第3話 レオノーラの試練
そうこうしている間に、領主の屋敷についた。
中から執事が恭しく出迎えてくれた。
「レオノーラ様、ようこそ、ポール・ヴァルメールへ。
ようこそお越しくださいました。
この度のルミナーラでのご活躍、
この街まで聞こえてきております。
今回、レオノーラ様をお迎えできること、とても光栄です。
領主、そして使用人一同、心より歓迎申し上げます。」
なんだかこんなに丁寧に出迎えられること、
あまりないから恐縮しちゃうわ。
「出迎えありがとう。私もこの街に来ることができて本当に嬉しく思っています。
しばらく滞在しますが、どうぞよろしくね」
と伝えたら、
執事の視線が私の斜め下方向を向いていた。
そして、少し驚いたような声で、
「あの...その小さな黒い...子犬でしょうか?」
「あぁ、この子はヴェルといって私たちとともに王領セレーヌから来たの。
おとなしいよい子なので、部屋で休ませても大丈夫かしら?」
「は、はい。もちろんでございます。毛布やクッションなどをご用意しますね。」
さすが動揺をみせないわね。
やはりこちらもさも当たり前のように通すことがコツだわ。
「食事は人間と同じもので基本大丈夫よ。
後ほど侍女のエイミーから詳しい話をお伝えするわね。」
「かしこまりました。
それでは、お部屋にご案内します。こちらへ。」
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部屋はかなり良い部屋だ。
南の港町というのもあって、明るい軽やかな雰囲気だ。
王都はやはり、重厚さや、煌びやかさを重要視するけれど、
私としてはこういった軽やかな雰囲気はとても好ましい。
王都に戻りたい気持ちもあるけれど、
こういった風通しの良い雰囲気は憧れる。
「今日の晩餐には領主も戻りますのでその時に改めてご挨拶させていただきます。
お湯の準備ができております。そして軽食のご用意もさせていただきますね。」
「ありがとう。旅の埃を落としたいので助かるわ。」
執事は一礼をして出て行った。
キースもトーマスも部屋に案内されたようだ。
とヴェルが言っていた。
警備も大丈夫そうだから、
今日はキースの部屋にいるらしい。
なんか男同士の話があるとかっていってたけど。
こういう時、念話って便利よね。
なんて思って振り返ったら、
エイミーが、
手をワキワキさせながら
嬉しそうにこちらを見ていた。
完全に獲物を狙う目だ...
諦めよう。
ここにいる間の美容に関しては
エイミーに任せよう。
(というかそうせざるを得ない)
「レオノーラ様!さぁ、晩餐の前に磨き上げますからね!」
ぎゃぁぁぁぁ...心の中で叫んだが、
湯船に放り込まれ(いや本当に放り込まれたわけではないけど)
湯船に浸かりながら、頭や腕をゴリゴリマッサージされる。
「ぎゃー!エイミー、
痛い痛い痛い!」
「レオノーラ様、このくらい普通です!
みんなこの痛みを通り抜けてきているのですよ。
このくらいで叫んでいたら次のマッサージは
耐えられませんよ。
痛みなくして小顔なし!
いやーアイテムボックスに美容グッズ一式入れてきて
本当に良かったです。
いきなり買いに行くのも難しいですから」
涙目の私を
さらにぐりぐりとマッサージをするエイミー。
髪も香油でパックしてるらしい。
いい香りだから許す。
「さぁ、今度は全身をマッサージしますよ!」
お風呂から出たら、
部屋にいつの間にか準備されていた
マッサージ用のベットにうつ伏せにされる。
「ねぇ、これもアイテムボックスに入れてきたの?」
「もちろんです!」
ドヤ顔のエイミーが怖い。
香油でマッサージと聞くとリラックスというイメージなんだけど、
エイミーの場合は、まるで苦行か修行なのよね。
叫び声をあげつつ、多少抵抗もしてみたが、
最後は疲れ果てて眠ってしまった。
「レオノーラ様ー!」
はっと意識が戻る。
結構寝てたかも。
「さぁ、今度はドレスに着替えますよ」
どこから出してきたんだい!と思うようなドレスを持ったエイミーがいた。
「これもアイテムボックスに入れてきたの?」
「そうですよ。今日の晩餐用ならこのくらいで大丈夫かと」
「えー、それコルセットして着るやつよね。
たくさん食べられないのやだなぁ」
「そういうわけには参りません!」
ぎゃぁぁぁぁぁ。
レオノーラの叫びが響く。
あっという間にコルセットを締められ、
ドレスを着付けられたのだった。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
いつもコルセットなしだったんですね、レオノーラ...
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