第20話 短剣の謎
婚約発表のちょっと気まずい雰囲気の中、
全然気まずそうじゃないアドリアンから調査の話になる。
「ああ、そういえば私に聞きたいことがあるとのことだったが」
ああ、助かった。
この雰囲気なんとかしたかったのよね。
殿下、救いの神!
「殿下、そうなんです。仕事の話になってしまうのですが。
エイミー、例のものをお見せしてちょうだい。」
「は、はい、レオノーラ様」
といってエイミーは、
別の部屋に置いてあったものをとりに部屋を出た。
しばらくして、戻ってきたエイミーは、
布に包まれたものを差し出した。
テーブルの上に置き、そっと包をほどく。
そこには繊細な装飾がされた短剣があった。
「殿下、これを見ていただきたく。」
「ふむ、わが国独特の細工がされているが
....これを一体どこで?」
「私の命を狙ったものが所持しておりました。
というかその短剣で命を狙われたのです。
しかも丁寧に特殊な毒まで塗られておりました。」
アドリアンの顔が険しくなった。
「なんということだ....
もうわかっているかもしれないが、
この短剣は、わが国の王族、またはかなりの高位貴族しか持てないようなものだ。
しかも、これは、単に護身用とか装飾のためのものではない。
多分、儀式用の剣だと思う。
通常は、護身用や身分を示すものとして作らせることが多いのだが、
これはちょっと違うようだ。
このことを知っている者は?」
「このメンバーと、調べてもらったエイミーの親族くらいでしょうか」
「承知した。」
しばらく考え込んでいたが、
「レオノーラ、あなたとの婚約を発表すべきなのか、まだ伏せておいた方がいいのか、
なかなか微妙なところだ。
公表すれば事態は大きく動く可能性があるが、君に危険が及ぶ可能性も高くなる。」
「なるほど、では殿下は、
王族もしくはそれに連なる高位貴族が絡んでいるのは
間違いないとお考えなのですね。」
「ああ、そうなるな。儀式用となると、神殿も視野に入れる必要がある。
神殿にも高位貴族も、王族の縁者も多い。
あと、魔術師団か。彼らは魔道具として利用することも考えられる。
王族や貴族だけではなく、神殿や教会、
魔術師団などの組織も含めて警戒する必要がある。」
魔術師、教会と聞くと、確かに今までの流れからすると納得するところもある。
どちらも関係していそうだ。
「あんたはこの件に関係ないって言い切れるのかよ。」
ヴェルが突然口を挟んだ。
「ヴェル、不敬よ」
「レオノーラは黙ってろ。
実は王子が一番怪しいといえる立場なんじゃないか?」
「お前のいうとおりかもしれんな」
とふっと笑った。
「だったらどうする?」
「ちっ、オレはお前をはなから信用していない。
少しでも怪しかったら容赦はしないからな。」
「ヴェル、いいかげんにしてちょうだい。」
「いいんだ、レオノーラ。
ヴェル、私も君を全く信用していないよ。
何でも知っているような顔をしているけれど、
世間知らずな君ではレオノーラを守ることはできない。
いいかげん、理解するんだな。」
とその時窓の外で何かが光り、大きな音がした。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
やっぱり仲の悪い二人.....
ヴェルのスピンオフ短編も公開しています。
本編の裏側や、旅の始まりに繋がる物語ですので、
気になる方はぜひあわせてご覧ください。
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次回も、どうぞよろしくお願いいたします。




