第10話 望まぬデジャヴ
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しごできエイミーは、侍女と王家の影のダブルワークを淡々とこなす
〜辺境監査官・第二王女付き侍女の日常〜
(追記:短編ランクインしました!ありがとうございます!)
『出てきたぞ。気づかれないように追うぞ。トーマスは馬車で待機。』
(なんで私だけいっつも待機なんですか...)
「トーマス、馬車で追うとなった時には、トーマスがいてくれないと困るんだ」
肩をぽんぽんと叩くキーズの言葉で、しぶしぶ馬車へ向かう。
「はやく!見失っちゃうわ」
『俺はレオノーラの影に入る』
テイラーは街中を迷いなく歩き、
街の中央の噴水広場まで来て、いきなり小走りになった。
『見失うな!』
こちらも小走りで追う。
テイラーは路地裏に向かって行く。
すると視界にするりと背の高い男が入ってきた。
「やぁ、レオノーラ殿、奇遇だね」
ぎゃぁぁぁぁ!
こちらもデジャヴ。
天敵、爽やか腹黒イケメンだ。
「あ、あら、アレンドラ王子殿下?なぜここに?」
『王子?』
(王子?)
キースとヴェルが驚く。
「いやぁ、大使館がこの近くなのだよ。視察をかねて街を歩いていたところだ。
偶然にも妖精姫に会えるなんて、今日はなんて幸運な日なのだろう!」
と芝居がかったセリフを吐いた。
(ああ、テイラーを見逃してしまうじゃない!なんでこんなタイミングで。)
「ア、アドリアン殿下、左様ですか。わたくしも嬉しゅうございますが。
ですが、申し訳ありませんが、わたくし、只今任務中でございますので、
ちょと失礼させていただきますわ。」
と進路をくっと変えて、前に一歩前に出たら、
ぐっと腕をアレンドラに掴まれ引き止められた。
急に前に進めなくなったことに驚き、
(いったい何してるのよ?この人?)
「な、何ですか?」
「失礼、レオノーラ殿、任務?任務とはどういうことですか?」
(はぁ?急いでるのよ。見てわからないのかしら。)
「殿下、今はお話しする時間がございません。」
と言って、数歩前に進み、テイラーが入っていった路地裏に目を向けた瞬間、
カチッという音と、赤い光が見えた。
『逃げろ!』
とヴェルの念話。
路地の建物の上から木材やら資材がガラガラと落ちてくる。
そして路地裏奥からカッと赤い光が溢れ、
『爆発するぞ!』
とヴェルが私たちの前に飛び出し、
とっさにフェンリル化して結界を張った。
爆風と破片が飛び散る。
建物と建物の間、上方向に爆風が上がっている。
「ヴェル!大丈夫?」
砂埃の中、エイミーがとっさにヴェルに認識阻害の魔法をかけた。
昼間のこんな街中でフェンリルが出たら、さらに大騒ぎだ。
『エイミー。助かった。』
ヴェルはフェンリル化を解いて私の影に戻る。
(ヴェルこそ助かったわ。ありがとう。結界がなければ私たちも含めて怪我人が出たはずよ。)
レオノーラはほっと息を吐いた。
結界のおかげで周りに被害はない様子だ。
路地裏は瓦礫で塞がってしまい、テイラーの行方も見失った。
(誰かに意図的に妨害されたようね。)
「レオノーラ殿、無事か!」
アドリアンがゴホゴホと咳き込んで砂埃の中から声をかけてきた。
王子の護衛も駆けつけてきた。
「今の爆発はいったい?そして今大きな獣が見えたような気がするが...」
その言葉にかぶせるように、
「アドリアン王子、お怪我はありませんか?
まずは安全のため大使館までお送りしましょう。
馬車がございますので。」
「いや、本当にすぐそこなんだ。大使館は。
護衛もいるし私は大丈夫だ。怪我はない。
まだ続けて爆発があるかもしれない。あなたこそ、危ないだろう!
一度大使館に避難するのはどうだろうか。大使館なら警備もしっかりしている。
あなたをこんな危ないところにおいてはいけない。」
「いえ、私は大丈夫です。先ほども申し上げましたが、任務ですから。
では私たちは騎士団の詰所に向かいますので、
これにて御前失礼させていただきます。」
『トーマス、馬車を広場まで回せ』
(了解)
広場でアドリアンと別れ、一番近い騎士団の詰所に向かう。
すると爆発の音を聞きつけて、こちらに騎士が向かってきていた。
馬車を止めて、キースがことの次第を伝える。
私たちも現場に引き返すことにした。
以前のテイラーの目撃情報の話を聞くより先に
騎士団と一緒に現場を確認した方がいいだろう。
さっきはまずはアドリアン王子と離れる必要があったし。
馬車の中でヴェルが呟く。
「あんなに堂々と昼間から狙ってくるとはな」
「狙うって?どういうこと?」
「あいかわらずポンコツだな。何が超絶敏腕監査官だ。
狙われているのは、レオノーラ。お前だ。」
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望まぬデジャヴもありましたが、みんな無事でよかった...
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