第28話 厄災の正体
この国の厄災とは___
「邪竜の復活」である。
邪竜の復活がなされ、討伐、または封印がなされない場合、
世界は混沌を極める。
我が国だけの問題ではないのだ。
竜をルーツとする我が国は、王族は龍の血を引いていると言われる。
王族に近いノクスヴァルト公爵家も然り。
なので竜眼を持つ子供が何代かに1度生まれる。
封印する力を持つ魔導士、賢者の血筋が宰相家のルーンベルク家。
賢者という血筋から頭脳明晰、政治力に長けることから宰相として国の政治の中心に常にいる。
でも本来は邪竜を「封印」する、というのが本来の役割なのだ。
これまで、邪竜は抑えられ、世界はことなきを得ているのだが、
それは、この三家の犠牲に基づくものだった。
どうやっても、今まで、この三家の厄災を防ぐ使命を負った3人は
助からなかったのである。
ナイトフォールが言っていた、3人が犠牲になる。
それは確かに今まではその通りなのだ。
いわゆる王家は邪竜の復活の際に、
邪竜の依代となる宿命にある。
敢えて依代となり、生まれ持った浄化の力をもって
邪竜をひたすら浄化し、ただの竜へ戻す、という役割だ。
依代になれるのは王家のもので浄化の力を持つもののみ。
今回はレオノーラである。
そして浄化しきれなかった場合は、邪竜に取り込まれてしまう。
その場合に、邪竜を攻撃する役割が、公爵家、今回はエイミー。
弱ったところを封印するのが宰相家、今回はヴェルとなる。
ただ、邪竜を攻撃したものは、その呪いを受けて死すこととなり、
邪竜を封印するものは、自らの命と体を封印のために使う。
封印された王家の者は、龍と一緒にそのまま封印される、
すなわち、死と同義なのである。
今、眠っている封印された邪竜もそのようにして封印されたのである。
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「そう、二人とも、よく聞いて。
今回は、きっとうまくいくわ。
私が邪竜を浄化し切ることができたら、
そもそも竜は大森林に帰っていくはずなのよ。
それを信じて欲しいの。
母様は、私の浄化の力を封印しなければならないほど強かったんだって。
だから、きっと邪竜を浄化し切れるって言っていたわ。
だから、ギリギリまで攻撃をせず、
封印もしないで欲しいの。
私はあなたたち二人を犠牲にするつもりはないわ。
そして、私自身も犠牲になるつもりなんてないの。
だから信じてちょうだい。
お願いよ。
今回は、隣国の王太子と、
ナイトフォール?だっけ?
彼らの邪魔というか、陰謀が割り込んできてしまっているけれど、
私が邪竜を浄化できれば、彼らの思惑はそもそも実現しないわ。
邪竜を使って、封印させず、自分達の意のままに
操ろうとしているのだと思うけど、
そんなことさせない。
私の引き渡しを求めているのは、
私を先に亡き者にすれば、竜脈を乱せば、邪竜が勝手に復活する、
そう思っているのだと思うわ。
だからその前に邪竜を浄化するわ。」
「レオノーラ、オレはお前に言っていないことがある。
というか言おうと思っていたが、お前が聞かなかっただけなんだが、
___オレには前世の記憶がある。
その前世で、この国の話は物語になっているんだ。」
「それはどういうこと?」
「私もそれは聞いてないわ」とエイミー。
「だから、オレはこの物語、ストーリーを知っているんだよ。
でも、でもその物語の中でオレはフェンリルになっていないんだ。
宰相家の次男は人間のままのはずなんだ。フェンリルではないんだよ。
だから物語がちょっと、というかだいぶ変わっているんだ。
そして『ナイトフォール』っていう存在もそもそも物語にでてこないんだ」
「ヴェル、どういうこと?よくわからないけど、前世のヴェルって何?」
「だから、オレは昔別の世界で『有賀 真』っていう存在で、
ナイトフォールは『内藤』っていう前世での知り合いなんだよ。
そいつの呪いでオレはフェンリルになっているんだ。
だからストーリーはそもそも変わっているのだから、
オレ達の宿命は変わるんじゃないか、
そもそももう変わっているのかもしれないって思ってるんだ。」
「......よくわからないけど、「ナイトフォール」が実は鍵になるかもしれないってこと?」
「エイミー、その通りだ。」
「でもどうやって?」
「必ずあの黒フードの男、ナイトフォールが現れるだろう。
その時に、そもそもの目的を聞く。
オレがあいつの望みを叶えられたら、何かが変わると思うんだ。」
「でもヴェル、あの時の様子を見るとあなた相当恨まれていそうよね?」
「それなんだが、全く心当たりがないんだよ。」
「あなた、またルーンべルク家特有の『ど天然』で
忘れてるっていうか全く気づいていないんだと思うわ。」
「そうか?そうかもしれんが、
まずは、何か変化する可能性があるって思っていて欲しいんだ。」
「わかったわ。ヴェル。
でも、私がまず、浄化をする、ということについてエイミーもヴェルも同意して欲しいの。
最初から手を出さないって約束して欲しいの。」
「わかったよ」
「わかりました」
さぁ、封印の地に向かうわよ。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
レオノーラの作戦は果たしてうまくいくでしょうか?
もしレオノーラと黒柴フェンリルの旅ももう少しで完結。
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次回も、どうぞよろしくお願いいたします。




