第22話 ギルドと小麦農家
ブランデーが効いたのか、
それからはぐっすりと眠っていたらしい。
「よく眠れましたかー?レオノーラ様。」
「ええ、意外に眠れたわ。流石に昨日の事件の部屋では眠れなかったでしょうけど。
新しく部屋を準備してくれてありがとう、エイミー」
今日は早くにロッシの窯の親方の伝手で、人が来る予定だ。
「今朝は、流石に食欲がないわ」
「それでは、飲み物だけご用意しましょう。
馬車の中でも食べられるようにサンドイッチを準備しておきます。」
「それも多めで頼む」
と横から朝ごはんにパンをもぐもぐ食べるヴェルの声。
相変わらずパン好きだ。
濃いめの紅茶で目を覚ます。
昨日の襲撃がなんだか遠い日のような気もしているが、
私自身とペンダントが狙われていることは確かなのだ。
------
「レオノーラ様、商業ギルドの方がいらっしゃいました」
トーマスが声をかけてきた。
「わかったわ、まずは応接間にお通しして」
親方の紹介のギルド職員は、ギルドで受付をしているという女性だった。
「....フローラと申します」
少し震えていて、かなり緊張している様子だ。
「レオノーラよ。今日は来てくれてありがとう」
「貴族の方とお会いするなんて滅多にないことなで緊張してしまって...すみません」
(ここで王族とか言ったらひっくり返るかしらね。)
「さて、小麦のことについて聞きたいのだけれど」
「は、はい。なんなりと。でも私からの話だって言うのは内緒にしてください」
「わかったわ」
「私は親方の親戚で、もともと小麦農家の娘なんです。
街に親方がいたので、そこから学校に通えたのもあって、
ギルドの受付と経理として仕事をしています。
畑は父と兄がやっています。」
「なるほど。それで親方はあなたを紹介してくれたのね」
「そうですね。それで小麦の高騰について、でしたか?」
「ええ、高騰しているのは聞いたけど、
ギルドではどう対応しているのかと思って。
いきなりギルド長を訪ねるのも警戒されるかと思ったのよ」
「いや、ひどいものです。
小麦が枯れてきているという話から、
品質に問題があるのではないかと安く買い叩いていまして、
そして不足感、危機感を煽り、卸す値段は上がる一方なんです。
小麦農家たちは不安感が増しています。
買い取ってもらえなければ自分たちも食べていけないですし。」
「そうよね。あなたのご実家の小麦畑は大丈夫なの?」
「いえ、実は隣の小麦農家と隣接する区画だけ枯れてしまったのです。
隣の農家さんは、ほぼ全域が枯れてしまって頭を抱えています。
しかもその辺りでは小型の魔物まで出る状態で。」
「ギルド内ではどんな意見なの?」
「ギルド長と副ギルド長が真っ向から対立してますね。
値上げ派のギルド長と、
まずは原因を突き止めるべきだろうとしているのが副ギルド長です。
国に陳情書を送ったのも副ギルト長なんですが、
先日、彼は何者かに襲われて怪我で動けない状態なのです。
命に別条はありませんが。おそらく圧力をかけられているのだと。
なので私も表立って意見を言ったりすることはできないんです。」
「そう、その副ギルド長が陳情書を...
その陳情書をもとに、私たちはここへ来たのよ。だから安心してちょうだい。」
「本当ですか?よかった...
私でできることがあればおっしゃってください。お手伝いします!」
「では、あなたのご実家とお隣の小麦農家さんの畑を見せていただけるかしら?」
「はい!ご案内します!」
小麦畑を見に出発したが、
相変わらず馬車の揺れがすごい。
揺れの中でぼんやりと考える。
小麦が枯れていること
小麦の買い占めと高騰
商業ギルトと商会
わかりやすい構図だけど、
小麦が枯れていることがまずは第一の要因よね。
それに、
同じ顔の男
黒いフードの男
魔鉱石
ペンダント
彼の方
これが関連している、と考えると、
いや関連していないはずがない。
今回も黒いフードの男は出てくるのだろうか。
誰かの思惑に誘導されているのか、罠に嵌められているのか...
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
もしレオノーラと黒柴フェンリルの旅をもう少し見守ってもいいと思っていただけたなら、
ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです。
次回も、どうぞよろしくお願いいたします。




