捉える力を、持つ者
集会では、一人ひとりに役割が与えられた。
爽真は、『地下の呪いを改善し隊』の役割を与えられた!
集会が終わり解散となったので、横にいた一楠に声をかける。
「爽真殿、先程はありがとうございました。
おかげさまで、なんとか動ける様になりました。
ですが、回復したばかりで安静が必要と判断され、今後、爽真殿の付き添いはできそうにありません。
『地下の呪いを改善し隊』の付き添い人は別の方に引き継ぎをしておりますので、少々お時間を頂きたく。
一度、連絡係の加耶さんと共に地下の部屋へ入ることをお勧めします。」
今後の一楠は、無理しないよう簡単な書類の仕事を任せるようだ。
「分かりました。」
爽真は返事をしたあと、加耶さんという人物を大鎧御殿の中から探す事にした。
阿礼とはここで別れ、同行人から外れた。
郡役所には、臨時で追加の場がいくつか用意されるそうだ。
加耶さんを臨時の調理場で発見。
早速声をかけてみる。
「はじめまして、こんにちは。名前をお聞きしても。
...あ!爽真さんというのですね。
私は加耶と申します。何かご用でしょうか。」
「大鎧御殿の地下の部屋の中に案内して欲しい。」
と、お願いする。
「分かりました。では、一緒に行きましょう。」
加耶さんが同行人に追加された!
地下の部屋に入る前に加耶さんと話しながら向かう。
普段、加耶さんは一楠さんと共に地下の部屋に出入りし、患者の食事や世話などをしていたらしい。
歩きながら、加耶さんに幾つか質問をする。
「部屋に入ると黒い霧が襲ってこないか。」
「今まで、私に近寄って来たことはありませんでした。
一楠さんを襲っていた場面に遭遇した時は驚きました。
状況が変わったのでしょうか。気になりますね。」
「部屋の中には何人いるのか。」
「現在は3人でございます。
少数だからと油断せず、気をつけてください。」
「分かった。」
こうして、2人は地下の部屋の前にたどり着く。
「では、開けますね。」
加耶さんがゆっくりと慎重に室内を開ける。
前回と同じく黒い霧で全く見えない。
開けた分だけ、黒い霧が少しずつ漏れる。
爽真は、黒い霧が触れぬように階段の方に思わず後退りする。
加耶さんはその黒い霧に数秒近づく。
「今のところ、いつも通りですね。」
少し観察した後、その部屋を平気でズカズカと入って行く。
不思議なことに、加耶さんの周囲に黒い霧が近寄らない。何か持っているのだろうか。
「あら、いつの間にまたこんなに汚れて。」
加耶さんの目には、その部屋の内部もきちんと見えているようだ。
その様子を見ていると、爽真の命令札が光った。
加耶に向かって命令札を出し、札に書かれた呪文を唱えた!
「ジュカイノビカ!」
爽真の基本スキル『命令札』が発動した。
加耶のスキル『樹海の美化』が発動した。
扇からお札が飛び出し、加耶さんが気合いを入れて地下の部屋を掃除をし始めた!
まずは底に落ちている塵を拾い、患者の周囲にある残飯を始末。
部屋内にあった手ぬぐいで壁と床を拭き、桶に入った水や手ぬぐいを新しいものに交換する。
爽真の目からも、部屋の内部が見えてきた!
なんと、黒い霧が加耶さんが掃除した箇所を避けながら徐々に縮小するではないか!
加耶さんの掃除は3分程度で終わった。
「さて、これで終わり!」
ゴミの入った麻の袋の数はなんと20袋!
脅威の速さだ。
「あ、そうそう。この綺麗さを維持できるのは12時間くらいです。理由は、すぐわかると思います。これからは、表玄関前に臨時連絡する場所を設けますので、そこで声をかけて下さい。夜は見えにくいので、気をつけて下さい。」
「加耶さんは、黒い霧を避けるお守り等を持っているか。」
「いえ?今は何も持っていませんよ。では、他の隊に連絡しなければいけないので。」
加耶さんはすぐにその場を立ち去った。
残念。加耶さんだけ持っている体質なのかもしれない。
加耶さんが、同行人から外れた。
樹海の美化
指定の範囲の空気の風通しを良くし、悪臭や悪の塵を一掃する技。良い環境が維持ができれば、更なる美化力が増える。




