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シールド  作者: K.Dameo'n'AI


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涙の先に


──ロス村・捕獲場。夜。

月が静かに空を照らしていた。

檻の中のサイプスはいつものように静かに座っている。

仮面の奥の表情は読めず、静かに座って、ただ前方に手を差し出していた。

「…………」

リルヴェットは、柵の前に立っていた。

犯人を捕らえたとはいえ、自らが真実を完全に把握していない状況が彼女をこの場所へと導いていた。

「……サイプス」

リルヴェットは、静かに呼びかける。

サイプスは、ゆっくりと顔を上げた。

その動きに音は無く静かだった。

「よろしく……」

リルヴェットは、柵越しに手を差し出す。

サイプスも、ゆっくりと手を伸ばす。



そして――握手をして、深く、お辞儀。


「っ………」

息を吸う間もなく、その瞬間、流れ込んできた。


言葉でも記憶でもない。


ただただサイプスの純粋な優しさ。


遺体を助けようと男性の頭部へ布をあてがう手。

泣く婦人へ布を差し出す手。

この村へ来る前の景色もサイプスの視点で流れ込んでくる

傷ついたウサギの足を手当てして、優しく摩る。

瀕死の状態の甲虫が蟻に運ばれている所に遭遇した時は、近くの甘い木の実を蟻の群れ付近の地面に置き、甲虫は安全な所へと優しく運ぶ。

大きいが幼さが残る少女が泣いている元へ近づき、布を差し出し、泣き止んだ大きな少女と手をつなぎ森を歩く。

いくつもの出会いと、慰めの日々。

誰かを傷つける意志など、微塵もなかった。


「はっ………」

リルヴェットが自らの意識に戻った時、胸は暖かさに包まれ、頬に涙が伝っていことに気付いたのは、サイプスがそっと指先を伸ばし、涙を拭ってくれた時だった。

「ありがとう……」

仕草の優しさに、リルヴェットの声は震えていた。

「ごめんなさい……」

リルヴェットの言葉にサイプスは首を傾げる。

まるで“気にしないで”と語っているかのように。










サイプスとの時を終え、リルヴェットが捕獲場から出た時。



「勇者を牢から出せ!急げ!」

目の前を数人の兵士が走り抜け、真っ直ぐ独房棟へと向かっていく。

「っ……」

何かに気付いたリルヴェットは、険しい表情ですぐさま兵士たちの後を追っていくのだった。






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