば見知った顔。
この方は。
「ようやく来たか、リュウ。」
「ようやくとはなんだ、早いぐらいだろ?」
「はははっ、そうだな。来ないかもしれないと思っていたぐらいだからな。」
「ハッ、別に来なくても良かったがな。」
「それは困る。そうなった時には俺が命懸けでもお前を引っ張って連れてこなければならなかったからな。」
「だから、聞かせたのか?」
「ん?なんのことだ?」
ニコニコと笑うのはもう出会ったのが遠い昔のようにも思えるゴウ様でした。
ジゼル帝国の王太子殿下。
ここはジゼル帝国の王宮内。
出発は、ここからだと聞き、リュウ様の魔術で飛んだのです。
何故、わざわざここからなのかと聞けども決まりだからとか。
「レイちゃんもよく来てくれた。」
「お久しぶりです。ジゼル様。」
「やだなー。ジゼル様って、父上達も一緒だからゴウって呼んでくれよ。」
「だから、なんで、お前の名をレイが呼ばなければならない!!」
「相変わらずリュウはレイちゃんに対してガードが強すぎるね。それにしても、レイちゃん。本当に、覚醒したんだね。」
ゴウ様はじっと私を見てそういう。
そんなに分かるんでしょうか?
同じ宝玉の乙女だったり、魔力の高いリュウ様のような方は、分かるそうですけど。
「あはは、一応、僕も魔力は高い方なんだよねー。リュウには及ばないけども。」
「えっ、そうだったんですね。」
「だから、レイちゃんが以前と違うのはよく分かるよ。本当に覚醒するなんて。」
そう言いながらもじっと眺めるゴウ様に少し居心地が悪くなり視線を外すが、まだゴウ様の視線を感じる。
そんなに、見なくても。
そうは思うが何も言えず、我慢するしかないかなと思っているとスっと黒い影。
これはと思い目線を上げれば、見慣れた背中。
「ジロジロと俺のレイを見るな。」
「リュウ様。」
やっぱりリュウ様だ。
リュウ様は怒りながらも私を隠すように前に出てくれている。
「そう、かっかすんなよー。これから長い間一緒に居ることになるのにさ。」
「長い間?」
「そう、長ーい間!魔王を倒す旅だからねー。長いよね!」
「へっ?」
「ん?どうしたの?」
「ゴウ様も行くのですか、討伐の旅に。」
「もっちろん、だからこそ、ここに2人は来たんだからね!」
「別にその為に来たわけじゃない。」
「リュウ様?」
「ただ、始まりの地からではないといけないとあのババアがうるさいから来ただけだ。」
ババアとは?
聞けば、魔王の復活や、リュウ様を絶望の勇者として予言した預言者の方のようで。
その方が、旅の始まりは、初代様たちが始めた始まりの地からではないと駄目だと言われたそうです。




