第26話 ミイラとりがミイラに
「ナイトフォール教団...」
「レオノーラ、何か知っているのか?」
「まぁ....王太子殿下は、彼らを調べていて、逆に洗脳されてしまったのかもしれませんね。」
とエイミー。
「あぁ、ミイラとりがミイラになった、だな。」
とヴェルが呟く。
「我々の旅の途中で、ナイトフォールという男が接触してきました。
私を暗殺しようとした暗殺者の女が言っていた『彼の方』というのは、
おそらく王太子殿下のことではないかと。
彼女は彼からあの短剣を賜ったのでは.....」
私が言うと、続けてエイミーが付け加える。
「ナイトフォールという男は、
『彼の方』を配下に置いている、という雰囲気でしたね。」
「何と言うことだ....我が国のどこまでが、支配されてしまっているのか.....」
「殿下の侍従は間違いなく王太子派になっていたようですね。
彼は昔からの侍従なのですか?」
「いや、今までの一番近しい侍従と護衛が流行病にかかってな。
しばらく治療に専念するということで、
今回は彼が着いてきた、というわけだ。」
キースが、
「敢えて第二王子が視察で不在のタイミングを狙ったとも言えますね。
そして、さらに視察先で第二王子も亡きものにする、という計画でしょうか。
貴国の騎士団長とは以前から懇意にしておりましたが、
彼はそんな計画にのるような奴ではないはずです。」
「情報がないことと、連絡がとれないのがなんとももどかしいな。」
すると、エイミーが何かに気づいたようで、
「ルド!」
「レオノーラ様、ルドが参りました。」
ルドヴィクが、いつの間にかするりと馬車の荷台に入ってきた。
「レオノーラ様にご報告いたします。
ナイトフォール教団について、少し情報が入りました。
彼らは「邪竜」を崇め、世界を支配するという思想のようです。
我らが王国の竜にまつわる伝説を調べ、その力を得ることを目的としています。
その力を得て、我が国だけではなく、その先の国、
ひいては全世界を支配下に置くと豪語しているようです。
また、隣国の騎士団長、
および騎士団の精鋭部隊は王都を離れ、第二王子を捜索に出発したとのこと。」
「それは、暗殺のために?」
「いえ、騎士団は新国王に忠誠を誓わなかったそうです。
近衛騎士団は新国王に従っているようですが。
残った騎士団はいくつかの小隊になり、王都を離れています。
我が国の国境付近に向かっているとの情報があります。」
「やはり、あいつは大丈夫だ。義に熱い奴だ。」
とキースが頷いた。
「ルドヴィク、大義でした。
捉えたあの侍従からなにか情報はありましたか?」
「レオノーラ様、申し訳ありません。
あの後、尋問をしようとしたら、黒いモヤになって消えてしまいました。」
「やっぱりね」
「やはりな」
「レオノーラ様、
ルミナーラからの移動手段については私が準備しております。
ロッソの窯の親方のところでお待ちしております。」
「じゃあエイミー、また後で」
とルドは消えていった。
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「レオノーラ、聞いてもいいか?」
「ええ、殿下」
「邪竜とは何だ?」
場の空気が凍った。
ヴェルとエイミーが押し黙る。
「殿下、それは全てが終わってからお話しいたしますわ。」
レオノーラがはっきりと告げた。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
完結まであと6話となります。
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