表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シールド  作者: K.Dameo'n'AI


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/34

牙の向く先ー6

──薬師の家。

棚には乾燥した薬草が並び、窓から差し込む光が調合台を照らしていた。

リルは、手袋越しに瓶を差し出す。

「この瓶、ブランドンさんの家で見つかったのですが……あなたが調合したもので間違いありませんか?」

薬師は瓶を受け取ると、蓋を開け、眉をひそめる。

「……確かに、これは私の調合瓶です。でも、中身は、違う、ような……私が作った薬は、もっと淡い色で、香りも……違う」

リーンが静かに言葉を継ぐ。

「ブランドンさんが、ナイトファングの治療のために薬を求めたと聞いています。その時、ヴァルドが薬を届けると言って出ていったそうですね」

薬師は頷きながら、記憶を辿るように言った。

「ええ。確かに、私は調合を終えて、彼に渡しました。そして、その後、ブランドンさんが再び来て……“薬がおかしい”と怒っていたんです。私は驚いて、事情を聞こうとしたんですが……ヴァルドが外へ連れ出してしまって」

リルとリーンは互いに目を合わせる。

「……貴重な証言、ありがとうございます。この瓶、もう少しお貸しいただいてもよろしいですか?」

薬師は静かに頷き、瓶を机に置いた。







──飼育小屋。

夕暮れの光が、飼育小屋の木枠を赤く染めていた。

サン・エルミナスは、そっと扉に手をかける。

だが、指先に触れた感触に、違和感が走った。

「あれ……鍵、閉めたよね……?」

サンは背後のミュリルへ顔を向ける。

「……はい。確かに閉めてるの、見ました」

二人は顔を見合わせると、サンがすぐさま小屋の中へと飛び込む。

巨体ゆえに中まで入れないミュリルは、顔だけ小屋の中へ入れて覗き込んだ。

「うそっ……」

「そんな……」

そこにいるはずのナイトファングの姿はなく。

乱れた寝床用の藁のみが残されていた。


「……やられたっ……!」


サンのその言葉に、ミュリルは森の方を指さし言う。


「急ぎましょう! まだ近くにいるかもっ!」












──村の裏道。

二人は小屋の裏手から、村の外れへと走る。

そのとき、サンがふと、細い路地の先に目を留めた。

「……あれ、見て!」

月明かりの下、フードを深く被った人物が、大きな布袋を引きずって歩いていた。

袋の中から、かすかな鳴き声――くぅん……と、怯えたような声が漏れる。

「ちょっとその子を放してっ!」

サンが叫びながら駆け寄る。ミュリルも地面を揺らしながら追いかける。

「っでかっ……!」

男は振り返り、驚いたように目を見開いた。

「ちょっと待ちなさいってば!!」

サンの声に、男は布袋を手放し、踵を返して逃げ出す。

「逃がしませんっ……!」

ミュリルがすぐに追いかけ、サンは袋に駆け寄ると、そっと開く。

中には、怯えたナイトファングが身を縮めていた。

毛並みは乱れ、瞳には恐怖が宿っている。

「……もう、大丈夫。怖かったね」

サンはそっと抱き上げ、胸元に包み込む。

その体は、小刻みに震えていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ