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緊急放送を聞いて、瑠璃とファイターマンは駆け出し、ドアの所でぶつかった。
「いったぁ……。
何やってのよ、ファイターマン。
早くあなたはスマホの中に入るんでしょ!」
「あ、そうでした。」
WEF-Japan本部作戦指令室。
隊長の山桐剛士、副隊長の川中龍斗、そして隊員の近田智一、本郷史郎、佐内由美恵、宮坂蘭奈、そして、瑠璃こと神楽坂瑠璃は、中央に配置された大きな円卓の周りで起立していた。
山桐が隊員達に伝えた。
「南の島国サザーブに、鳥のような宇宙生物が現れた。」
近田はけげんそうな顔をして聞いた。
「サザーブ?
そんな国ありましたやろうか?」
山桐は、円卓を囲む隊員たちに、ゆっくりと、しかし確かな口調で語り始めた。
「サザーブ。
確かに、君たちの多くが知らないのも無理はない。
国連にも加盟していない、文字通り、地図の片隅にひっそりと存在する、南の島国だ。」
近田は感心したように言う。
「隊長、さすが、よう知ってはるなぁ……。」
「いや、宮坂隊員が調べてくれたんだがね。」
瑠璃は、横目で、近田が少しズッコケたのを見逃さなかった。
山桐は説明を続けた。
「地理的には、赤道を挟んで、我々のいる大陸の遥か南、広大な海に浮かぶ、小さな群島国家と言えばいいだろうか。
大小合わせて数十の島々から成り立っているが、そのほとんどは無人島か、ごく小規模な集落がある程度だ。
主要な産業は漁業と、一部の熱帯果物の栽培。
それ以外は、ほとんど自給自足に近い生活を送っている。」
会議室の中央には巨大なホログラムが、南の海に浮かぶサザーブを映し出した。
「特徴としては、まず、その地理的な孤立性だ。
大陸からは遠く離れており、定期的な航路も限られている。
そのため、外部からの影響を受けにくく、独自の文化や習慣が色濃く残っている。
気候は年間を通して温暖で、豊かな自然に恵まれているが、同時に、台風などの自然災害も少なくない。
そして、最も特筆すべきは、その政治体制だろう。
古くから王政が敷かれており、現在はクワンタ王のもと、穏健な君主制を維持している。
国民の多くは、平和を愛し、自然との調和を重んじる気質を持っている。」
佐内は目を見開いた。
「そんな平和な国に宇宙生物が?
なぜ?」
そして、巨大なホログラムが、鳥のような宇宙生物を映し出した。
隊員達は目を見開いた。
目の見えない宮坂もその宇宙生物の発する恐ろしい鳴き声にびくっとした。
「あぁ、サザーブの人たちの村に近づいていく!」
佐内が驚いて続けて叫んだ。
「すぐ出動しましょう!」
山桐はうなずきながら言う。
「そうだな……。
すぐ、出動しよう。」
隊員達は山桐の態度に違和感を感じた。
瑠璃は聞く。
「隊長、どうかしたんですか?」
副隊長の川中が山桐に代わって、答えた。
「サザーブは、国連に加盟してないばかりか、国王のクワンタが、国連の介入を内政干渉だとして嫌がるのです。」
近田はため息をつきながら言った。
「また……あの竜球の時の中国みたいな……」
山桐は首を振ってこたえる。
「いや、あの時は中国は自らのWEF-Chinaで対応するとしたので、そのケースとは違う。」
佐内はこめかみに指をあてながら聞く。
「じゃ、サザーブは自らの防衛軍みたいなのを持っているんですか?」
山桐は困った顔をして答えた。
「ないんだ。」
隊員達は驚愕した。
「じゃ、どうするんですか、サザーブの人たちは……」
山桐は少し困った顔をしてから答えた。
「神に祈るらしい……」
「えええ!?な、なんですって!」
隊員達は、大きな声を上げた。
それと同時に佐内が、そして、巨大なホログラムを見てさらに叫んだ。
「宇宙生物がサザーブの村を破壊し始めているわ!」
さらに近田も信じられない表情で叫んだ。
「サザーブの人たちがい、祈っているよ!」
瑠璃も叫んだ。
「キャー、食べられている!」
本郷もすかさず言った。
「隊長、出撃しますよ。
国連、は未加入の国にも人道支援するはずです。!」
山桐はうなずく。
「そうだな、その通り。
出動だ!」
川中はホログラムを見ていった。
「あ、WEF-Singaporeのコスモホークが来ているようです。!
よかった。
とりあえず、みんな、頑張ってくれ!」
宮坂が無表情で川中に言う。
「副隊長もですよ。」
「え?」
佐内も厳しい目をして言う。
「え?
じゃないですよ。
ほら、行くわよ!」
川中は佐内に襟をつかまれながら引っ張られていく。
「え、あ、いや、私は本部、からしっかり、指示をしてだな……」
山桐は苦笑いをして、遠ざかる川中に言う。
「大丈夫だ、私がしっかり、全体の指揮を見て的確な指示を出すから。」




