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黄昏のパリは、まるで絵画の中に迷い込んだような静けさに包まれていた。セーヌ川は夕陽を受けて金色に揺らぎ、石畳の道には街灯が淡く灯り始める。エッフェル塔は夜の帳を迎える準備をするかのように、鉄骨の隙間から柔らかな光を漏らし、カフェのテラスでは人々がワインを傾けながら談笑している。ルーヴル美術館のガラスのピラミッドは夕陽を受けて宝石のように輝き、シャンゼリゼ通りには観光客が行き交い、凱旋門は静かにその威厳を保っていた。
しかし、その穏やかな景色は突如として揺らぎ始める。
セーヌ川沿いの街路樹が大きくしなり、地面が低く唸るように震えた。人々が不安げに足を止めた瞬間、エッフェル塔の向こう側から、巨大な影がゆっくりと姿を現した。
それは、巨大なヒトデのような形をした宇宙生物ヒトデナシだった。複数の腕のような突起が、建物の屋根を軽々と押し潰し、石造りの街並みが次々と崩れていく。逃げ惑う人々の悲鳴が広場に響き、観光客も地元の人々も、ただ必死にその場を離れようとする。ノートルダム大聖堂の前の広場では、ヒトデナシの巨大な影が大聖堂の壁面に覆いかぶさり、歴史ある建築物が大きく揺れた。周囲の人々は恐怖に駆られ、橋を渡ってセーヌ川の対岸へと逃げ込む。
だが、ヒトデナシはその動きに反応するかのように、腕のような突起を伸ばし、逃げる群衆の進路を塞ぎ、人を捕まえ、体の中心にある大きな口に運び、食べ始めた。ヒトデナシの口からは、食べた人間の血しぶきがこびりついている。人々は散り散りになり、街は一瞬にして秩序を失っていく。オルセー美術館のガラス窓が衝撃で砕け、シャンゼリゼ通りの並木道は倒れ、パリの街はあちこちに骸が散乱する地獄絵巻となった。




