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Witches×WitchBot  作者: 三嶋トウカ
訓練

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第7話:魔女到来_2


 ダスティは両手に両刃剣を携えており、接近戦が得意なウィッチボットだ。物理的な攻撃だけでなく、当然魔法も使える。


『いくぞ!』


 ジジジジ――


 ダスティの手の剣が、刃の根本より炎を纏う。両方とも炎の剣となり、魔女と対峙した。


 ポポポポッ――

 ドン――ドンドン――


 先に魔女が攻撃した。浮かべていた赤い球をダスティ目掛けて投げ付ける。しかし、それらは全て剣によって叩き斬られ爆ぜた。魔女は眉をピクリと動かすこともなく、ただジッとダスティを見ている。


 よく近付いてみて分かったが、魔女はまだほんの子どもだった。歳的には十代前半から半ば、トウヤやエイナと同じくらいに見える。腰まである暗めの青い髪毛を風に靡かせて、凛とした姿で立っている。魔女というだけあって、少女は魔法を使って攻撃してきた。あんな球を自由に出して飛ばし爆ぜる技術は、ピィスメイカーにはない。ここへやってきた方法も、きっと魔法で飛んできたのだろう。


 ポッポッポッポッ――


 二度目の光る球。先ほどよりもサイズが大きい。そして色も違う。最初は赤かったが、今度は薄い青色をしている。


『また爆発するのか?』

『情報がありません。当たらないよう避けてください』

『……めんどくせぇなぁ』


 パパパパパッ――


 薄青色の球が投げられた。ダスティは言われた通り避けたものの、避けた球が再度ダスティに向かって飛んできた。


『⁉︎ 追尾型か?』

『……わかりません』

『叩き落とすぞ?』

『了解しました。叩き落としてください』

『ちゃんと撮っとけよ?』


 距離をとっていたダスティは、方向を変えて一気に魔女へと接近した。地を蹴るよりも魔法で宙を浮いて推進したほうが速い。後を追ってくる球は、大きく弧を描いてまだ彼を追う。やはり、追尾型のようだ。球がフェイクなら、魔女本体が攻撃するからもう追ってこないはず。そう考えた結果魔女へと向かっていったが、魔女は相変わらずピクリともしない。


 ……その様子を、候補生たちは固唾を呑んで見守っている。アレフとアビーのやり取りを聞いて、そしてモニタに映る魔女を見て、ようやく自分たちが本当にピィスメイカーに入ったと、魔女と戦うウィッチボットのパイロット候補生になったと実感していた。


 パパパパパッ――


『よっと! ……ん?』

『……っ‼︎ ダメです! そのまま離れて距離を置いてください‼︎』

『あーわかってる! こりゃ少々厄介かもな……』


 振り返って距離を詰め、追ってきた薄青色の球を叩き落とそうとしたダスティの剣は、その球に当たった瞬間、当たった箇所からパキパキと音を立てて凍っていった。


 ――実は、魔女との戦いの歴史は長くも深くもない。むしろ浅く短いほうだ。沢山の星都ができあがった時に、天都が統率のために中心となって管理をし始めた。最初は何も問題はなかった。今アレフが出撃している星都AA-05が誕生し、住めるようにキューブをはめた後、魔女たちが突然出現するようになり、同時に見たことのないウィッチボットが発見された。

 これまで魔女と戦うのも数えるほどで、情報不足と準備不足から、ウィッチボットの操作ができるパイロットも少ない。今は出現する魔女も少ないことが幸いして、それでもなんとかやっていっているが、ウィッチボット自体の台数も少ないため、集団戦や複数星都への出現には対応しづらい。下手をすればきっと何もできないとすら思っている。


 なぜ、魔女が人間と敵対しているのか。その理由を、多くの人間たちは知らない。薄っぺらい教科書に載っているのは『訳もわからぬうちに向こうから攻撃を受け、敵と認定されていることがわかった』だ。

 教科書は当然ながら、魔女が現れウィッチボットが発見されてから、急ピッチでわかる情報をできるだけ載せて作られた。まだ発展途上で、載っていないことのほうが多い。それを更新していくのも、ピィスメイカーの仕事だ。魔女と戦うことで、その知識量と精度が上がる。どんな些細な情報でも、知らないを知っているに変えることが、この先に繋がっていくのだ。


『今載せているシードは、後どれくらい残っていますか?』

『もうあまりないな。研修で使ってたから、ちょこっと外を歩いて空飛んで、魔法の一つ二つ使ったら戻るつもりだった。行くと声掛けといて悪いが、戦う準備はあまりできてなかったんだ』

『わかりました。……では、もう一発か二発攻撃を受け流してください。その後で撤退します。あと少しだけ、情報をもらえたら』

『あぁ、良いよ。ただ、欲しい情報を得られるとは限らない。また新しい魔法を使ってくれたら嬉しいが、そればっかりはな。それか、接近戦を仕掛けてきてくれるか』

『わかっています。……よろしくお願いします』

『やってみる』


 アレフがアビーと話している間も、魔女の出した薄青色の球はまだダスティを追いかけていた。ただ、攻撃する気はないのか、それとも様子を見ているのか、緩く飛び回るダスティから距離を三メートルほどとっている。

 試しに飛ぶ速度を上げれば球の速度も速くなり、遅くすれば同じように遅くなっている。武器を一つ向こうにした今、状況的に有利なのは魔女なのに。


『戦う気はなさそうに見えるが』

『しかし、油断させる作戦かもしれません』

『まぁまだわからないか……』


 膠着状態といっても良いだろう。お互い相手がどう出るのか測っているように見える。


「……ねぇ、何で攻撃しないの?」


 イライラした様子でエイナがキャスに問いかけた。

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