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ジャッジメント・マナ  作者: 顕微鏡


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39/46

第39話「組み合わせ」

鐘の音が響く。

 学園全体へ。

 観客席へ。

 そして生徒たちへ。

 ランキング戦。

 その開幕を告げる音だった。

 神代透は静かに前を見つめていた。

 広い競技場。

 想像以上だった。

 受験の時に使われた試験場よりも遥かに広い。

 周囲には観客席。

 教師陣。

 上級生。

 保護者。

 数え切れないほどの視線が集まっている。

 思わず喉が渇いた。

「緊張してるな」

 隣から声。

 相沢だった。

「してない」

「嘘だな」

 即答だった。

 透は顔をしかめる。

「何でそんな分かるんだよ」

「分かりやすいから」

 最近よく言われる。

 そんなに顔に出るのだろうか。

「神代」

「ん?」

「負けても死なない」

 透は少し驚いた。

 相沢なりの励ましだった。

 多分。

 恐ろしく分かりにくいが。

「ありがとな」

「別に」

 相変わらずだった。

 その時。

 前方へ教師が現れる。

 桐生だった。

 会場が静まり返る。

「これより一年生ランキング戦を開始する」

 低い声が響く。

 空気が張り詰める。

「ルールは事前説明通り」

「降参」

「戦闘不能」

「場外」

「そのいずれかで決着とする」

 ざわめきはない。

 皆真剣だった。

「以上だ」

 短い。

 だが。

 十分だった。

「組み合わせを発表する」

 その瞬間。

 会場の空気が変わった。

 誰もが待っていた。

 ランキング戦。

 一番気になるのは。

 誰と当たるかだ。

 巨大なモニターが起動する。

 名前が並ぶ。

 透も思わず見上げた。

 次々と表示される対戦表。

 そして。

 透の視線が止まる。

『神代透』

 表示された。

 対戦相手。

『藤堂優馬』

「誰だ?」

 思わず呟く。

「Bクラス二位」

 相沢が答えた。

 即答だった。

「知ってるのか」

「有名だ」

 一拍。

「強い」

 透は眉を上げる。

 いきなりか。

 楽な相手ではなさそうだった。

 その時。

「うわ」

 近くから声。

 桐山だった。

「お前一回戦から当たり引いたな」

「嬉しくねぇ」

「頑張れ」

「他人事だな」

「他人だからな」

 こいつは本当に自由だった。

 その後も組み合わせが発表される。

 透は視線を動かした。

 まず。

 九条玲司。

 相手はAクラス。

 正直。

 会場の誰も結果を心配していなかった。

 玲司本人すらしていないだろう。

 次。

 橘美月。

 Aクラス下位。

 美月も問題ないはずだ。

 そして。

 朝霧隼人。

 黒瀬迅。

 どちらも順当に勝ち上がりそうだった。

 透は小さく息を吐く。

 皆強い。

 分かっていたことだ。

 だが。

 こうして並べられると実感する。

 自分だけがAクラス中位。

 追い付くにはまだ遠い。

 その時だった。

「神代くん」

 聞き慣れた声。

 振り返る。

 美月だった。

「緊張してる?」

「少し」

 正直に答える。

 今さら格好つけても仕方ない。

 美月は少し笑った。

「大丈夫だよ」

「根拠は?」

「神代くんだから」

 透は苦笑する。

 相変わらずだ。

 だが。

 悪い気はしなかった。

「橘」

 そこへ隼人が現れる。

「お前それ全員に言ってるだろ」

「言ってないよ」

「嘘だな」

 相沢と同じことを言った。

 美月が少し不満そうな顔をする。

 珍しかった。

 透は少し笑う。

 緊張が和らいだ。

 すると。

 少し離れた場所から視線を感じた。

 見る。

 玲司だった。

 目が合う。

 一瞬だけ。

 本当に一瞬。

 そして。

 玲司は言った。

「負けるな」

 それだけ。

 たったそれだけだった。

 だが。

 透は固まった。

 周囲も固まっていた。

 玲司からそんな言葉が出るとは思わなかったのだろう。

 本人は気にしていない。

 そのまま歩いていく。

 沈黙。

 数秒後。

「おう!」

 透は自然と口にしていた。

 少しだけ。

 嬉しかった。

 追い付きたい相手。

 その相手から掛けられた言葉。

 それだけで。

 不思議と力が湧いてくる。

 会場中央。

 桐生が再び前へ出る。

「第一試合」

「出場者は準備しろ」

 ざわめきが広がる。

 いよいよ始まる。

 ランキング戦。

 神代透は拳を握った。

 負けたくない。

 勝ちたい。

 いや。

 まずは証明したい。

 自分がここにいる意味を。

 ランキング戦。

 その幕が上がった。

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