第十七話 急転
「……そういうことか!」
今度はシャスターが叫んだ。
「フローレ、すぐに聖天使ラーを追うんだ!」
シャスターの声にフローレはすぐに動いた。
フローレにはシャスターが焦っている理由は分からない。しかし、シャスターを信頼しているフローレは聖天使ラーを猛スピードで追いかけ始めた。
瞬く間にフローレは見えなくなる。
「俺たちも行こう」
「ああ。間に合えばいいが」
ヴァルレインがシャスターの肩を担ぎ、空に浮かぶ。ヴァルレインにも理由が分かったからだ。
同時にダリアーナも星華を抱きながら空に上がった。
四人はフローレの後を追う。
「いったい、何が起きたのですか?」
飛びながらダリアーナが尋ねる。ダリアーナには皆が焦っている理由が分からないのだ。
フローレが勝利を納めるのは確実だ。それなのに何を焦っているのか。
「申し訳ありません。私のミスです」
質問には直接答えずに星華は謝った。相変わらず表情は暗いままだ。
「星華は何も悪くないよ。逆に助かった」
「ああ。星華がいなければ、俺たちは死んでいたかもしれない」
二人の後継者は星華を慰めている。
ますますダリアーナには分からない。
そんな状況の中、飛び続けていた四人の視界にフローレが見えてきた。
フローレは宙に浮いたまま、呆然とした表情で地上を見つめている。
四人もフローレのもとに辿り着くと、地上に視線を落とした。
その場所について、星華だけが知っていた。
そこは五芒星の後継者の一人、ラティーマ魔法学院の後継者であるルーシェがファルス神聖国の第四聖騎士団を全滅させ、ゴーレム軍団を作った場所であった。
少し前に星華がこの場所に来た時、第四聖騎士団の死体は普通だった。あえて普通という表現をするのは、他の第二や第三聖騎士団などの死体は全て干涸びていたからだ。
その時は不可思議なことだと思ったが、今なら理由が分かる。聖天使ラーが彼らの魂を吸い取ったからだ。
そして、第四聖騎士団の死体だけを干涸びさせずにそのまま残した理由も。
今、地上に横たわっている第四聖騎士団の死体は全て干涸びている。
「一歩遅かったな。クランヴィアよ」
死体の中央には、体力を取り戻したラーが残忍な笑みを浮かべながら立っていた。




