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超人ファイターマン  作者: 小泉たかし
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「龍斗くん、龍斗くん」


ふと目を上げると、ぱっちりとした目で、おさげのかわいい少女が川中を見つめていた。

「何?

きららちゃん。」


少女は満面の笑顔で言う。

「龍斗くんって、本当に絵がうまいね。」


川中は自分の描いていた宇宙船の絵を見る。

「そうかな?」


川中は隣の家の、きららという少女と、押し入れの日田で絵を描いていた。


きららはベランダ越しに川中の絵を見て微笑んでいた。


キララは空想好きで、いつも宇宙や未知の生命体について語っていた。

「いつか、宇宙人と友達になるんだ!」

と言うと、きららの目は星空のように輝いていた。川中はそんなきららが大好きだった。


ある日、きららが言った。

「宇宙人はきっと、虹色の光線で話すんだよ!」

と言えば、川中は

「でも、光の速さって決まってるんだよ?」

と、科学的な疑問を投げかける。


でもキララは、川中のそういう「現実的な」部分を面白がり、

「龍斗くんは、いつも本当のことを知ろうとするんだね!」

と言って笑い転げる。


ドアのノブには「面会謝絶」の札が下がっていた。

「ごめんね、川中さん、龍斗君。

今、この通り、会えないんです。」


病室の前で、ドアのノブの札に目をやりながら、謝るきららの母に、川中とその母は残念そうにうつむく。

「いえ、大変な時に来てしまってご迷惑をおかけしました。

龍斗、さ、帰ろう。」


川中母子が立ち去ろうとしたときに、きららの母親が呼びかけた。

「あ、川中さん、ちょっと待ってください。」


川中母子は立ち止まり、振り向く。

「きららが……ちょっとだけ会いたいって……」


彼女の最後の言葉は、

「龍斗クン、そんな悲しそうな顔しないで。私、死ぬんじゃないのよ。、他の星で生まれ変わるの。

それから龍斗クン、約束。宇宙の不思議を、諦めないでね。」

だった。


はっと川中は目が覚めた。


体中、汗びっしょりだった。青ざめた顔を手で覆いながらため息をつく。

「ふう……」


シャワーを浴びてから、これから10万光年の旅に出かける特大の宇宙船コスモライナーの発射準備室に駆け込む。


佐内が川中に冷たい視線を投げかける。

「副隊長、集合時間ギリギリですよ。」


川中は申し訳ない顔をするでもなく

「集合時間には間に合っている。遅れたわけではない。」


佐内はため息をつく。


その準備室には小池首相もいた。

「副隊長の川中さんですね。

このたびはありがとうございます。」

小池は、腰を折って頭を下げる。


川中はシャキッと敬礼し

「はいーっ!

必ず総理の娘さんを連れて帰ってきますので、ご安心ください!」

WEF-Japanの面々はしらけた表情をする。


隊長の山桐は言う。

「イタリアでのシャドウマンタの死体の片付け作業を免除され、私たちは小池総理大臣の娘さん、百合さんを10万光年先のジャミラン星まで、コスモライナーで出向くことをWEF本部から許可を得ています。

頑張ってきてくれ。」

WEF-Japanの隊員たちは

「はい!」

と敬礼する。


そして、山桐は川中の方に向き

「川中副隊長、隊員たちをよろしく。」

「は、はい。」


瑠璃は地球の電波も届かない場所では使い物にならないスマートフォンを、ポケットに忍ばせていた。


佐内はそれに気づいた。

「神楽坂隊員、スマートフォン、持っていくの?」

「はい、何かの役に立つかもしれないので。」

「充電はどうするの?

あ、コスモライナーから取るのか……。

コスモライナーの壁面には太陽光発電パネルが装着されているものね。」


瑠璃は、本当はファイターマンを連れて行くためだとも言えず、少し苦笑いで答えた。

「はい。」


そして、隊員たちは山桐、宮坂、小池、WEF-Japan職員達の見守る中、コスモライナーで旅立っていった。


第五部 終わり


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