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Witches×WitchBot  作者: 三嶋トウカ
訓練

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11/25

第11話:実技研修_1


 この日は結局、これ以上授業は行われなかった。翌日、再度実技研修を予定していることを告げ、そのまま解散した。


 偵察、そして情報収集を目的とした出撃で、機体を破損しパイロットも負傷した痛手は大きい。特に、ウィッチボットは構造研究中のため完璧な修理ができない。二機同じ機体が見つかったプロトタイプ:プローベの片方を使い、その構造を調べているものの、設計図や作成に至るまでの資料、完成までの履歴も何もないため時間がかかっている。幸い、素材となった物は星都作成時に一緒に構築されたのか見つかった。だが言ってみれば、安心材料はそれだけしかない。


 なんとなくどんよりとした空気のまま、翌日を迎えた。今日は全員がシードを触りコアへ触れて、ウィッチボットへ乗り込む。但し、昨日の失敗を考慮して、乗り込むまでしか行わないことが決まった。


「おはようございます。今日は昨日できなかった実技研修です。皆さん、お伝えした通り先に着替えたようですね。アレフは療養中なので、今日は別のパイロットをお呼びしています。ブラン先生」

「あぁ。おはよう諸君」


 キャスにブラン先生と紹介されたのは、もう老齢の男性だった。カツカツと杖の先を床に当てて歩いている。年長者と言ったパスコから見ても、自身の祖父母と歳があまり変わらないように見えた。身長はおおよそ百七十と少し、頭髪は白髪のほうが多い。少しひげを生やしてガタイがいいというよりは恰幅がいい体型だった。柔和な笑顔だったが、眼光鋭く候補生たちを見据えている。学者や医者として白衣を着るのが似合いそうだ。


「おはようございます!」


 一瞬圧倒されかけたが、候補生たちは大きな声で挨拶していった。


「あぁ、元気がいいなぁ。……さてキャス。この老いぼれジジィをパイロットとして駆り出すのは、ちと無謀じゃあないか?」

「そんなこと! ブラン先生は、一番最初にこのウィッチボットへ乗り込んだパイロットです。……正確には、パイロットではありませんが」

「ただのジジィだ」

「ジジィじゃありません! 今日は、パイロットの皆さんの定期健診だったんです。……私が忘れていました。なので、誰も捕まらなくて。代わりに経験者であるブラン先生を。それに、ブラン先生は私たち講師にウィッチボットや魔女について教えてくれた講師でもあるんですよ? 講師の講師です。凄いでしょう?」

「ワシはのんびり茶を啜っていたかったんだがなぁ」

「今日だけお付き合いください!」

「仕方がないな、可愛い教え子の言うことだ。……まぁいい諸君。今日はワシが講師を受け持つ。よろしく頼む。……おや。どうやら、一人足りないようだが?」


 ブランは候補生たちを見渡していった。


「……エイナさんは、今日は自室でお休みです。昨日医務室へ来てくれて、検査結果も問題ありませんでした。ですが、初めての搭乗……だったので、念のために休んでもらいました」

「そうかそうか。……きっと大丈夫だと思うがね。キャス、君がそう判断したならそれでいい」

「はい」

「昨日アレフが実際に乗って見せたんだろう?」

「そうです。そのあとすぐに、アラートが鳴ったので出撃しました」

「で、あのザマか……。まぁ、庇ったのは偉かったがな、大事な候補生たちに何かあってはいけない」

「……」

「よし、じゃあまずは全員ウィッチボットの前へ来るように。ダスティは修理中だ。今ここにあるのは旧型のオーブ。昨日あの子が乗ったヤツだ。それから、プロトタイプのプローベ。それからラティオ。まだあるが、現在調査中につき表には出していない」


 ゾロゾロと候補生たちは壁の前にいるウィッチボットの近くへと集まった。右から順に、プローベ、オーブ、ラティオと並んでいる。


「キャス、君はシードとウィッチコアを用意しておいてくれ。それから、ボットスーツ。彼らの着ているものじゃなくて、対魔女訓練用のを頼む」

「わかりました」

「さぁさぁ、みんなきたな? 大事なのはウィッチボットを知ること。全ての機体をよく見て触ってみろ。コアがなけりゃあ動いたりしない。中に取り込まれることもない。安心して触ってみてくれ。それから、何でも構わないからその感想を」


 ウィッチボットを見たことはあっても、まだ触ったことはなかった。誰か最初に触らないかとみんなが思っていたところ、一番最初に動いたのはトウヤだった。


「……冷たいです、それに、当たり前ですけど硬い。昨日見たダスティはツヤツヤして光沢があったけど、このプローベは……光沢がないんですね。肌触りも、サラサラしてる」

「そうだ。全ての機体が同じじゃあない。同じウィッチボットでも、まず加工や素材が違う場合もある」

「確かに……。デザインも違いますもんね。昨日乗っていたダスティは重たい色で、ちょっと下半身が上半身に比べてしっかりしていたし、このオーブはちょっと全体的に大きいというか……無骨? な感じですね。プローベはもっとこう、簡単な造りに見えるし。実際は違うんでしょうけど。パーツ一つひとつが大きくて、ゴリゴリ立体パズルみたいにはめ込んでいるような。オモチャに近い感じなのかも。あ、あくまでも僕の印象ですが!」

「そういう視点が大事なんだ。まずは相手をよく知ること。何も知らないモノに自分の命を預けるのは怖いだろう?」

「そう、ですね」

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