70
凄まじい轟音と共に、ウルセナの巨体が大地に叩きつけられた。その衝撃波は、まるで嵐のように砂塵を巻き上げ、周囲の岩石を粉々に砕き散らす。
しかし、その巨体は驚くべき速さで体勢を立て直し、異様な金色の瞳をファイターマンにギラつかせた。
「貴様、私を邪魔するつもりか!」
ウルセナの全身から禍々しいオーラが噴き出し、その硬質な体表を覆う棘が不気味に震える。その声は、まるで地獄の底から響いてくるかのような、低く唸るような響きを持っていた。
ファイターマンは、その場に踏みとどまり、冷静にウルセナを見据える。彼のボディアーマーは、先ほどの激しい衝突にもびくともしていない。
「極悪宇宙人の悪事を邪魔するのは私の仕事だ。
お前のような、他者を傷つける存在は、この宇宙には必要ない。」
ファイターマンの声は、冷静でありながらも、強い決意に満ちていた。
彼の腕に装着されたアームランチャーが、淡い赤い光を放ち始める。
「フン、必要ないだと?
この星を初め、宇宙には他の生物の命を奪う者ばかりなんだよ。」
「それは生きていくため、自分の命を保つために他の生物の命を頂くこともあるだろう。
しかし、タンバル星の中の何人か、またそんな奴らの寄せ集めの宇宙愚連隊はそうではない。
ただ、他の生物の命を奪うことを楽しんでいるだけだろう!」
「ふん、この星の、いや、全宇宙の上級生物は、自分たちでたくさん捕獲しておいて、数が減ってくると慌てて保護する。
それの繰り返しじゃないか?
だから上級生物の命をなくしてあげるのよ。」
「は?
議論のすり替えだ。」
「がーはっはっは!」
ウルセナは嘲笑うかのように叫び、その巨大な腕を振り上げた。腕の棘が鋭く光り、まるで巨大な鎌のように振り下ろされる。
「喰らえ!」
ウルセナの腕が空気を切り裂き、凄まじい衝撃波がファイターマンに迫る。
しかし、ファイターマンはそれを予測していたかのように、軽やかに身をかわす。衝撃波は、彼の背後の岩盤を粉砕し、砂漠に深い亀裂を生じさせた。
ファイターマンは、すかさず、ウルセナの攻撃の隙を突き、アームランチャーから赤い光線を放つ。
それは、ウルセナの頑丈な皮膚を貫通しようとしたが、素早い身のこなしで避けられてしまう。
「無駄だ!
貴様の攻撃など、蚊に刺されたようなものだ!」
ウルセナは高笑いし、さらに猛攻を仕掛ける。
その巨体は、砂漠を揺るがし、周囲の景色を破壊していく。
ファイターマンは、その猛攻を巧みにかわしながら、反撃の機会を伺う。
その時、ミラノ星のUFOから、再びあの優しい女性の声が響いた。
「ファイターマン、私たちも加勢するでありましょう。」
すると、ミラノ星のいくつかのUFOからもレーザー光線が放たれた。
それを受けてウルセナはたまらず後ろに吹っ飛んだ。
「ぐわわわ」
しかし、その土煙からよろよろとまた、ウルセナは立ち上がった。
ファイターマンはその強靭な体に舌打ちをする。
それを見ていたWEF-Japanの本郷は、日本にいる山桐、宮坂に聞く。
「先日の特殊断頭アトポーシスXは、あれから我々のコスモホークに装着されてますが、使えるんですか?」
宮坂は困惑した声で答える。
「はい、一応……でもまだ十分にテストしてないんですが……」
本郷はさらに聞く。
「いや、隊長が実際に使ったじゃないですか?」
宮坂の隣にいた隊長の山桐が答える。
「うむ、そうだな。
まだ正式な認可は受けてないがいいだろう。」
さらに横にいた川中が驚く。
「隊長!
いいんですか!?」
「現場の本郷隊員が、このように言ってきたということは、今、使うべきだと思っているからだろう。」
川中が口をつぐむ。
そこに宮坂が
「あれ?」
とした表情で言う。
「川中副隊長、なんで、ここにいるんですか?」
本郷は苦笑しながら、近田、瑠璃に告げる。
「近田隊員、神楽坂隊員、アトポーシスXを使うぞ。
佐内隊員はコスモホークまで、すぐには戻れないだろう。
3人だけでやろう!」
「ラジャ。
出来ればファイターマン、ミラノ星人と一緒に繰り出そう。」
「そうだな。」
それを聞いていた瑠璃は、ファイターマンに伝える。
「ファイターマン、聞こえた?」
「はい、聞こえていたであるでしょう。」
「ファイターマン、ミラノ星人に影響されて、分包がおかしいわよ!
とりあえずミラノさん達にも伝えて。」
ファイターマンはミラノ星人のUFOに顔を向ける。
「ミラノさん達、こういう事です。
よろしいですか?」
「ミラノさん達って、ふつうはミラノの方々とかいうのでありますないか?」
自分たちのおかしい文法を棚に上げて、ファイターマンに指摘したミラノ星人たちは、そういいながらも、WEF-Japan、ファイターマンと横一列に隊列を組む。
各国のWEFはその様子を固唾を飲んで見守っている。
ファイターマンは、アームランチャーのエネルギーを最大にチャージする。
「さあ、決着をつけよう、ウルセナ!」
ウルセナは一瞬、たじろぐ。
「貴様、卑怯だぞ!」
その赤い光は、空気を切り裂くかのように強烈な輝きを放ち始めた。
「今だ!」
そうして、ミラノ星人のUFOからのレーザー光線、WEF-Japanのコスモホークからの特殊断頭アトポーシスXと、ともに赤いレーザー光線が放たれた。
「ぎゃぁああああ!」
ウルセナの断末魔の叫びとともに、ダマリナの時と同じように、体は黒い皮膚がひび割れ、そこから白い粉が舞い上がる。
その粉は、風に乗り、あっという間に石灰の砂となって消えていった。




