第5話 第二王子アドリアン
晩餐の部屋に入ると、
二人の男が立ち上がった。
一人は領主だろう、
もう一人は、私の...
「レオノーラ殿下、お久しぶりでございます。」
と私の手を取り、指先にキスを落とす。
ぎぇえええ、
天敵キター!
「レオノーラ殿下、相変わらずお美しい。
天から舞い降りた天使、それとも妖精でしょうか。」
ゾゾゾゾゾっと背中が寒くなる。
領主と言えば、私とこの男を交互に見ながら口をぱくぱくしている。
「アドリアン第二王子殿下。お久しゅうございます。
確か、2年ぶりでしょうか。」
「では早速ですが、晩餐にいたしましょう」
領主の言葉で、席についた。
「お二人はすでにお知り合いだったのですね」
「「ええ」」
食事のサーブが始まった。
こう言った席だと食事の味が感じられない。
というよりコルセットきつすぎで食べられなさそう...
「ところでアドリアン殿下、ご到着は明後日とお聞きしておりましたが。」
「いやぁ、レオノーラ殿下が今回いらっしゃると聞いて、
いてもたってもいられなくなりまして。
公務を必死で終わらせて、馳せ参じましたよ。
少しでもあなたと長く時間を過ごすために。」
と爽やかな笑顔で答えるこの男、
アドリアン第二王子。
もう一度言う。
彼は私の天敵だ。
この男のことが、私はとても苦手なのだ。
容姿端麗、文武両道。
でも、王位には興味がなく、
王太子を支えると公言している。
第二王子として非の打ちどころがない完璧な王子
との評判だ。
金髪碧眼、背も高く、まさに絵に描いたような王子様だ。
「いやぁ、お二人が並ぶと絵になりますな。
さっき、お二人のあまりの美しさに驚いて言葉が出なくなってしまいました。」
「ふふ、レオノーラ殿下は、我が国では『妖精姫』と呼ばれておりましてね。
あ、実は私が呼び始めたのですよ!」
(かー!妖精姫?信じられない。お前だったのか、その名前を広げたやつは!
どえらい迷惑!おかげで釣り書きが山のようにきて大変だったんだから。)
と心の中で思い切り毒を吐いた。
あ、エイミーの視線が怖い。
アルカイックスマイル、スマイル、スマイル....
何とか晩餐を終えて、
戻る時もアドリアン王子に
なぜか部屋の前までエスコートされる。
まぁこれが普通のことなのだろうけど。
「ではお休みなさいませ」
「あなたも良い夢を」
扉を閉めて。
足音が遠くなったのを確認して、
「はぁぁぁぁぁー」
と大きなため息をついたのだった。
「レオノーラ様、そんなに毛嫌いしなくても。
素敵な王子様じゃないですか?」
「本気で言ってる?エイミー。
私の超絶優秀な監査官としての勘が、ノー!
と言っているのよ。」
「別に悪い人じゃないと思いますよ。」
「それはそうなんだけど、
腹黒いと言うか、得体が知れないと言うか。
目の奥が笑ってないタイプ?」
「まぁ確かに、得体は知れませんね。
さあさあ、湯浴みをして今日はもう休みましょう」
「ふう... そうね、エイミー。
それにしても、このコルセットって本当に辛いわ。
官吏の服か、または官吏ってわからないような、
地味な動きやすい服しか日頃着ないから
本当にぐったりよ...」
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