↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ジャッジメント・マナ  作者: 顕微鏡


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/46

第40話「初戦」

第40話 初戦

 第一試合。

 第二試合。

 第三試合。

 ランキング戦は順調に進行していた。

 歓声。

 爆発音。

 能力の衝突。

 会場の熱気は開会直後よりも増している。

 生徒たちは歓声を上げ

 教師たちは評価し

 上級生たちは面白そうに見下ろしている。

 そして。

 神代透は待機席に座っていた。

「緊張してるな」

 声。

 桐山だった。

「してない」

「嘘つけ」

「何で分かるんだよ」

「顔」

 最近そればっかりだった。

 透はため息を吐く。

 確かに緊張している。

 人生で初めての公式戦だ。

 緊張しない方がおかしい。

「次だぞ」

「分かってる」

 透は競技場を見る。

 ちょうど試合が終わったところだった。

 敗者が運ばれていく。

 能力者同士の戦い。

 当然ながら激しい。

 今さらだが。

 ここは普通の学校じゃない。

 能力者育成校。

 強さが全てではない。

 だが。

 強さが重要な場所なのは間違いなかった。

「次」

 桐生の声が響く。

「神代透」

 心臓が跳ねた。

「藤堂優馬」

 会場がざわめく。

 透は立ち上がった。

 いよいよだ。

 競技場へ向かう。

 階段を降りる。

 一歩。

 また一歩。

 歓声が近付く。

 気付けば。

 会場中央に立っていた。

 反対側。

 対戦相手がいる。

 藤堂優馬。

 短髪。

 鍛えられた体。

 透より少し背が高い。

 そして。

 強そうだった。

「よろしく」

 藤堂が言う。

「よろしく」

 透も返した。

 礼儀はあるらしい。

 少し安心する。

 直後。

「試合開始」

 桐生が告げた。

 瞬間。

 藤堂が動いた。

「っ!」

 速い。

 透は咄嗟に盾を展開する。

 衝撃。

 拳。

 盾。

 激しい音が響く。

 観客席がどよめいた。

「身体強化か」

 透は距離を取る。

 相手を観察する。

 相沢の言葉。

 思い出す。

『相手を見ろ』

 肩。

 足。

 重心。

 視線。

 全部を見る。

 すると。

 少しだけ分かる。

 藤堂は正面突破型だ。

 強い。

 だが。

 分かりやすい。

「なるほどな」

 透は呟いた。

 藤堂が眉をひそめる。

「余裕だな」

「全然」

 正直余裕なんてない。

 ただ。

 前より見えている。

 それだけだった。

 藤堂が再び突っ込む。

 右。

 違う。

 フェイント。

 左。

 透は盾を動かした。

 衝撃。

 受ける。

「っ!」

 観客席がざわつく。

 藤堂も少し驚いた顔をした。

 読まれた。

 そう思ったのだろう。

 透自身も驚いていた。

 見えた。

 相沢との訓練。

 桐山との実戦。

 無駄じゃなかった。

 確かに力になっている。

「面白いな」

 藤堂が笑う。

 そして。

 魔力が膨れ上がった。

 空気が変わる。

「本気で行くぞ」

 透は息を呑む。

 今まで本気じゃなかったらしい。

 嫌な情報だった。

 次の瞬間。

 藤堂が踏み込む。

 速い。

 さっきより。

 明らかに。

 速い。

「ぐっ!」

 盾へ衝撃。

 さらに。

 二撃。

 三撃。

 四撃。

 連続。

 盾が軋む。

 腕が痺れる。

 重い。

 痛い。

 だが。

 耐える。

 透は歯を食いしばった。

 負けたくない。

 ここで終わりたくない。

 玲司に。

 美月に。

 隼人に。

 迅に。

 相沢に。

 負けるのはまだいい。

 だが。

 一回戦負けは嫌だった。

 その時。

 藤堂の動きが僅かに変わる。

 肩。

 重心。

 右足。

 見えた。

「そこだ!」

 透は前へ出た。

 藤堂が驚く。

 今まで防御しかしていなかった透が。

 初めて前へ出たからだ。

 盾を叩き付ける。

 衝撃。

 藤堂がバランスを崩す。

 隙。

 透は迷わない。

 踏み込む。

 拳。

 全力。

 藤堂の胸へ突き刺さる。

 轟音。

 藤堂が吹き飛んだ。

 地面を転がる。

 静寂。

 誰も動かない。

 そして。

 藤堂が立ち上がれなかった。

「勝者」

 桐生が告げる。

「神代透」

 一瞬。

 何も聞こえなかった。

 勝った。

 本当に。

 勝った。

 遅れて歓声が届く。

 観客席がざわつく。

「神代勝ったぞ」

「Aクラスだっけ?」

「思ったより強いな」

 様々な声。

 透は息を吐いた。

 全身が熱い。

 疲れた。

 だが。

 気分は悪くない。

 競技場を降りる。

 すると。

「お疲れ」

 美月だった。

「神代くんらしい試合だったね」

「そうか?」

「うん」

 美月は笑った。

「ちゃんと見て勝ってた」

 透は少し照れ臭くなる。

 その時。

「次は俺だ」

 隼人が立ち上がった。

 ニヤリと笑う。

「派手に行ってくる」

 そう言って競技場へ向かう。

 透はその背中を見送った。

 一回戦突破。

 だが。

 ランキング戦はまだ始まったばかりだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。