気に食わない神
目の前の青年が神だとは思えないがオーラは人ではない。
人ではないなにか。
「お前がレイに力を与えたな。」
「レイ?嗚呼、あの愛し子のことだな。嗚呼、そうだ。」
「愛し子だと?」
レイから漂っていた匂いと同じ匂いがこいつからプンプンする。
嗚呼、イライラする。
愛し子だと?
俺のレイを。
「愛し子は、愛し子だ。俺の愛し子だ。」
「俺のだ??!違う、レイは俺の運命だ!!神だがなんだが知らないが、誰だろうと俺のレイは誰にも渡さない。」
「はぁー、それな、あの子があの子として生きている間だけだろう?あの子が死に、魂となった時にはあの子はあの力を持つが故に俺の元に帰ってくる。だから俺の愛し子だ。」
「なんだと!?」
どういうことだ!?
レイが死んだ後だと?
レイが死んだ時にはこんな神がレイの魂を奪うというのか。
そんなこと。
「許すはずがない!!」
「はぁーー、またか。」
「また、だと?」
「やはり覚えていないようだな。しかし、それでは困る。もし、お前が魔王やらに負けて、死んでしまえば、愛し子は自ら命をたつかもしれない。それはダメだ。自ら命を投げ出すのは罪となり、俺の元に帰っては来なくなる。だから、お前には思い出させなくてはならない。全てではなくとも、今の現状では倒せなくとも、前世を思い出せば、良くともなるだろうからな。」
「はぁ?何を言っている?」
前世だと?
俺の前世を神が知っているというのか?
何故?
「お前は前世も勇者だった。しかも、今回と同じ絶望的な勇者だ。今回のお前は王子だけど、前回はただの平民だったから、無理矢理勇者にされた哀れな男だった。結局誰でも良かった。ただ、お前が少しだけ能力があったから犠牲になるはずだった。しかし、お前は前世でも愛していた女に助けられたんだよ。」
「はっ?その話、もしかして、俺は初代宝玉の乙女の勇者だといいたいのか??」
「察しがいいな。そうだ。お前はあの時の勇者で、最初の女を愛した哀れな男だった。」
「だからなんだ、何故そんなことを言う?」
「お前に思い出させなきゃいけないからだ。愛し子だけに辛い思いをさせたくないからな。」
俺の前世が勇者?
しかもそれが、初代宝玉の乙女とパートナーだった勇者だと?
だからそれが今、何の関係がある?
たとえ、俺の前世が初代宝玉の乙女のパートナーだとしても今の俺には関係ない。
俺にはレイという運命がいるのだから。
「あっ?そう言えば、初代宝玉の乙女も神から力を貰って、そしてレイも今、神だがなんだか分からんが力を貰ったといってた。」
全く同じ状況ではないか?
そして、パートナーとして選んだのが絶望的な勇者であるのも同じ。
全く同じではないか?
これは偶然か?
「そんなわけないだろう?偶然なわけが無いだろうが。」
「あっ?」




