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Witches×WitchBot  作者: 三嶋トウカ
訓練

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第6話:魔女到来_1


 喋りながら、アレフは歩いていた。景色が少し揺れている。苦手な人は乗り物酔いしそうな動きだ。もちろん最初のように飛ぶことは可能だが、魔法を使わない場合の動きも経験させたいのだろう。


 辺りは荒野だったが、ここは天都だ。整地されていない土地もある。魔女は天都にも星都にも出現する。どこにいるのかはピィスメイカーでわかるよう管理されており、出ればウィッチボットが出撃する。


「この部屋でも、魔女が出現すればアナウンスが入ります。だから、すぐにわかりますよ。アナウンスが入り次第、対応のためにウィッチボットに乗って出撃します。どんな魔女か、既に戦ったことがあれば情報もありますし、それに合わせて出撃するウィッチボットを……」


 ピーピーピーピー――


 大きなアラート音が鳴ると同時に、天井にあるランプが赤く光った。


『魔女が出現しました。魔女が出現しました。パイロットは至急格納庫へ向かってください。出現場所は星都AA-05、魔女No.A-07単体です。可能な限り、ウィッチボット:ダスティを使用してください。繰り返します。魔女が出現しました――』

「魔女⁉︎」

「まさかここで聞くなんて……」

「戦うの?」

「もうアレフさんがダスティに乗ってるよね?」


 それぞれがアナウンスに反応する。


「アレフ! 聞こえていましたか?」

『あぁ。俺の出番だな。ちょっくら行ってくる……実技前の、良い勉強になるだろ。――こちら、ウィッチボット:ダスティ、アレフ。実技研修用に、既に格納庫から出動済み。こちら、ウィッチボット:ダスティ、アレフ。転移を頼む』

『アレフ、承知しました。これから星都AA-05へ転移します。サポートは私、アビーが』

『了解』


 ピーピーピーピー――


 再びアラート音が鳴ると、アレフ視点のモニタにノイズが走る。


「あれっ……見えなくなった……?」

「転移は魔法を使うの。その間は見えないんです。見えるほうがもちろん便利だし安全なんだけど、どうしてもここの研究がまだ、上手くいっていなくて……」


 キャスはトウヤの呟きに答えた。転移魔法は、間違いなく指定されたその先へ移動できる。が、移動中の視界は保証されていない。ウィッチボットに乗っているパターンではそうだが、人のみを転移させる場合は、視界が揺らいで反射的に目を閉じてしまうと言われている。つまり、どちらも移動中の景色は定かではない。


「あ、モニタが見えるようになりましたね」


 ノイズが消え、アレフの視界と繋がった。


『こちら、ダスティ、アレフ。転移完了。目標は?』

『承知しました。目標はそこから西へ約五百メートル先、現在も魔女反応は単体です。気をつけて』

『了解。魔女の元へ向かう』

「キャス先生」

「エイナさん、なんでしょう?」

「すぐ目の前には降りないんですね? またそこから移動するとなると、見失う可能性や奇襲の可能性が出ると思うのですが」

「そうですね、その可能性は否めません。しかし、相手の出現がそもそも罠だった場合、すぐ目の前に出ていくのは得策ではありません。距離を詰めながら、相手の出方を図ります」

「エネルギー、もったいなくないですか? シードだって、無限じゃないのに」

「うーん、そういう意見もあります。ただ、今のところ、これが最善の策なんです。相手も移動するのか、それとも留まるのか、転移時点ではわかりませんしね」

「……ふーん」


 キャスの回答に、エイナはあまり納得していないようだった。


『今回の魔女は、移動しないみたいだな。……こちら、ダスティ、アレフ。目標を確認した。直ちに攻撃へと移行する』

『確認しました。相手が全力でなければ、今回は戦闘を長引かせた上での撃退を目標にしてください。相手のデータをとります』

『了解』

『無理しないように』

『わかってるって』


 モニタには、荒野に立つ人の形をしたものがポツンと立っている。それが魔女だ。


「小さい……」

「本当に、私たち人間と変わらないのね……」

「格好は少し変わってる。俺たちの着てる、ボットスーツに少し似ているような?」

「確かに! ……たまたま?」

「どこもこの服が戦闘服にし易いのかな?」

「普通の女の子に見えるよね。歳だって、同じくらいに見えるけど」

「強いんでしょ?」

「何人いるんだろう……」


 アレフの視界にいる魔女は、どんどん大きくなっている。彼が近づいている証拠だ。その姿を見て、各々感想を述べる。こうやって魔女を見るのは、候補生にとって初めてのことだった。残された写真や録画映像で見ることはあったが、モニタ越しとはいえ今回は目の前にいる。


「あっ」


 モニタに釘付けになっていた候補生たち全員と、一人の魔女の目があった。


 ――ドゴン!


 大きな音が鳴る。


『先に攻撃された! 爆発してる!』

『少し下がって、観察をしてください』

『はいよ!』


 ポッポッポッポッ――


 魔女は何も喋らない。真顔で口を閉じたまま、両手を肩まで上げると、その手の上に幾つか赤く光る球を出した。球はフヨフヨと不規則に浮かび動きながらも、まるでアレフの乗るダスティへ次の狙いを定めているようだった。


『あの球が爆弾みたいになってるな。一発目はおそらく……威嚇だ。ぶつかったら爆発じゃなく、遠隔でタイミングを測れるのかもしれない』


 冷静にアレフは観察する。一発目の爆発で起きた砂埃が落ち着くまで、魔女は一切手を出さなかった。


『攻撃はしてこない。が、武装も解いてない。こっちからいくか』

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