↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/24

制限時間

 トレスは、襲い来る青白い光に身構えた。


 その極太のレーザーを、大剣の腹で受け止める。





「うおおおおおおおおおおお!」





 黒金の刀身がバチバチと音を鳴らし、物凄い力に押される。



 左手で柄を握り、右手で大剣を押し返す。





 『制限解除(リミットオーバー)』をした『龍の頑丈なる力(ソリッドセンス)』は、伊達ではない。


 大剣がどれだけ熱を持とうが、その手は耐えられるはずだ。




 だが、レーザーの破壊力は、別物だ。

 流石に直撃すると、トレスの体は塵と化すだろう。





 そのレーザーの凄まじい勢いに押され、足元と周囲の床が、崩れて吹き飛んで行く。



 それでも、押し負けまいと、トレスは、足を踏ん張り続ける。





「うおおおおおおお!」





 トレスは、更に全身から『龍の頑丈なる力(ソリッドセンス)』を噴き出す。



 剣を握る腕の筋肉が、張り裂けそうなぐらいに膨張する。





 二つの同種の力に挟まれた黒金の刀身は、それでも物ともせず、平然とトレスにその身を任せる。





 トレスの両翼の炎が、トレスを包み込んで体を守ると、その後、一気に翼を解放した。





「はあーっ!」





 トレスの両肩から青白い大きな翼が、バサっと広がった。



 それと同時に、トレスは、真っ黒な二又の龍殺剣を振り抜き、巨大なレーザーを打ち消した――。






 雨も、風も、御社の炎までも――。






 音すらしない――。






 凪が、世界を包んだ。









 そして、トレスの全身から、青白い炎は消え失せ……。




 残り香の様な輝く鱗(シャイニングスケイル)が、体から漂う……。




制限時間(リミテッドタイム)』だ。




 解放した力の終わりを、全身が告げた。







 そして、龍が、怒りの雄叫びを上げる。


 筋骨隆々な体を張り、失った左腕をも掲げた。



「グオオオオオオオ!」



 そして、叫び終えると、悪魔の様な翼をはためかせた。

 少し体を浮き上げ、勢いを付けて降下を始める。




 只々、トレスの事を一点に見つめ、怒涛の剣幕をして突っ込んで来る。







 トレスは、力尽き、幻想を見ていた。





 振り抜いた剣は、重く、地面に突き刺さっている。





 目の前には、大きく口を開いた龍穴――。







 トレスは、龍穴の大穴を背景に、珍しく髪を纏めた女性の姿を見た。




 今にも泣きそうな目で、にっこりとトレスに微笑む。


 すると、彼女は、視線を逸らして後ろを振り返った――。




 太陽が、トレスに背を向けてしまう。





 ――駄目だ!行かないでくれ!





 トレスが、その幻想を掴み取ろうと、一歩前に進み出ようとした。



 その時、左手に掴んでいた重たい剣が、トレスの動きを止めた。


 トレスが剣に気を取られた隙に、女性の幻影は、何処かに消えてしまった。


「ミカ……。」




 トレスは、そう呟くと、剣に向き直った。



 生身では、絶対に持ち上がりそうにない龍殺剣の柄を、両手で握り締める。




「うおおおおお!」




 渾身の力を込め、トレスは、剣を持ち上げる。


「おい!ヘムべロス!力を貸せ!何の為の剣だ!」


 全身の骨が軋む。


 ギギギギギっと、重そうな音を鳴らして、剣を地面から浮き上がらせる。



 後方で転がっていた老婆が叫ぶ。


「トレス!上じゃ!」



 大きな影が、トレスの足元を差した。



 龍が、トレスの真上に降って来る。




「やってやる!うおおおおお!」




 トレスは、上空に息巻き、決死の雄叫びを上げた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。