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【完結】追放された第二王女、辺境王領の監査官になる 〜毒舌黒柴フェンリルと暴く王国の陰謀〜  作者: 柴門そら


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第22話 灯台と赤い海

海辺のレストランで、外で閃光が光った。

その後赤い光が放たれた。


どう見ても異常な光だ。


なにごとかと窓から外を見たら、

灯台のあたりの海面が赤く光っている。


「キース!あれが今日話していた灯台守が消えた場所ね?」


「はい、その通りです!」


「殿下、我々はあの灯台に向かわなければ。みんな、行くわよ。」


「私も行こう。」


アドリアンが立ち上がる。


「殿下、

殿下をお連れするわけにはいきません。


殿下をお連れしては、国同士の問題になりかねません。

私を護るために、ここにいていただけませんか。

私は大丈夫ですから。」


「.....ではせめて船を用意させてくれ。

あと他に必要なものはないか?」


少し考えて、

「では」と耳元で話をする。


「え?それは一体なんのために?

ああ、聞いても答えてはもらえぬか。

まぁ、承知した。」


いつもの仕事用の動きやすい服に着替え、船着場へ急ぐ。


「こっちだレオノーラ!」


「きっとペンダントで浄化すれば元に戻るんじゃないかしら。」


「そうだな、そのペンダントをはめる石碑が見つかれば、 だが。

今回はよくわからない状況だな。」


「あえて、竜脈を浄化させるためにおびきだされてるのかしら。

でも彼らにとって竜脈は浄化されないほうがいいのよね。わざわざ竜脈を乱しているのだから。

矛盾するわよね。


今回はテイラーの目撃情報だけで、とくに何か街に問題があるわけではなさそうだし。」


「お前が狙われている、ということはこの前の爆発から予想はできるが。」


「確かに、今回は純粋に罠と考える方が妥当よね。」


「それでも行くのか?お前は港に残るっていう方法もあるんだぞ。」


「そうしたら、誰があれを浄化するのよ。

あのまま竜脈がおかしくなったらどうするの。」


「確かに竜脈が乱れれば魔物は増えるし海も荒れるが。」


「だから私が行くしかないのよ。

未然に防げるならそれに越したことはないでしょう?」


そう言って、殿下が準備してくれた小型の船に乗り込む。


今回もトーマスは、港で待機だ。

またしょんぼりとしていたが、

船が使えなくなった時に迎えに来てもらうためだ。

本人はまた文句を言っていたが仕方がない。


キースが船を漕ぐ。その船の先にヴェルが立つ。

すでにフェンリル化していて白銀の毛並みが赤い光を反射して炎のように見える。


海面が血のように赤くなっている。


「気味が悪いわね。」


灯台がある小さな島に船をつける。


「キース、あなたは一度港に戻ってトーマスと合流してちょうだい。

そして念話でこちらから連絡するまで待機していてちょうだい。」


キースが船を漕いで港へと戻っていくのを見て、灯台の方に向き直った。


灯台に灯りはついていないが赤い光で照らされているので道は見える。


「本当にほぼ灯台しかない小さな島なのね。」


「そうだな。今までの流れで言うと祭壇か祠がありそうな気はするが。

通常、灯台は灯台守が生活しているから、礼拝のための場所がある場合が多い。

まずはそれを探してみるか。」


そっと灯台に入ってみる。


「ん?なぜかパンの匂いがするな。」


「よし!成功ね。

ヴェル、そのパンの匂いをたどってちょうだい。」


「おい、オレはフェンリルの姿だが、

特に嗅覚がいいわけではないぞ。

もとは人間だからな。」


「でも好きなものはわかるんじゃない?」


「まぁ。確かにそうかもしれんが。

人の気配はないのになんでパンがあるんだよ。」


灯台の入り口から石造りの階段をそっと足音を立てないように登る。

窓から赤い光が入り、なんとか足元は見える。

私たちの影がゆらゆらと波のように揺れている。


3階くらいのところで、ヴェルが、


「この部屋だな。

ちょっと待ってろ。」


と黒いモヤになって部屋に入っていった。

中からカチャリと扉が開く。


「ビンゴ!ここが礼拝堂だ。こんな小さな灯台に、

こんな立派な礼拝堂があるのも珍しいな。」


「確かにそぐわないくらいの贅沢な作りね。」


そこには祭壇と石碑があった。前回ルミナーラの教会でみたものとほぼ同じだ。


そしてその部屋の真ん中になぜか焼きたてと思しきパンが鎮座している。


「なぜにパン?」


「そうね」


その疑問をスルーする。


「まずは祭壇を見てみましょう。」


「いったい何なんだ。

オレが見に行く。そこを動くな。」


ヴェルが祭壇に近づいていく。


「うーん。確かにお前のペンダントを埋めるための窪みはあるな。

それにしても人の気配も魔力の気配もない。

罠だとしたら誰か待ち伏せしていても良さそうだが。」


「ヴェル、私がペンダントを石碑にはめるから、

あなたはそのパンのあたりにいてもらえる?

パンは動かしちゃダメよ。食べてもダメよ。」


「いや、こんな怪しいパン、いくらパン好きでも

食べようとするやつなんているかよ。」


「そして、ペンダントをはめたと同時に結界を張って欲しいの。

祭壇からこちら側に向けて。」


「わかった。確かに祭壇にペンダントを入れたらお前が来たってことになるから、

それが起動のきっかけになるのはありえるな。」


「そうでしょう?

でも私以外がペンダントをはめてもきっと何も起こらないわ。」


「でもそれはあまりに危険だ。

この前みたいな爆発なら、

さらに威力を強くしている可能性だってある。」


「そうね。でもなんとかなると思うの。」


「お前のその変な自信と大雑把なところ、

なんとかならないのかよ。」


「大丈夫よ、私は敏腕監査官なんだから」


「この場合、まったく監査官ていうのは関係ない気がするけどな。

だが、オレもこの前の時から呪いが弱くなっているから、

結界は多分前回よりは強く張れるとは思う。」


「それは安心ね。

じゃあ、いくわね。3・2・1で1の時に結界を張って。

それと同時にエイミーに念話を送ってちょうだい。呼ぶだけでいいわ。」


「エイミーに?」


「そうよ、これは絶対に忘れないで。3・2・1の1の時よ!」


「お、おう、なんかよくわからんが、わかった。」


「ヴェル、いくわよ。3・2・1!」


カッと緑の光とともに結界が張られた。それと同時に赤い閃光が光る。

私はそれと同時にヴェルのそばまで飛び退いた。


『エイミー!』


とヴェルが叫んだ瞬間に、ものすごい勢いで爆発が起きた。


ヴェルが私に覆い被さり、爆風の音が聞こえた。


ーーーーー



そして、暗い静かな場所に私たちはいた。


「あいたたた...」

「ゲホッ、な、なんだ?一体どうなってる?」


「ヴェル、重たいわ。」




「レ、レオノーラ?」

「レオノーラ様!ヴェル!」


見上げたら、

アドリアン王子とエイミーがいた。


「よかった。うまくいきましたね!」


エイミーが涙目だ。


「エイミーありがとう。

本当、間一髪だったわ!」


ヴェルも立ち上がり、

私も埃だらけのまま立ち上がった。


「一体どういうことだ?」


アドリアンが目を白黒させて驚いている。


「転移魔法陣なのです。これ。」


ここは、最初の爆発事件があった路地裏だ。

ここにエイミーと、アドリアンに待機してもらっていたのだ。


「パンを用意しろとか、侍女殿をここに連れてこいとか。

まったく驚きだ。眩しく光ったと思ったら、急に現れるのだからな。」


「オレだって聞いてないぞ。」


ヴェルが小さな犬の姿に戻りブルブルしながら埃を落としている。


「ふふ、言ってないもの。」


広場から海の方を見ると爆発した煙が立ち上っていた。


「はぁ、無事に戻って来れて良かったわ!」


「.......おい、何か忘れてないか?」


「「「あーーーーーー!!!!キースとトーマス!」」」


慌てて無事だとヴェルに念話で連絡してもらって、港へと駆けつけた。


「ひどいですよ!どれだけ心配したと思ってるんですか!」

トーマスがおいおいと泣き崩れ、


キースは、

「よかった、妖精姫、無事だった・・・」

とはらはらと涙を流していた。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。


灯台、吹き飛んでしまいました・・・

作戦の共有は大事ですよね。あとでレオノーラはこってり絞られることでしょう。


もしレオノーラと黒柴フェンリルの旅を

もう少し見守ってもいいと思っていただけたなら、

ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです。


次回も、どうぞよろしくお願いいたします。

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