旅立ち
アデル様は師匠の傍によって微笑む。
それを苦笑してみる師匠。
このお2人にはとてもお世話になった。
リュウ様はアデル様に、私は師匠に。
宝玉の乙女とそして宝同石を持つ者としてのあり方や、気の持ち方等を付きっきりで学ばせてもらった。
その間にリュウ様に会うことは無かったが宝同石によって感情は伝わっているから、日々葛藤しながらも修行していたのは知っている。
そしてその修行に付き合えるのはアデル様ぐらいなのも。
王としての仕事もあるはずが、この2週間をなんとか時間をあけ、リュウ様に知っている知識を全て与えて下さった。
そして師匠も、仕事が大変な中、宝玉の乙女の力を私がマスターできるよう力を注いでくださった。
そして今の私達がいる。
まだまだ師匠達には敵わない。
今の私たちでは。
しかし、これからの道中で私達はなによりも強くならなくてはならない。
そのスタートラインに立てれるようにして下さったお2人。
「師匠。」
「レイ、あなたは最高の力を持っているわ。だから、自信を持ちなさい。」
「はい。師匠。」
「そして、このバカ息子の母としてお願いするわ。このバカ息子、リュウをどうかよろしくね。」
「えぇ、分かってます。」
「リュウも、無茶をしてレイを困らせるんじゃないわよ。」
「そんなことしませんよ、母上。」
自信満々にそう言うリュウ様に、師匠は信用出来ないと呟きため息をつく。
この光景はいつも通りすぎて、本当に不思議に思えてしまう。
これから帝国にいき、魔王を倒すための旅に出る前の事なのだと、そう思えなくなってしまう。
でも、もう時間が無い。
リュウ様の転移魔法で、帝国に私たちは行く。
王のアデル様はこの国から離れられないし、師匠もこの国からは離れられない。
ここでお別れだ。
「レイ、リュウ、どうか無事で。」
「最善は尽くしたつもりだよ。後はリュウとレイちゃん次第だ。」
「父上、母上。」
隣を見ても、リュウ様の表情は俯いて分からなかった。
でも、宝同石で感情が伝わる。
複雑に入り交じった感情。
でも、強く感じるのは。
「帰ってきたら婚約式をしないといけないので、父上、母上もしっかりしていてくださいね。」
「はっ?」
「レイと俺との婚約式ですよ。魔王を倒せば止めるものなんて無いんですから。帰って直ぐにするつもりだから。」
「...。はあーーー???」
師匠の絶叫が響く。
嗚呼、もう、強く感じる感情が楽しみだったから何かおかしなことを言うとは思ったけども、今、それを言うとは。
「ほう?じゃあ、その為にもリュウはこの旅の間にレイちゃんを惚れさせないとね!」
「グッ!!!」
流石はアデル様。
師匠は驚いて言葉が出ていないけど、アデル様はしっかりと言い返しているし、リュウ様の痛いところを付いている。
流石は父親ですね。
「はぁー、最後の最後までバカ息子ね!!」
「それが俺ですから。」
「もう、レイ!困った時は思いっきり殴りなさいね!」
「分かってます。リュウ様に容赦はしません。」
「よし!では、行ってらっしゃい!」
「「行ってきます!」」




