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ドイツの首都、ベルリンの空は、いつものように、鈍色の雲に覆われていた。
しかし、その静寂は、突如として破られた。
まるで巨大な黒曜石の塊が空を引き裂いたかのような、異様な光景。
それは、またもや、地球にやってきた宇宙生物だった。
太い首を、不気味に揺らし、その頭部には、まるで昭和の時代に流行った地球の爬虫類であるエリマキトカゲを模倣したかのような、鮮やかな色彩の襟が広がっている。その襟は、金属的な光沢を放っていた。
その名は、「エリー」と名付けられた。
最初の襲撃は、ブランデンブルク門の近くで起こった。
観光客で賑わっていた広場に、エリーは音もなく着地した。
そして、その口から放たれたのは、青白い閃光だった。
それは、門の石柱を、まるでバターのように溶かし始めた。悲鳴が響き渡る中、エリーはゆっくりと、しかし確実に、ドイツの象徴を破壊していく。
「なんてことだ…あれは一体…」
人々は呆然と立ち尽くすしかなかった。
WEF-Germanyが駆けつけたが、彼らのミサイルはエリーのエリにことごとく弾かれた。
エリーは、まるで獲物を探すかのように、その太い首を巡らせ、次の標的を探し始めた。
その視線が定まったのは、テレビ塔、テレビトゥルム。ベルリンのランドマークとしてそびえ立つその塔は、エリーにとって格好の的だった。
エリーは、その巨大な爪を振り上げ、テレビ塔の基部に容赦なく振り下ろした。金属が軋み、コンクリートが砕け散る轟音。テレビ塔は、まるで巨大なろうそくのように傾き、やがて、轟音と共に崩壊した。その破片が、街を覆い尽くしていく。
エリーの視線は、さらに街の中心部へと移る。
その次に狙われたのは、国会議事堂、ライヒスターク。ガラス張りのドームが、エリーの放つ光線によって、砕け散った。炎が上がり、煙が立ち込める。
歴史的な建造物が、次々とその姿を消していく。
エリーは、その太い体をくねらせ、シュプレー川へと身を投じた。
水しぶきが上がり、川岸の遊歩道が水没する。
エリーは、川底を這うように進み、その巨大な体で、川に架かる橋を次々と破壊していく。
フリードリヒス通りにかかる橋、そして、さらにその先の橋も……。ベルリンの動脈とも言える交通網が、寸断されていく。
「これは…悪夢だ…」
人々は、恐怖に顔を引きつらせていた。
エリーは、さらに破壊を続けた。博物館島に並ぶ、歴史的建造物群。ペルガモン博物館の壮麗な祭壇は、エリーの爪によって無残に引き裂かれた。ノイエス博物館のネフェルティティの胸像は、その輝きを失い、瓦礫の中に埋もれた。
人々の絶望は、深まるばかりだった。ベルリンの街は、エリーによって、廃墟と化していく。
かつての栄華は、今や、エリーの爪痕と、人々の悲鳴だけが、その痕跡を留めているかのようだった。エリーは、その首をゆっくりと上げ、まだ破壊されていない、遠くの建造物を見据えた。
その瞳には、感情らしきものは一切見えない。破壊衝動だけが、その紫色の光を宿していた。




