表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Witches×WitchBot  作者: 三嶋トウカ
訓練

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/25

第9話:魔女到来_4


 『危ない!!』


 ――ドゴン!!


 球の落ちた先で砂埃が舞う。跳ね返った砂と石の欠片がダスティとオーブに当たり、カラカラと音を立てて地面へ落ちていった。

 キャスたちの見るモニタには、砂埃と地面しか映っていない。それもダスティ側のみで、エイナ目線のオーブのモニタにはノイズが走っていた。エイナが目を閉じているのだろう。操縦者が瞬きよりも長い時間目を閉じていると、同期がとれずモニタにはノイズが走る。


「アレフ!? 大丈夫!? エイナさん!? あなたは!?」


 大きな声でキャスが叫んだ。


『……あぁ、俺は大丈夫だ』

『……っ、急に何よ、ホントに……最悪』


 比較的元気そうなアレフとエイナの声に、キャスはホッと胸を撫で下ろした。


『あーでも、ちょっと削れちまったな』

「え?」

『こちらアビー、こちらアビー。至急転送位置まで戻ってください。魔女の反応が消えました。そのまま最初の転送位置まで戻ってください』

『あー、わかった。……今回は、特に痕跡も残ってなさそうだな。悪いアビー。勝手に候補生の一人がウィッチボットに乗って、こっちにきちまったんだ。一緒に転送してくれるか?』

『……確認しました。一緒に転送位置まで戻ってください。同時に転送します』

『すまんな』

『いえ』


 呆れたような、怒ったような声でアビーは一旦通信を切った。


『エイナ、そのまま俺についてこい。帰るぞ』

『……はーい』


 ダスティが空を飛んで戻る。その後を追うように、オーブも飛んだ。


『アビー、戻ってきたから、格納庫まで頼む』

『確認しました。……アレフ、ダスティに破損が見られます。怪我の具合は?』

『それは後でいい。取り敢えず、今は早く格納庫へ戻らせてくれ。コイツが何するかわからない』


 ダスティのモニタにエイナが映った。


『何よ! その言い方!』

『……格納庫上まで移動します』

『よろしく』

『ちょっと!』


 次の瞬間、格納庫の上まで来たかと思うと、真下の魔法陣までゆっくりと降下し天井を抜けて格納庫内へと降り立った。ダスティとオーブはそのまま元居た位置へ戻り、自動的に固定される。胸元からはウィッチコアが外れ、浮かびながらゆっくり降下してきたところをキャスが受け止めた。


 ピピッ。


 聞いたことのある音が鳴る。その音とともに、コアの黒がスモーク状になると、中にいた二人が外側に再構築されるように現れた。


 ピピッ。


 二度目の音。コアの色がダークピンクゴールドへと戻る。中には誰もいない。


「――ただいま、キャス」

「おかえりなさい! アレフ!」

「……」

「おかえりなさい、エイナさん」

「……フン」

「……ふぅ。とにかく、無事に戻ってこられてよかった……って、アレフ、その腕……!」


 キャスの視線はアレフの腕に釘付けになった。二の腕が抉れている。


「大したことないさ。命はあるんだ」

「でも!」


 彼女の視線はアレフの腕から何でもないふうの顔、それから彼の乗っていたダスティへと移った。


「穴が、空いてる」


 候補生たちの視線が一斉にダスティへと移る。彼女の言う通り、機体の右腕には穴が空いていた。人間でいう二の腕のあたりにだ。穴の向こうに壁が見える。


「もうちょっと球がデカいか威力が高いか……もしくはもっと近くにいたんだとしたら、腕は取れてただろうな」

「そんな、あっけらかんと……」


 次に視線が移ったのはエイナだ。どうしてダスティに穴が空いたのか、みんな理由をわかっている。――彼女の乗るオーブを、アレフが庇ったからだ。アレフが庇わなければ、球が機体のど真ん中に直撃して、オーブは中心から壊れていたかもしれない。そうなれば、機体だけでなくエイナ自身も――


「なっ、何よ……何なのよその目……」

「とにかく! しばらくダスティは使えないな。俺も傷の治療が必要だ。俺よりもダスティのほうが重症だから、大事にしてやってくれ」

「もちろん善処するわ。……完璧に直るかどうかは保証できないけど」

「頼む。……こんな幕の引き方で悪いが、俺はちょっと医務室へ行ってくる。……わかっただろ? ウィッチボットに何かあれば、パイロット自身も無傷では済まないことが。良い勉強になっただろ。じゃ、俺はこの辺で。怪我が治ったら、今度はちゃんと研修するからな! 待ってろよ!」

「ありがとうございました‼︎」


 年長者のパスコがお礼を言い頭を下げると、それにわせて各々礼を言い頭を下げた。


「おう! じゃ、また!」


 アレフは腕を庇うことなく、その怪我をした腕を上げて手を振ると、格納庫から去っていった。


「――皆さん、彼の姿を見てわかったように、危険や死と隣り合わせなのがこのパイロットです。ですから、自分勝手な行動や判断は慎むよう心掛けてください」


 瞬時に不穏な空気が流れる。誰も何も言わないが、思っていることは同じだった。キャスもそれに気が付いていて、どうにかフォローを入れようと考えていた。


「んんっ。……えー、エイナさん」

「……何よ」

「今後、勝手な行動は慎んでください。それが、パイロットの、ひいては一般市民の命を危険に晒すことになりかねません」

「……」

「あなたの勇気ある行動は賞賛に値します。自分が助けにいこうとする行動力は素晴らしい。それに、スムーズにウィッチボットへの乗り込みもできていました。これは、あなたがしっかり学んでいたと」

「部屋に戻る」

「えっ? ま、まだ研修は終わってないわよ?」

「体調が悪いので早退します」

「エイナさん⁉︎」

「一人で戻れるので帰ります」


 話を最後まで聞かずに、エイナは足早に去っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ