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Witches×WitchBot  作者: 三嶋トウカ
訓練

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第10話:魔女到来_5


 誰も止めようとしなかったのは、止める隙がなかったからだ。それから、少々の威圧感。みんな、エイナに対して大小あるが、恐怖や不安を感じていた。


「あー……俺、見てきます。この中じゃあ歳も上のほうだし、多分。そういうヤツがいくべきかなって」

「わっ、私もパスコさんについていきます! そ、その、男の人だけだと、やっぱり、声が掛けづらいかな……って」

「それもそうだな。ありがとルリ。頼むわ」

「はっ、はい!」

「……私が行くべきなのかもしれませんが……。同候補生同士、話しやすい雰囲気もあるのでしょうね……お願いします」

「はい。じゃあいってきます」

「私も」

「授業は一旦中止にします! 皆さんはひとまず、教室へ戻ってください。今後の話を少しします。パスコさんとルリさんには、後ほど資料として送付しますね。間に合えば一度教室へ。誰もいなければ、部屋へ戻ってください」


 二人は頷くと、足早にエイナの部屋へと向かった。残っていた他の候補生たちも、ゾロゾロと格納庫を後にする。


「……はぁ。前途多難、ね」


 キャスは一人格納庫へ残り、零れたシードを箱へ戻し、ウィッチボットがきちんと固定されているか確認に回る。


「どうしてエイナさん、これが転移魔法のシードだとすぐにわかったのかしら? 教科書に載っているとはいえ、実物を見るのは初めてのはずなのに……」


 ほんのひとかけら残っていた転移魔法のシードを指で掴むと、彼女は天井にある照明へ向かってかざした。光に当たってキラキラと輝くシードは、まるで宝石のようだ。ただ手に取ってみるだけでもそう見えるが、光を当てるとより一層宝石に見える。色はシャンパンゴールド。気泡はなく傷もないそれは、本当に綺麗だった。


「似たような色のシードは他にもあるのに……。ピンポイントで、どうして……」


 思ったことを口にする彼女だったが、誰もその問いに答える人間はここにはいなかった。


 *****


 そのころ、エイナの部屋の前にて。


 ――コンコン。


「エイナ?」

「エイナちゃん? ルリとパスコさんです」

「なぁ、その、大丈夫か?」

「……」


 エイナの部屋をノックして二人で声をかけるも、彼女からの返事はなかった。


「良くわかんねぇけど、機嫌直せよ。何にも良いことないって。キャス先生だって、起こってたっていうより、心配してたんだろうし」

「パスコさんの言う通りです! 驚いたっていうか……。あの、それに、短い時間とはいえ、ウィッチボットに搭乗しましたから……ちゃんと検査したほうが良いかなと思うんです」

「それは俺も賛成。教科書にもあったじゃないか。やっとくべきだと思うよ? べきっていうか、そうしなきゃいけないってのが決まりなんだけど」


 ウィッチボットへ搭乗したパイロットは、帰還後医師による診察と血液検査が義務付けられている。ウィッチボットは人間が作ったものではなく、発見されたものだ。また、シードも元々人間が扱っていたモノではない。どちらも人体にどのような影響を与えるのか、まだ正確に把握しかねているのだ。その研究のためにもこれらは行われている。作用のわからないシードを使い、右に同じくなロボットに乗り込むことは今でも不安視されているが、生身の人間では魔女に太刀打ちできないため仕方なく使用している節はある。もちろんそのことはパイロットたちも候補生たちも理解していて、理解したうえで任務にあたっているし、あたろうとしている。

 ウィッチボットはパイロットを介して、シードのエネルギーを利用し魔法を使う。そしてウィッチボットを動かす。その結果、何かしらパイロットに影響があることはわかっていて、今のところプラスの作用はない。


「エイナ、悪いことは言わない。一人で行くのが気まずかったら、俺とルリも医務室へついて行くから」

「そうよエイナちゃん。あ、あの、格好良かったです、ウィッチボットへ乗り込んだ瞬間」

「だよなぁ。俺だってあんなにすんなり乗り込めるかどうか……。乗り込むだけじゃなくて、魔法も発動させてたしな、当たり前のように魔法陣だって突っ込んでいったし」

「凄いな……って思いました! 誰よりも先に乗り込んじゃうなんて」

「あんまり褒めたら講師らには怒られるよな。でも、勇気はやっぱりあるよ、それから行動力」


 ワイワイと部屋の前で騒ぐ二人。エイナの話からウィッチボット、アレフ、話はどんどんと変わっていく。


 ――ガチャッ。


「……煩い」

「あっ、ご、ごめん」

「悪い」


 騒がしさに嫌気がさしたのか、エイナがドアを開けた。


「アタシのこと褒めても、何にも出てこないけど?」

「ギスギスしたって面白くないだろ? 良いところはちゃんと褒めないと。埋もれさせちゃいけない」

「わかった風に言わないでよ」

「まぁまぁ。そう怒らない。ドアを開けたってことは、行くんだろ? 医務室」

「……行かなきゃずっと煩いんでしょ?」

「そうなるね」

「一緒に行こう? エイナちゃん」

「……うん」


 意外にも大人しく、エイナはパスコとルリに連れられて医務室へ向かった。元々、行く気はなかった。いったところで『どうして勝手にウィッチボットへ乗り込んだのか』『講師の話を聞かないのか』と、怒られるだけだと思っていたからだ。怒られたくも、小言を言われたくもない。エイナはそういった行為に慣れていなかった。だから避けていた。

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