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佐内由美恵は、全身を襲う激しい痛みで目を覚ました。頬に触れる冷たさは、硬い床に横たわっているからだろう。
佐内はゆっくりと目を開けた。
「おや、WEFの犬め、目が覚めたかね。」
ぼんやりとした視界の先に、佐内を見下ろすアメリカ大統領トランポリンが、不気味な笑みを浮かべていた。
はっと気づき、佐内は起き上がろうとしたが、全身に激痛が走り、そのまま床に叩きつけられた。
「うぅ……」
トランポリンが、佐内を蹴り飛ばしたのだ。
「がははは!」
佐内は、トランポリンを睨みつけた。
先ほどまでいた警備員たちの姿は消え、部屋にはトランポリンと佐内だけが残されていた。
佐内は一瞬、女としての危険を感じたが、次の瞬間、トランポリンの蹴りが再び佐内を襲った。
「ははは、愉快だ、愉快だ。」
佐内は、口から血と胃液を吐き出しながら、苦し紛れに問いかけた。
「トランポリン大統領、こ、これはどういう事ですか?」
トランポリンは、佐内の髪の毛を掴み上げながら答えた。
「俺はね、相手を痛めつけ、殺すことに非常に喜びを感じるだけなのさ。
さらに、この星の上級生物、つまりお前らのような生物――ああ、人間というんだっけな――そういう文明を築いている上級生物を根絶やしにすることに、無性に喜びを感じるのさ。
お前らの言葉で言うと、サイコパスってやつか。」
「お前らのような……上級……生物?」
佐内は、はっと目を見開いた。
トランポリンは、ため息をついて言った。
「まだわからないのか?」
佐内は、さらに驚愕の表情を浮かべた。
「この地球に忍び込んだという極悪宇宙人、うっ!」
再び、体全体に強烈な痛みが走り、佐内は壁に激突した。
「がはは、私はトランポリンなんて、ジャンプ競技のような名前ではない。
タンバル星から来たダマリナというのだ。」
そう言い終えると、ダマリナの頭部や顔に亀裂が走り、中から黒い棘に覆われ、不気味に大きな目玉を持つ宇宙人が姿を現した。
「キャッ!」
佐内はそのおぞましさに恐怖を覚えつつも、何とか口を開いた。
「それじゃあ、本物のトランポリン大統領は?」
ダマリナは、大きくのけぞって笑い出した。
「がーはっはっは!
そんなやつは、もうこの世にはおらんわ。
私が寄生して入れ替わったのよ。
ノーベル平和賞を、さぞ欲しかっただろうになぁ。」
WEF-Japan隊長、山桐は、モニターに映し出された映像に口をあんぐりと開けていた。
「やはり、トランポリン大統領は、極悪宇宙人だったのか……」
ここは、国連本部地下にあるWEF本部。
モニターから流れる映像を食い入るように見つめながら、山桐はマイクに向かって叫んだ。
「近田隊員、本郷隊員、神楽坂隊員、宮坂隊員、聞いたか?」
佐内からの連絡が途絶え、救出のためホワイトハウス地下に潜入していた近田、本郷、瑠璃は、即座に答えた。
「はい。」
日本のWEF-Japan基地にいる宮坂も、同時に返事をした。
「はい。」
佐内のWEFユニフォームの胸ボタンには、小型カメラが仕掛けられており、その映像がWEF本部にリアルタイムで送られていたのだ。
もちろん、WEF本部には各国のWEF隊員も集まっており、その情報は各国の支部に瞬時に流れていた。
瑠璃は、心の中でつぶやいた。
「やはり、ファイターマンの言う通りなんだわ……。
目の色が金色でおかしいと言ってたものね。」
そして、瑠璃は山桐の命令を理解した。
「近田隊員、本郷隊員、神楽坂隊員、他国のWEFと協力して、佐内隊員を救出せよ。」
「ラジャー。」
早速、近田、本郷、瑠璃は、他国のWEF隊員数名と共に、ホワイトハウスの裏口へと向かった。
しかし、その裏口の前には、数人の警備員が立っていた。
その警備員たちは、顔が青白く、生気を感じさせない表情をしていた。




