第15話 エイミーとヴェルの密談
エイミーとヴェル視点です。
<エイミーとヴェル視点です>
閉まったドアを見つめながら、
「あいつ、一体どうしたって言うんだ?
なんかおかしくないか?」
「そうですね。確かに。」
(レ、レオノーラ様、まさか、まさか、まさかのまさかですか?)
「普通、何でオレが犬の姿になったのか、とかまずは聞くもんじゃないか?
呪いの話もしても良かったけど、資料がどうとかって。
どういうことだよ。
まぁ、これで納得するならそれでいいけどな。
説明も面倒だしな。
そのうち話す機会もあるだろうし。」
(ヴェルが鈍くて助かったわ。
レオノーラ様の鈍さもたいがいだけど。)
「そうだわ、私もヴェルに話があったの。」
「何だ?」
「レオノーラ様を狙ったあの狂った女が持っていた短剣。
覚えてる?毒が塗られていたやつよ。
あれは隣国の細工みたいだって話をしたわよね。」
「ああ」
「あの時は言わなかったんだけど、実は実家にあの短剣を調べてもらったの。
婚約者のルドがこの前、こっちに来ていたから頼んでおいたのよ。」
「さすが諜報の一族。それで、どうだったんだ?」
「あれは王族クラスが持つような代物よ。
そんな物を、あの殺し屋の女が持っていたってこと自体もおかしいんだけど、
今回の件、隣国が絡んでいるっていうのは確かにありなのよ。
でも、下手をすると隣国の王族も絡んでいる可能性もあると思う。」
「アドリアン、か。」
「うーん、アドリアン王子は、私の見立てでは直接は絡んでいないと思うのだけど、
こちらの情報があまりストレートに伝わるのも、危険度が増すかもしれない。」
「はー、そうだな。
オレのこのフェンリル化の呪いが解ければ、
もう少し動きやすくなるとは思うんだが」
「あ、でも念話とか、影に入るとかって便利だから、そのままでもいいのでは?」
「人型に戻っても同じことはできる。
なんなら今の方が力が制御されてるからな。多分いつもの6割くらいしか使えん。」
「あなた、なかなか有能なのね。
確かにこの厄災に絡む使命を負って生まれるって言うのは伊達じゃないのね」
「ああ、修行はめちゃめちゃ厳しかったがな」
「それは、私も同じよ。血を吐くような辛さだったわ」
「あと、もう一つ。レオノーラ様にこの厄災の件はまだ話さないで欲しいの。
レオノーラ様は何もご存じない、というかきっと記憶を封印されていると思うのよ。
ヴェルの力ならそれを解くことはできると思う。
ただ、あの時の、ペンダントと王妃様の件の時の
レオノーラ様の発作を見たでしょう?
その記憶の封印が、
ご自身のものなのか、王が絡んでいるのかがわからないのよ。
王の意図がまだ読めない。
その状態で記憶が戻ってしまうと取り返しがつかないかもしれないわ。」
「お前が記憶の封印を安定させているんだな?
あの普通の頭痛薬の薬湯を飲ませながら。」
「そうよ。そうしないとレオノーラ様が壊れてしまうわ。」
「ヴェル、今日のみんなでの打ち合わせの時、短剣の話は共有する予定よ。
ただ、アドリアン王子がいない時に話をするわ。」
「いや、ちょっと吹っかけて話をしてもいいかもしれないぞ」
「あいつは、もし敵でなければ、ある程度政治的にレオノーラを守ることができるはずだ。
今のオレたちに足りないものはそれだ。権力者の後ろ盾はいくらあってもいいからな。」
(ええ、あなた、あの二人の政略婚を応援するってこと?
ヴェルは自覚なしだから、そうなるのよね。
うわ〜、ちょっと面倒なことになってきたわ〜。)
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
レオノーラ、ヴェル、エイミー、これからどうなっていくのでしょう...
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