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超人ファイターマン  作者: 小泉たかし
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自由自在に、コスモホークを操縦しながら、瑠璃はファイターマンに叫ぶ。

「一体どうなっているの?」

「あのトランポリン大統領の顔をよく見ると黒目が金色になっています。

「カラコン入れてるんじゃないの?」

「いやいやいや、たぶん、本物ではなく、私が追っていたダマリナだと推測されます」

「え、あなた、ダマリナは日本に潜んでいると言ったじゃない!」

「うぅむ、どうしてそうなったのかはわからないのです」


その後も、アメリカ・ニューヨークに集まった各国の国連地球防衛軍の戦闘機はヒトクイに攻撃をしかけるが、まるで歯が立たない。

アメリカの大統領執務室で、豪華な料理には目もくれず、側近の部下を殺して食べているダマリナが寄生しているトランポリン大統領は、最初は各国のWEFの攻撃に怒り狂っていたが、ヒトクイの強さにやがて大満足してモニターを見ている。

「はっはっはっはー。

愉快だ愉快だ。

最初は日本の首相に寄生したが、横須賀港でアメリカ大統領に乗り移って良かったわい。

アメリカの方が広いし、ヒトクイもたくさん走り回れるし、たくさん人間も食べられるだろう。

それぞれの星を支配している上級生物を食い荒らすのは本当に楽しい!」


実のところ、ダマリナは最初は小池さなえ首相に寄生していたのだ。それが、トランポリン大統領との日米首脳会談の時に、自分のかわいいペット、ヒトクイがもっと広い所で走り回れるようにと、握手を通じて、アメリカの大統領に乗り移ったのだ。

そしてトランポリンはすぶやいた。

「まあ、日本の首相も一度はこの俺が乗り移った体だ、そのうち石になってしまうだろう。

ふっふっつ」

小池首相には、もうダマリナはいないが、毒素は残っていて、ゆっくりと身体の石灰化が始まっていて、まずは手の小指に出ているのだ。さらに宇宙連邦と契約も交わしてないし、そもそも宇宙連邦と契約を交わすのは国連であり、トランポリン大統領ではない。

もちろん国連議長を殺したのは、ダマリナが乗り移ったトランポリン大統領である。さらになけ癖や、やる気のない者、何をやってもダメな者を選んで食べさせるとは大嘘で、次は自分が選ばれるのではないかと恐怖心を植え付けるためのダマリナの遊びであった。


一人乗り小型戦闘機コスモホークで、さかんに各国のWEFとともにヒトクイに攻撃を仕掛ける瑠璃。

「まるで歯がたたないわ。

一体、どんな体しているの!」

そこにファイターマンの声が聞こえる。

「ルリさん、スマホを時代劇で、悪人に印籠見せるように、すまほを宇宙生物にに向けてください。

私が行きます」

「はぁ?時代劇?

なんでそんなこと知っているの?

こう?」


するとスマホからまばゆい光が放たれ、身長 40メートル、体重 3万5千トンの巨大なファイターマンが現れる。

ファイターマンの身体は全体が兜と同じ色で、肩から胸にかけて青いラインが胸部の真ん中にある大きなボタンのような突起物に走っている。

瑠璃は思わず「ええー!」

と驚き、操縦かんから手を放してしまう。

「キャッ、危ない危ない!」


そして、さらにファイターマンは空中元素定着エネルギーを放出して、体中にボディアーマーを装着し、マスクにも半透明なシールドがかかる。

その姿を見て周りの人々は驚く。

「何、あれ?」

「なんだなんだ、特撮のヒーローみたいじゃないか!」

コスモフェニックスを操縦している近田は

「あれは……、いや……」


ファイターマンは猛然とヒトクイに向かっていく。

ファイターマンは、その圧倒的な質量でヒトクイを抑え込もうと試みたが、宇宙生物の鋼鉄の皮膚は、彼の力を嘲笑うかのように弾き飛ばした。

その衝撃は、凄まじい勢いでファイターマンを空へと舞い上げ、そして、マンハッタンの空にそびえ立つエンパイア・ステート・ビルディングへと叩きつけた。

ファイターマンが激突した瞬間、300メートルを超える鋼鉄とガラスの巨塔は、悲鳴のような軋みを上げた。


窓ガラスが蜘蛛の巣のように砕け散り、無数の破片が宝石のようにきらめきながら、遥か下へと降り注ぐ。

ビルは、まるで巨大な巨人がその巨体を預けたかのように、ゆっくりと、しかし確実に傾き始めた。

鉄骨が悲鳴を上げ、コンクリートが崩落する轟音は、地響きとなって街全体を揺るがした。

そして、エンパイア・ステート・ビルは、その威容を誇った姿を歪めながら、轟音と共に大地へと崩れ落ちていった。

瓦礫の海の中に、ファイターマンは意識を失う寸前、驚異的な反射神経で宙返りを決めた。


砂塵が舞い上がる中、彼は再び立ち上がった。

ファイターマンは再びヒトクイへと向き直り、今度はその巨大な背中に飛び乗り、必死にしがみつき、その動きを封じ込めようとした。

しかし、ヒトクイは激しく暴れまわり、その巨体を振り回す度に、ファイターマンは振り落とされてしまう。


そして、ファイターマンは決意を込めて拳を突き出した。前腕に装着されたアームランチャーが青白い光を放ち、強力な麻酔ビームを発射した。しかし、その光は宇宙生物の皮膚に吸い込まれるように消え、まったく効き目がない。


焦燥感を滲ませながら、ファイターマンは再び拳を突き出し、今度は鮮烈な赤い殺傷ビームを発射した。これもまた、宇宙生物の厚い皮膚を貫くことはできず、無力に跳ね返される。

ヒトクイは怒りに燃え、ファイターマンに向かって突進してきた。ファイターマンは、その突進を全身で受け止める覚悟を決めた。


しかし、宇宙生物の圧倒的な力は、彼の身体を再び弾き飛ばした。今度は、エンパイア・ステート・ビルの残骸だけでなく、その隣にそびえ立つ、アール・デコ様式の優美なクライスラー・ビルをも巻き込んで、激しい破壊の連鎖を引き起こした。クライスラー・ビルの象徴的な尖塔が折れ曲がり、その優美な曲線が歪む。

ガラス張りのファサードが崩壊し、無数の破片が降り注ぐ。ファイターマンは、その巨大なビルの瓦礫と共に、沈んでいった。

周囲は、かつてマンハッタンの誇りであった摩天楼が、無残な瓦礫の山と化していた。


頭を振りながらファイターマンはようやく立ち上がる。ファイターマンは少し佇み、考えあぐねた後、決心して、ベルトに装着しているスペースパイン、つまり宇宙手りゅう弾を外す。

はずされたスペースパインはスイッチが入り、まばゆい光を放つ。


ファイターマンは瑠璃の心の中に話しかける。

「ルリさん、各国のWEF戦闘機に離れてと伝えてください」

瑠璃は

「え!え?!」

慌てるが、反射的に各パイロットに伝える。

「Leave here immediately.(すぐに離れて!)」


そして、ファイターマンは一度、大きく後ろに振り返ってから、ブンッと、そのスペースパインをヒトクイの口に放り込む。

スペースパインが口に入ったヒトクイは一瞬、目が点になったように動きが止まるが、その後、大爆発が起きて粉砕される。


すさまじい爆風で飛ばされてくるこなごなになったヒトクイの肉片と瓦礫にファイターマンも身をかがめて耐える。

そして夕焼けをバックに立ち上がった巨大ヒーローはやがてうっすらと消えていく。人々は拍手喝采である。


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