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全宇宙連邦と国連が平和条約を交わしてから、約一か月。
北海道函館にも、ようやく桜が咲き始めた。函館は、北海道の南西部に位置する港町で、古くから異国情緒あふれる街並みと、新鮮な海の幸で知られ、多くの観光客で賑わう。
特に、ゴールデンウイークの頃は桜が見ごろとなり、街全体が華やかな雰囲気に包まれる、……はずだった。
この美しい季節を、函館の人々は楽しむどころではなくなっていた。
海から、突如として現れた五匹の巨大なイカの怪物が、街を蹂躙し始めたのだ。
逃げ惑う人々、そして、かつて多くの観光客で賑わった歴史的建造物である摩周丸は、無残にも破壊されていく。
活気あふれていた、朝市も、今は見る影もない。市場の威勢の良かった声は悲鳴に変わり、新鮮な魚介類が並べられていたはずの場所は、瓦礫と化していた。
函館のシンボルである五稜郭公園も、その美しい星形が破壊されようとしていた。
五稜郭タワーも、今、イカの怪物が体当たりを繰り返していた。倒壊も時間の問題だろう。
公園の堀は濁り、桜並木は炎に包まれている。中島廉売の賑わいは消え失せ、無数の屋台がひっくり返り、商品が散乱していた。
その中で、ひときわ異様な姿をした怪物、名づけて「イカリヤ」と呼称されるその存在は、人々に襲いかかり、苦しみを与え、そして殺戮を繰り返しながら、ゆっくりと函館の中心部へとその足を運んでいく。
この未曽有の危機に、街は混乱の極みにあった。
WEF-Japanは、ただちにコスモホークで現場へと急行した。
自衛隊はWEF-Japanが存在が完全にオープンになったので、出撃してこない。
佐内が、窓外の光景に叫ぶ。
「な、なんで五匹もいるのよ、イカの化け物!」
その時、さらに事態は悪化した。再び、宇宙愚連隊があやつるシャドウマンタが数匹、空中に現れたのだ。
宇宙愚連隊の一員であるタンバル星人ザケルナは、不気味な笑い声を響かせながら言った。
「がーっはっはっはっ!
暴れろ、暴れろ!
イカリヤども。
タンバル星の毒素を浴びせてやったんやから、思いっきり暴れるんやー!」
WEF-Japanの面々は、その言葉に驚愕した。
近田が、苦々しい表情で言う。
「今度は地球の生物に毒素を与えたんかい?
ええ加減にせんと!」
嫌々ながらコスモホークを操縦していた副隊長の川中は、その言葉を聞いて不思議に思った。
「タンバル星の毒素は、すでに地球の生物、と言ったら失礼だが、小池前首相に感染し、石灰化となっていたはずだ……。
それがイカとなると、なぜ巨大生物になるんだ?」
「たぶん、親和性の違いです。」
突然、全宇宙連邦のオキータの声が、通信機から入ってきた。
全宇宙連邦のUFOも、二機、現場へと駆けつけてきたのだ。
瑠璃はコスモホークに乗りながら、
「おや?二機ですか?」
と、不思議そうに呟いた。
その頃、国連本部地下のWEF本部では、国連事務総長ポール・シモンズの隣に、全宇宙連邦のリーダーであるヒジータが、胡坐を組んで座り、うんうんと頷いていた。
ポールはちらちらと横を見ながら、
「あんたは出撃しないのか?」
と、いぶかしげに思っていた。
本郷は、基地にいる宮坂に通信で尋ねた。
「アトポーシスXは、使えるのか?
すでに我々のコスモホークには装着されているから、使っても良いんだよね。」
基地内で、隊長の山桐も、横にいる宮坂を見た。宮坂は答えた。
「アトポーシスXは、宇宙生物の細胞を解析して作った武器です。
イカリヤは函館のイカ、つまり地球の生物ですから、アトポーシスXは効かないと思います。
もちろん、空を飛んでいるシャドウマンタには効果的だと思いますが……」




