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中国の首都、北京に突然、大きな宇宙生物が現れる。
まるで大きなボールのようにまん丸だが、竜のような顔と手足、長い尾を持っている。名づけるなら竜球だ。
その姿は、天安門広場の上空に巨大な影を落とした。人々は最初、何が起こったのか理解できなかった。しかし、その異様な姿と、空気を震わせるような低いうなり声に、恐怖が急速に広がる。
「あれは何だ!」
「空が割れたのか!」
悲鳴が響き渡り、人々は我先にと逃げ惑い始めた。
王府井の賑やかな通りは、一瞬にしてパニックの渦と化す。土産物屋から人々が飛び出し、タクシーは急ブレーキを踏み、自転車は倒れ伏した。
高層ビルの窓ガラスが、その巨大な影に揺れているように見える。故宮博物院の荘厳な屋根の上にも、その異形の影が覆いかぶさる。観光客も地元の人々も、ただひたすらに安全な場所を求めて走り出す。子供の泣き声、大人の怒号、そして遠くで鳴り響くサイレンの音が混ざり合う。
北京の街並みが、一瞬にして非日常の光景へと変貌した。宇宙生物は、ゆっくりと、しかし確実に、地上へとその巨体を近づけていく。その巨大な尾が振り下ろされるたびに、地面が揺れ、瓦が跳ね上がる。
そしてついに、竜球の前足が故宮の外壁に触れた瞬間、
「バリィィィン!」
と、乾いた破砕音が響き渡った。赤い城壁が大きくひび割れ、数百年の歴史を刻んだ瓦屋根が崩れ落ちる。
宇宙生物は、その音にびっくりしたように、一瞬身体を震わせた後、次の瞬間、巨大な尾を横薙ぎに振り払った。尾の一撃は、太和殿の屋根を根こそぎ吹き飛ばし、金色の装飾が空中に舞い上がり、陽光を反射して散り散りに砕け散った。
柱は折れ、梁はねじれ、歴史的建造物はまるで紙細工のように崩壊していく。
「故宮が……!」
「やめろ、やめてくれ!」
逃げ惑う人々の叫びが響く中、竜球はさらに前進し、太和門の巨大な門扉を踏み潰し、瓦礫の山を作りながら進んでいく。
かつて皇帝の威厳を象徴した壮麗な建築群は、宇宙生物の無慈悲な動きによって、次々と破壊されていった。
北京の空には、舞い上がった赤い砂塵と瓦礫の粉が渦巻き、歴史と文化の象徴であった故宮は、瞬く間に無残な姿へと変貌していくのだった。




