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Witches×WitchBot  作者: 三嶋トウカ
訓練

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第19話:適性_4


 「……さて。話している内に全員分の結果が出たようだね。みんなで見ていくよ。知られたくないと思う人もいるかもしれないが、うっかり使えないシードはかりを掴む……なんてことがないようにするために、ここは黙って話を聞いてほしい。特徴のある点だけしか言うつもりはないから。さ、順番に行こう。まずはモカから」


 アリスはモカから順に、それぞれのシード適性の特徴をざっくりと教えていった。生死にかかわる可能性がゼロではないからか、皆黙ってその話を聞いている。マイナスを持つ候補生も、ゼロを持つ候補生も、プラスを持つ候補生もいた。一切何も反応がない……ゼロしかない候補生はいなかった。


「じゃあ、今日の検査はここまで」

「あ、最後にいーい?」

「パスコ、アナタ勉強熱心ね、見かけと言葉遣いによらず」

「遊んでそうとか不真面目そう……って言いたいの? まぁ否定はしないけど? 知るって行為は好きなもんでね。で、この検査、もし一切適性がないとか、拒絶反応しかないって人がいたらどうなるの?」

「……今回も含めて、今のところは見たことがないけどね。そもそも候補生にもなれないと思うよ。適性がないんだから」

「個々の人たちが揃って言う『適性』ってそもそも何? このシードのこと?」

「大体そうだよ。大雑把に言えば、シードに対する適性値を測ることができるんだ。ゼロから百まで。これにマイナスはなくて、適性がない場合はゼロ。数字が上がれば適性も上がる。三十より五十、五十より八十……ってな具合でね。例え今回の結果でマイナスやゼロが出ても、一つのシードでメチャクチャいい数値が出たら、それは適性ありなんだ。もし全てのシードでプラスの値が出たら、それも適性ありってことになる。それをどうとるかは人によって違うだろうけど、ここでの適性っていうのはそういうのだよ」

「へぇ。勉強になった、ありがと」

「どういたしまして」

「今日のカリキュラムはこれで終わりです。実技に検査と、疲れたと思います。ゆっくり休んでください。ここで解散します」


 キャスの一言で緊張が解けたのか、皆一斉に息を吐いて表情を緩ませた。


 それぞれもらった検査結果用紙を手に、一人でじっと見つめる者、周りと見比べて会話を交わす者、結果についてアリスやキャスに確認する者と別れていた。総じて言えるのは、全員がこの検査結果に大きな興味を持ち、今後へどう繋がっていくのか気にしているということだ。数値として出る向いている向いていないを、得手不得手として捉えるならば、やはり得手となるシードが多いに越したことはない。そのぶんシードを選ぶ選択肢も増え、長い時間魔女と対峙しても有効的な手段も幾つかあるからだ。プラスが高くなくても、種類が豊富なら手数で勝負できる。ゼロの場合はエネルギーとして持ち込み、持久戦を挑むか援護へ回ることもできる。

 ……不得手が多いと、選択肢は狭くなるうえに命の危険も増す。それを呆気なく上回るほどの得手となるシードがあるか、それ以外が均等でも得手に値するシードに当てはまるならいいが、そうでない場合は事前にどう戦うかシミュレーションを何度も何種類もすべきだろう。自分が不得手とするシードが相手に対し有効打だと、決め手に欠けて戦闘も長引く。反対に相手の得手がこちらの不得手だった場合、大ダメージを受けるかもしれないし、何もできないまま一方的にやられてしまう可能性もある。


「……ねぇ、結果どうだった?」

「え、オレ?」

「うん。……他に声かけられそうな子がいないから。多分だけど、歳近いよね?」

「あー、今十八」

「あたし十七。良かった、間違ってなくて。えと、ルミエール、君?」

「ルミエールでいいよ、トリエッタ、だよね」

「うん! ありがとうルミエール。そ、それで、結果どうだった?」

「うーん、まぁまぁってとこかな? 成績じゃないからコメントしづらいけど。悪くはないと思うよ、平均的って感じ?」

「そっか、じゃああたしと同じかも?」

「トリエッタもそんな感じだったの?」

「うん。マイナスはなくて、プラスと……ゼロは幾つかあったけど。これが平均なのかな、よくわかんない」

「オレもそんなんだよ。マイナスはなかったからちょっと安心した。他は抜きん出ていい……ってわけじゃないから、シード使っていって数値が上がるといいんだけどね」

「あたしもそう思う! ゼロだって他のシード使ってたら、急にプラスに変わったらいいのに」

「言えてる。経験値として積み重なっていってほしいよね」

「折角ウィッチボット操作するんだもんね」

「そうだよ、他の人にはできないことをするんだから」


 トリエッタはいたって普通の女の子だった。ボブの長さで毛先が内側にカールした黒髪に、薄い茶色の目。平均よりも少し高い背に制服はひざ丈のスカートに黒のハイソックス。気崩すこともなくキッチリと着こなしている。緊張しているのか少しオドオドとした印象もあったが、ルミエールと話している内に打ち解けたのかその様子もなくなった。

 話しかけられたルミエールは、シルバーで毛先がはねたショートヘアの男の子だ。赤茶色の目が中々印象的だが、それ以外はトリエッタと同じくいたって普通の普通の年相応な見た目である。初めは急に話しかけられて驚いた様子だったが、お互いに緊張しているとわかるとすぐに、トリエッタが気楽に話せるような雰囲気を作る、気を遣える優しい子だった。

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