3 開拓
開拓が始まった。乾燥地帯との戦いだった。幾ら水を供給しても吸い込まれるばかりであった。ようやく先が見えたのは半年が経ってからだ。
3 開拓
マリエールは開拓予定地に転移陣を設置して池を作った。アンドロイドを作って開拓に従事させた。半分のアンドロイドは各地で冒険者になった。乾燥地帯の開拓は難航する。マリエールの魔法は強力になったから水はどんどん出る。それでも水は貯まらない。砂漠ではないが何年も雨が振らなかった土地だ。マリエールはアンドロイドのシオンに、
「水は貯まるのかしら。貯まらなかったら開拓できないわ。」
マリエールは泣き事を言う。
「大丈夫ですよ。ここは砂漠ではありません。ただの乾燥地帯です。根気良く水を流せば必ず水が貯まります。」
3日目に水が貯まり出した。一週間経って池は満水になった。水は水路に流れ出したが途中で途絶える。マリエールは弱音を吐く。
「駄目だわ。これでは何時まで経っても開拓できないわ。我々のやってきたのは徒労だったのよ。」
マリエールは何度も弱音を吐く。その度にシオンは、
「池も水が貯まりました。水路もここまで進みました。水流も増しました。開拓は準備です。完成は遠くありません。」
開拓が終わった所に季節に合わせた農作物を植え始めた。冒険者をしているアンドロイド達が種籾や苗木を購入したのだ。
マリエールは弱音を吐なくなった。開拓の完成の目処が立った。完成して作付された部分も多くなった。1万haの農地の完成が間近だ。この広大な農地の完成を控えマリエールの胸にも込み上げるものがある。ここまで開拓を始めて半年、既にマリエール5歳、完成するまでにはマリエールは6歳になっているだろう。
マリエールの元にアンドロイドから連絡が入った。ハロルド商会という総合商会から経営協力に関して相談がしたいと言うのだ。商談ではないのか。小麦1kg幾らとかいう。疑問に思ったが経営協力への相談というものに応ずる事にした。
ハロルド商会の会長は実直そうな人物だった。簡単な挨拶を終え会長は本題に入った。
「共有アイテムボックスというものが魅力なのですよ。瞬時に商品を移動させられる。しかもアイテムボックスの中では時間経過がない。特に食品を扱う者にとっては垂涎物ですよ。経営協力して頂いて家の食品関係の品物を共有アイテムボックスで運んで頂けるなら他所よりも高額で取り引きしても良いし商会を立ち上げるなら協力してもいい。とにかく共有アイテムボックスの援助が欲しいと思って相談しているのですよ。」
会長をテレパスすると嘘をついたり素人を騙したりする人物ではない事が判った。信用するに値する人物だろう。
「こちらも小麦の収穫が迫った所です。信用しましょう。具体的にはここにいるシオンを通して打ち合わせて下さい。取り引きも共有アイテムボックスの協力もシオンに任せます。商会立ち上げのアドバイスもシオンにして下さい。シオンに言って下されば私に繋がります。その後の取り引きもハロルド商会にお願いします。今後ともよろしくお願いします。」
こうしてマリエールとハロルド商会の関係は始まった。
ハロルド商会と経営協力の話し合いをした。要するに共有アイテムボックスの話しだ。他所よりも高額の取り引き価格と商会立ち上げの協力で経営協力する事になった。




