第24話 隣国の陰謀
「ルド、出てきてくれる?」
エイミーの一言で、
天井からスッと一人の男が現れる。
殿下の侍従兼護衛が剣を構えたが、
「必要ない。敵意は感じない」
と彼を抑えた。
「お初にお目にかかります。
ノクスヴァルト公爵家嫡男、ルドヴィク・ノクスヴァルトと申します。
レオノーラ様に急ぎお耳に入れたいことが。」
とチラとアドリアン王子に目を向けたが、
「大丈夫よ、ここで話してちょうだい。」
「はい、アドリアン殿下にも関係のあるお話ですので。
レオノーラ様、
我が国の国王陛下と第一王女殿下が何者かに囚われました。」
エイミーと私以外の、
全員の顔色が変わった。
私は、先ほどエイミーに話を少し聞いていたのだ。
「ただ、今は、国王陛下と第一王女殿下の身の安全は保証すると。」
「一体誰がそんなことを?」
アドリアンが叫ぶ。
冷静にルドヴィクが答える。
「あなた様の国の第一王子殿下です。」
「____なぜ兄上が?!」
「第一王子殿下、つまり王太子殿下は、自らのお父上、国王陛下を殺害し、
自らが即位なさったそうです。つまりは王位簒奪が起きたと。
そして、何らかの手を使い、
我が国の国王と第一王女殿下を捕らえたということのようです。」
その時、そばにいたアドリアン王子の侍従が、
突然王子に切り掛かった。
「何をする!」王子が叫ぶ。
とっさにエイミーが体術で侍従を蹴り飛ばし、
飛びかかったルドが腕をつかみ反対方向にねじ上げる。
ボキリという低く鈍い音と、侍従の唸り声が響く。
自害しないように猿轡をし、縛り上げる。
「一体どういうことだ?」
アドリアンは呆然としている。
「ルドヴィク、続きを。」
レオノーラが促す。
「は。この大使館内の者は全てすでにこの侍従により、殺害されております。
そして、アドリアン第二王子殿下の暗殺を命じられていたようです。」
アドリアンは侍従を振り返り、驚愕の顔をしている。
侍従は諦めたようにぐったりとしていた。
「なんということだ....私の国がなんということを....」
「ルドヴィク、相手は何を求めているの?」
「レオノーラ様の身柄です。
レオノーラ様を引き渡せば、国王陛下と第一王女殿下を解放すると。」
「そう。」
少しの沈黙ののち、
「民の様子は?」
「ヴェル殿の実家、宰相家と、我が父、ノクスヴァルト公爵家が一丸となり、
政治的な部分と、戦力の部分で国民が安全であるように手を尽くしております。
まだ軍隊は、国境付近にいる状態であり、戦にはなっておりませんが、
一触即発ではあります。
こちらはお二人が人質に取られていることもあり、動けない状況なのです。」
「そう、わかったわ」
「殿下、そういうことなので、私は今から行方不明ということになります。
ご協力いただけますか?
とはいえ、あなたも、侍従に暗殺された、という体で、身を隠していただきます。」
レオノーラがはっきりした声で、
「チームレオノーラは灯台の爆破事件で行方不明。
第二王子アドリアン殿下も侍従と共に行方不明。
大使館は何者かによって制圧。
灯台の爆破と大使館の事件について、
チームレオノーラの捜索と、
隣国の王位簒奪クーデーターとの関連を騎士団が調査中。
というのがとりあえずのシナリオになるわ。」
「ルド」
エイミーが凍りついた表情で王子の侍従を見ながら話しかける。
「この侍従はあなたに預けるわ。
いかようにでもして。最大の情報を引き出してちょうだい。」
「承知」
レオノーラが振り返って皆に伝える。
「さぁ、これから王都に戻るわよ。
申し訳ないのですが、殿下もご一緒いただくことになりました。」
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
展開がちょっと変わってきましたね....
完結まであと少し。
最後まで書き切りました。あと8話ほど、お付き合いください!
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