エピソード16
「わぁ、お嬢様ボロボロてすよ。ここ」
パティが目を丸くして言う先には本当に廃墟の様な教会が。
次の日、約束通り町長に案内されて北部からの移民の人達の様子を見に来ました。
教会自体は使われなくなって何年も経っているので、あちこち壁が剥がれたり、窓のガラスがなかったり、屋根に穴が開いたりしていたけれど、もともと頑丈に造られているからこっちも修繕すれば使えるんじゃないかしら。
そのとなりにある孤児院の建物は最低限修繕されて、人が住めるようになっていた。
「良かった、こっちはまだマシですね。
いくらただで住まわせてもらっているって言っても、穴だらけの建物じゃ可哀想ですもの」
パティったら素直すぎるわよ。
せめて後でこっそり言ってちょうだいな。
「ここには何人くらい住んでいるの?」
私はパティの言葉を聞いていないふりをして、建物を見ながら町長に聞いた。
「最初は10人程でしたが、警備隊の面々が町で見つける度に保護して連れてきていますので、今は30人近くになりました」
元孤児院は二階建ての建物で部屋は大小合わせて15、6あるそう。
裏に井戸もあるし、煮炊きできる台所もあるから、ある程度の生活は出来るようだ。
「結構いるわね。
まだ、人は増えそうかしら?
北部の復興も進んで、領民の家もかなり作られた筈だけど」
「話を聞く限りは家族を亡くして村を離れた者が多そうです。
今回の事が大きな心の傷となり、そのまま村に残るのが辛かったようですな」
今回の災害は大きさの割に人的被害は少なかったと皆が口を揃えて言う。
しかし亡くなった人が全くいない訳ではなかった。
村が跡形もなくなる程のひどい嵐と竜巻だった割にはかすり傷で助かった人が大半だったと言うのは確かに奇跡的だったし、全体でみたら被害が少なくて良かったと言えるだろう。
でも個々の話は別だ。
家族を亡くして独りになり絶望する者がいるのも事実なのです。
私は改めてこの災害の惨さを知った気がしました。
「女性や子供もいたりするの?」
「8割方は男です。
女性は3人程保護しましたが、さすがに若い娘を一緒に住まわすのは気になりまして、役場のうらにある納屋を貸しています。
子供も一緒にそちらの方に」
さすがに女性は少ないようだ。
それはそうよね、いくら暖かくなってきた時期とはいえ、着の身着のまま何日も野宿をしながら北からここまで旅をするのは女性には辛すぎるだろう。
「食料なんかは?それと衣料品とか」
「保護した時は皆びどい格好をした者が多かったですから、最初は町の人達も皆同情して着なくなった衣服や手拭いを提供してくれましてね。
食料は数日に1回役場の者が届けています。
町民の寄付も結構役場に届きますし」
やっぱりマルクスの人達は優しいわね。
「皆にお世話になったわね。
ありがとう町長」
「この町はリディアーヌ様のお陰で特に領主様からの覚えもいい町です。
これくらい当たり前ですよ」
「これからは私も頑張るわ。
皆が快く北部の人達を受け入れてくれたなら、彼らがちゃんと生活していけるように私も手を貸さないとね」
その後、中の様子や彼らの健康状態を確認したり希望なども聞いて戻る事にする。
帰りに納屋にいると言う女の人達の様子も見るつもりだ。
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