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ジャッジメント・マナ  作者: 顕微鏡


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44/46

第44話「勝利の一手」

 互いに地面を蹴る。

 一瞬で間合いが消えた。

 ギィィン!!

 魔力剣同士が激しくぶつかる。

 火花が散る。

 森本はそのまま力任せに押し込んだ。

「っ!」

 透は受け流す。

 真正面から競り合えば押し負ける。

 それくらいは分かっていた。

 だから受けない。

 流す。

 逸らす。

 隙を探す。

「いい判断だ」

 森本が笑う。

「でも、それだけじゃ勝てないぞ」

 次の瞬間。

 森本の左手が動く。

 小型の盾。

 それを利用して透の剣を弾き上げた。

「しまっ……!」

 体勢が崩れる。

 森本は迷わない。

 一歩。

 懐へ踏み込む。

 魔力剣が一直線に迫る。

 透は咄嗟に盾を展開した。

 ガァン!!

 重い衝撃。

 足が地面を滑る。

 観客席から歓声が上がった。

「押されてる!」

「森本優勢だ!」

 透は歯を食いしばる。

 強い。

 一回戦の藤堂とは違う。

 力だけじゃない。

 技術もある。

 焦れば負ける。

『周りを見ろ』

 相沢の声が頭に浮かぶ。

『相手だけを見るな』

 視線を広げる。

 森本の剣。

 左手の盾。

 足運び。

 呼吸。

 全部を見る。

 すると。

 ほんの僅かだった。

 森本は攻撃へ移る瞬間。

 必ず左足へ重心を乗せる。

「見つけた」

 透が小さく呟く。

「ん?」

 森本が眉を動かした。

 次の瞬間。

 森本が再び踏み込む。

 左足。

 やっぱりだ。

 透はあえて一歩下がる。

 森本も前へ出る。

 その瞬間。

 透は盾を低く構えた。

 ガンッ!!

 森本の左足へ。

 盾をぶつける。

「っ!」

 重心が崩れた。

 ほんの一瞬。

 それだけで十分だった。

 透はすぐに魔力剣を握り直す。

 一歩。

 二歩。

 一気に懐へ飛び込む。

 森本も剣を戻そうとする。

 だが。

 間に合わない。

「はぁぁぁっ!」

 透の剣が森本の胸部防具へ叩き込まれた。

 轟音。

 森本の身体が大きく吹き飛ぶ。

 そのまま競技場の外へ転がった。

 場外。

 静寂。

 森本は起き上がろうとした。

 しかし。

 競技場へ戻ることはできない。

 桐生が静かに右手を上げる。

「場外」

 一拍置いて。

「勝者、神代透」

 歓声が響いた。

「神代がまた勝った!」

「Aクラス相手に連勝か!」

「思ったより強いぞ!」

 透は肩で息をしていた。

 苦しかった。

 ギリギリだった。

 だが。

 勝った。

 それだけで十分だった。

 競技場を降りる。

 そこへ桐山が歩いてくる。

「やるじゃねぇか」

「危なかったけどな」

「それでいい」

 桐山は笑った。

「勝つ奴ってのはな」

 一拍置く。

「毎回圧勝する奴じゃねぇ」

 透は顔を上げる。

「ギリギリでも最後に立ってる奴だ」

 その言葉を聞いて。

 透は少しだけ笑った。

「しゃーないか」

 そう呟きながら。

 再び大型モニターへ視線を向ける。

 残る出場者は、さらに数を減らしていく。

 ランキング戦。

 ここから先は。

 誰が相手でも、一瞬の油断が命取りだった。

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