表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ジャッジメント・マナ  作者: 顕微鏡


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/22

第13話「異常」

魔獣との遭遇から十分後。

 透たちは現場の封鎖作業を手伝っていた。

 幸い負傷者はいない。

 一般人も無事避難できた。

 だが空気は重い。

 誰もが分かっていた。

 何かがおかしい。

 魔獣は本来、人の多い都市部にはほとんど現れない。

 ましてや東京の管理区域内など異常だった。

「お前」

 桐生の声。

 透が振り返る。

「はい」

「後で説教だ」

「……はい」

 予想通りだった。

 隣では隼人が笑いを堪えている。

「助けろよ」

「無理」

 即答だった。

 現場には既に魔力庁の調査員たちも到着していた。

 特殊な機器を使いながら周囲を調べている。

 透たちは少し離れた場所で待機していた。

 すると。

「なぁ」

 迅が口を開く。

 珍しい。

 自分から話すことはあまりない。

「今の魔獣」

「ん?」

 透が見る。

「変じゃなかったか」

 透は考える。

 そして頷いた。

「確かに変だった」

 ニュースで見た魔獣と違う。

 何というか。

 狂暴すぎた。

「普通はあそこまで人間に執着しない」

 今度は玲司だった。

 透が少し驚く。

 玲司も会話に入るらしい。

「知ってるのか?」

「教本で見た」

 相変わらず真面目だった。

「通常個体と行動パターンが違う」

 美月も頷く。

「私もそう思います」

 その時。

 桐生が戻ってきた。

 表情が険しい。

 かなり。

「先生」

 美月が呼ぶ。

「何か分かったんですか」

 桐生は少し黙った。

 そして。

「まだ分からん」

 そう言った。

 だが。

 その顔は明らかに何かを知っていた。

 日が傾き始めた頃。

 調査は一旦終了となった。

 透たちは帰還する準備を始める。

 その時だった。

 ピピッ。

 調査員の持っていた機器が鳴る。

 全員が振り返った。

「反応?」

 調査員が眉をひそめる。

 機器を確認する。

 次の瞬間。

 顔色が変わった。

「下がれ!!」

 怒鳴り声。

 同時だった。

 地面が揺れる。

「なっ!?」

 透が目を見開く。

 道路が割れた。

 アスファルトが砕ける。

 その下から。

 黒い腕が現れた。

 一本じゃない。

 二本。

 三本。

 四本。

 大量だ。

「嘘だろ……」

 隼人が呟く。

 次々と地面を突き破ってくる。

 異形。

 魔獣。

 しかも。

「多すぎる……!」

 美月の声が震える。

 一体や二体ではない。

 十体以上。

 いや。

 まだ増えている。

「全員下がれ!!」

 桐生が叫ぶ。

 巨大な魔力剣が出現する。

 今までで最大だった。

「車両へ向かえ!」

 生徒たちが動く。

 だが。

 魔獣の一体が飛び出した。

 真っ直ぐ。

 調査員へ向かって。

「っ!」

 透が動こうとする。

 しかし。

 その瞬間だった。

 バチッ。

 妙な音が響いた。

 誰も動いていない。

 なのに。

 魔獣の身体が突然吹き飛んだ。

 轟音。

 地面へ叩きつけられる。

 全員が固まる。

「……は?」

 隼人が呟く。

 何が起きた。

 誰も理解できない。

 そして。

 バチッ。

 再び音。

 今度は別の魔獣だった。

 頭部が弾け飛ぶ。

 一瞬だった。

 桐生の目が鋭くなる。

 知っている顔だった。

「チッ……」

 珍しく舌打ちをする。

 そして。

 ゆっくりと上を見た。

 倉庫の屋上。

 そこに一人の男が立っていた。

 白髪。

 黒いコート。

 赤い瞳。

 風が吹く。

 男は楽しそうに周囲を見渡していた。

「おいおい」

 男が口を開く。

 どこか楽しそうな声だった。

「澱んでんなぁ」

 透たちは息を呑む。

 誰だ。

 そう思った。

 だが。

 桐生だけは違った。

「レーガ……」

 低い声だった。

 その名前を聞いた瞬間。

 透の目が見開かれる。

 ニュースで見た。

 あの。

 特級指定犯罪者。

 レーガ。

 男は桐生を見る。

 そして。

 ニヤリと笑った。

「久しぶりじゃねぇか」

 その笑みには敵意も殺意もない。

 ただ。

 何か面白いものを見つけた子供のような危うさがあった。

 そしてレーガは視線を魔獣の群れへ向ける。

「くだらねぇ」

 そう呟いた。

 次の瞬間。

 周囲の空気が震えた。

 透は全身に鳥肌が立つのを感じた。

 本能が理解していた。

 目の前にいる男は。

 今まで見てきた誰よりも危険だと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ