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異世界補給伝記  作者: EMT
第二次クラリス戦争
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コバルト

「コバルトが見えてきたぞ」


ようやく到着か。船での食事は味気が無いので飽きていたところだ。

ここから見た感じだとノースティノープルより小さな港街に見える。

港には大小さまざまな船が停泊している。


所属している大隊の人たちについて行き。その後別れて行動する。


揚陸された物資は一旦師団の集積場に集められ。そこから各連隊、大隊の集積場にそして中隊の集積場に分けられ。担当の部隊に補給物資を運ばれる。


街の中はいろいろな人が居るが。その中には何も持たず身一つで戦火から命からがら逃れて来た人があちらこちらで見かける。さっき港に停泊していた船は避難して来た人を乗せてきた船だったのだろうか。


「彼らを見てどう思う?」


「彼らに同情します。そして1日でも早く故郷に帰してあげたいです」


「率直な感想だな。だがその事は間違ってはいない。私もシオン准尉と同じように思っている」


彼らを見て自分は綺麗事を言っているのかもしれない。すべての財産を置いてきて明日の食べるものや大切な人を亡くした気持ちを分かっているだけで自分は偽善者で本当は当事者にならないと彼らの苦しみや悩みは分からないのかもしれない。

彼らが住んでいた所に帰れたとして家は燃やされ収穫しようとしていた穀物は無く畑は荒れ果てていて生きていくには国からの支援が無くては難しい人だっているだろう。






師団の物資集積場は港に近い倉庫に決まった。そのためその周りは各部隊の集積所が集まる。この街は第6師団の人や物が一気に集中する一大根拠地となる。



「明日到着する人の宿泊先や労働者の確保はどうします?」


「それならすべて上がやってくれると思うよ」


「えっ!なら我々は何をすればいいんですか?」


「中隊の集積場も決まったから。ある程度の現地調達のための買い付けかな」


揚陸する物資を運ぶ労働者が居なくては我々だけで全ての物資を荷下ろしするには時間が掛かるため前線の部隊に補給するのに支障がでるため。労働者の確保は重要なことで。それを上がやってくれるのは楽だ。

実際、産業革命以降に鉄道ができ馬よりも早く移動ができるようになってから軍隊の移動も迅速になった。そして前線に物資を届けるため鉄道を使う。その時、駅の労働力の荷下ろし能力を考えないで前線に補給物資を送り出そうとして次から次えと列車を送ったため。速やかに列車を空にしたり駅から物資を運び出す労働者(労働力)が不足していたため。駅から何キロに渡り渋滞して停車した列車の中で食料などの補給物資は腐り放置された。



「なるほど。で、いくら持ってきているんですか」


「1銅貨も持ってきて無いぞ」


「何も買えないですよ」


「大丈夫だ。変わりに軍票を持ってきてあるから」


「軍票?」


「そうだ。物資を買うとき商人にこれを渡して物資を買う。商人は後で軍票をお金と交換できる物だよ」


クラジットカードや兌換紙幣みたいなものか。つまり後払いすることができる便利なアイテムということだな。国が責任を持って交換しますよと保証しているから。皆が信用して使うという所かな。



「軍票の説明も終わったから食料と餌を買いに行くぞ」










「麦は駄目でしたね」




街の市場を見て回ったが野菜や魚は売っているのだが。

戦時体制のため麦はすでに北部担当師団の根拠地の街に送ったためほとんど無くなっており買い付けする量は残っていなかった。麦があればライ麦パンかハードタックが調達できたのだが。


「代わりに芋類はどうでしょうか中尉」


頭を抱えて悩んでいたオリガ中尉に提案してみる。


「行ってみるか」


頭から!が出ているように見える。





「じゃがいもならたくさんあるよ」


オリガ中尉から安堵の表情が伺える。


「良かったですね。じゃがいもは残っていて」


だが5日分の量を1商人から買うことは難しいので複数の商人に買い付けをして3tもの量をかき集められたが。うちの中隊だけ買い占めては他の部隊から苦情も来る。買ったじゃがいもは2日分の量しかないで3日分を他の食料を買うしかない。俺らも他の部隊みたいに麦の代わりに芋や塩漬けニシンなどの保存期間が長い食料の買い付けに走るしかない。


「おじさん。あの子が食べているのは何ですか?」


この店主の子どもだろうか。小学生ぐらいの男の子がビーフジャーキーみたいな物を食べている。


「うちの坊主が食べているのはビルトンだよ。あれは帝国から来た調味料を使って作った物で保存も利くしスープにも合う。そして歩きながら食べられて普通の干し肉よりも安いよ」



ほうほうスライス状で保存期間も長いのと歩きながら食べれるのなら。馬に乗りながら食べられそうだから騎兵部隊の人も喜びそうだな。


「それどこで売っていますか?」


「向こうに行った広場の肉屋で売っているよ」


店主さんにお礼を言っておいて。中尉にもう1度提案する。


「あれを買いませんか中尉」


「私は肉より魚の方が好きなのだが」


中尉は大きくは無いが形が綺麗な胸を腕で組みながら魚好きと言う。



海がすぐ近くあるから魚のニシンなら大漁に取れるから問題は無いだろうが。魚ばかりでは飽きてしまうから肉でも食べて気分転換したいだろ。

その後、ほとんどニシン買いビストンは少しだけ買うことになった。この中尉が魚好きだからこうなった。


ご意見ご感想お待ちしております。

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