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Witches×WitchBot  作者: 三嶋トウカ
訓練

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第5話:星都の歴史_5


 アレフがウィッチコアに触れて、その姿が消え中へ乗り込んだとわかるまで、時間はかからなかった。


「これが、ウィッチコアへ乗り込んだ状態です。中から外の様子は見えるけれど、外から中の様子は見えない。見えるのは、色が変わる前のあの瞬間だけです」


 キャスの話を、候補生たちは興味深く聞いていた。既に習って知っていることだったが、話に聞くのと実際に目の前で見るのとではやはり違う。


「次は、ウィッチボットへ移ります。彼の相棒、ダスティ」


 キャスはウィッチコアから手を離したが、それが床へ落ちることはなかった。フヨフヨと宙に浮いている。そしてそのまま、ウィッチボット・ダスティのほうへ飛んでいくと、胸の辺りで中へ入り込むようにスッと消えた。


 ――ヴゥン――


 ダスティが光る。その全体が、淡く発光していた。


「起動しました」


 ウィッチボットは、格納庫で床と壁に固定された状態で保管されているが、起動を感じ取ると自動でその固定具が外れ、そのまま出動できるようになっている。


「上を見て」


 声につられて皆が上を見ると、建物の頭上に描かれた魔法陣が光っていた。


「あれは、魔法の一部です。天井に描かれた魔法陣と対になるものが、この建物の屋上にも描かれています。ウィッチボットは、あの魔法陣を通って外に出るんです」


 今まさに、ダスティが魔法陣の中へと消えていこうとしていた。


「画面へ」


 誰も気に留めていなかったが、この部屋には大きなモニタが備え付けられていた。PCやその他機器もある。壁を使ったこのモニタは、さっきまで真っ暗だったのに、今は外の様子を映し出している。


「このモニタには、アレフが見ている景色と同じものが映っています。つまりはウィッチボットの視線です。あなた方も、ウィッチボットへ乗り込んだ時は、同じように物を見ることができます」


 モニタの中の景色は動いている。ちょうど空を飛んでいるのか、建物が下に見え辺りは真っ青だった。


「ウィッチボットの原動力は、ご存知の通りシードです。……パスコさん、シードについて覚えていますか?」


「えっ? あっ、はい!」


 パスコと呼ばれた青年は、突然名指しされ驚いた素ぶりを見せたが、すぐに切り替えてキャスからの質問に答えた。


「シードは、魔女の力の源。どんなに力が弱くとも、使える魔法が偏っていても、魔女は全員シードを持っています。そのシードをウィッチコアに取り込むことで、ウィッチボットを動かし、更に魔女と同じ魔法を使うことができます。シードの色や大きさ濃度によって、動かすためのエネルギー量、使える魔法の強さや種類が異なるので、それを選ぶという作業は非常に大事です。ウィッチコアに貯めるタイミングはいつでも問題なく、コアの中に入るとどのシードを取り込んだのかと、シードの残量がわかる仕組みになっています」

「素晴らしい! その通りです! 乗ってみないとシード残量と種類はわかりませんが、今外からもわかるようにできないか研究中です」


 パスコは二十代中頃の青年だ。候補生たちの中では年上の部類に入る。飄々として掴みどころのない、軽い雰囲気のする男性だったが、候補生の中でも年が上というだけあって、リーダーのようにみんなを引っ張っている。長かった髪を周りが驚くくらいバッサリと切って、入学する前の顔合わせの時と比べると、見た目は立派な好青年になっていた。


『――あー、いいかい?』

「アレフ! どうぞ!」

『ありがとう。俺の視界が見えているかい?』

「見えています!」


 エイナが言った。


『良かった。これがウィッチボットから見た視界だ。種類によって視線の幅や高さに少し差はあるが、概ね変わらない。ウィッチコアについては、実際に登場したほうがわかり易いだろう。コアに入ってウィッチボットと同期がされれば、パイロットとウィッチボットの動作と身体は同化する。俺たちはいわばコイツらの脳であり心臓、そして機体だ。攻撃を受けてウィッチボットが傷付けば、俺たちも同じように傷を負う』


 アレフのその言葉に、一同は口をつぐんだ。同化のことは知っている。既に授業で習ったし、命がかかった戦いになる場合もあるということは、入学前の説明でも聞かされていた。だが、実際に現場に出て戦うパイロットの口から聞くと、それは一気に現実味を増して皆を襲った。甘く見ていたわけじゃないが、どこか楽観視していたのだと気付かされる。


『ここは施設から少し離れたところだ。特に警戒はしていないが、たまに魔女が視察しに来る。視察に来る魔女はあまり強くないから、ウィッチボット一機が出れば大体対応可能だ。人数も多くない。キャス、あれを見せてやってくれ』

「わかりました」


 そう言われて彼女が持ってきたのは、一着のボットスーツだった。アレフが着ている物とも、候補生たちが着ている物とも色が違う。


『一緒に説明も頼む』

「はい。ボットスーツの種類については、みなさん理解されていると思います。今回私が持っているのは、パイロットや候補生が着るスーツとはまた異なり、ウィッチボットの戦闘訓練や、魔女との簡易戦闘に利用する物です」

「機能の違いや素材の違いはありますか?」

「そこはまだお話ししていませんでしたね。ルリさん、良い質問です。機能は大差ありませんが、こちらのスーツのほうが耐久性が少し高いです。これを着て、それ以外は生身で戦闘するので。そのために、生地と生地の間に強化用のジェルが挟んであります。なので、慣れるまで少し動きが硬いと感じるかもしれません」


 なるほど、とでも言いた気に皆は頷いていた。


『パイロットはウィッチボットに乗る以外に、それを着て戦闘訓練をしたり、魔女の偵察を逆に調査することもある。だから、基礎訓練は欠かさないように』

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