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錬金失敗で幼女になった元魔女、弱小クランで胃袋を掴むことにしました  作者: サエトミユウ


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第4話

 扉から入ると、そこはオシャレ食堂もしくは大衆カフェだった。

 カウンター席、テーブル席、ソファ席とあり、カウンター席の奥が厨房だ。

 何人か人がいて、めいめい座っている。

 一人、少年がこちらを見て……あ、二度見した。

 それだけじゃない、立ち上がった。

「おい、リーダーッ! 何を拾ってきたんだよ!?」

 リーダーと呼ばれたスミスさん(偽名)は、頭をかいた。

「ハハハ。かわいいだろー?」

「隠し子とか言いだすのか!?」

 って言われてるよ。ショックを受けるスミスさん。

「彼女でーす」

 って言ってあげた。

「……お前、優しい! 俺と付き合っちゃう?」

「浮気をしなければいいですけど」

 って答えたら笑って誤魔化された。じゃあナシで。


「じゃあ、なんなんだよそのガキは!? まさかクランに入れるとか言いださないよな!?」

 って念押しされました。

 私が怒鳴っている少年とスミスさんを見比べていたら、

「もちろん、クランに加入させる」

 って言い切ってくれたよ! ありがとうスミスさん!

 会話を聞いていた全員がこちらを見る。

「今日からうちのクランに加入するサーシイだ。プラス、使い魔二匹だな」

「サーシイです、よろしくお願いします! えっと、こっちがパーラで、こっちがプールです!」

 シーン。

 二人ほどは、私を見たけど興味を失ったように顔を元に戻し、一人はため息をついた。

「……スミス。また勝手なことをして、マーロウに怒られるわよ?」

 って言ったのが、コッテコテの女装の人。

「だ、だって、よりにもよってあの石頭、この子を【叡智の尖塔】に入れようとしてたんだぜ?」

 すると、女装さんは再びため息をつく。

 少年は舌打ちした。

「……だからっつって、拾ってくることはないだろうが。誰が面倒を見るんだよ?」

 そこまで小さくはないよ!?

「え、えっとですね。面倒は見てもらわなくていいんですけど……」

「は? じゃあ、どうやって暮らす気だよ。ここで暮らすってことは誰かが面倒を見なきゃなんねーってことだろうが。それで既に面倒がかかってんだよ。なに面倒をかけませんってツラしてんだよ。既に存在が面倒なんだよ」

 って言われました……。

 スミスさんを見上げたら、スミスさんが眉根を寄せてます。

「おい、ソーン」

「言い過ぎか? 俺は非常に当たり前のことしか言ってないと思うけどな。……オイ、今からでもおとなしく【叡智の尖塔】に行けよ。そこならお前の存在が迷惑だろうと、利用価値があるかもしれないって思われるだろ」

「ちょっとソーン。言い過ぎよ!」

 女装さんまで窘めてます。

 でも確かに、ここで面倒を見てもらうのは無理だと悟りました。

「ちょっぴり魔術の基礎を教わったり、錬金の基礎を教わったりはしたかった……けど、ここでもその魔術なんとかでも無理そうなので、料理クランみたいなところを紹介していただければそこに行きます」

 というか、帰ろうかと思い始めた今日この頃です。

 パーラもひとッ言もしゃべんないし。プールに至っては、若干臨戦態勢じゃない? 引っかきそうだわ。


 前世では、親切な町で生まれ育ち、そして運よく店を借りて商売をやっていた。みんな善意ばかりではなかったのかもしれないけど、私は表面にある善意のみ受け取っていたから、その裏なんて読まなかったし実際裏があったのかさえわからない。それでも生きていけていた。

 ……今世の記憶はなく、でもパーラもプールも優しい。そしてスミスさんも優しかったのでついてきちゃったけど、親切な人に迷惑をかけようとは思っていない。

 しかも私、今世では魔女らしく引きこもりだった様子。そして魔女のくせに魔法も錬金も使えない。

 お金はパーラとプールが集めてくれたらしいけど一生暮らせるほどじゃないと思うし、実は家はあるし、通いでこの町に来て、料理クランで修行して、お店でも出そうかなと方向転換した。

 ところが。


「「「「「は?」」」」」


 全員が、私の言葉を聞きとがめた。

 少年が私を指しながら尋ねる。

「何お前、そんなにチビなのに料理が作れるとか言いださないよな?」

「え? 料理くらい誰でも作れません?」

 質問に質問をぶつけたら、傷ついたみたいな顔をされたよ。

「……ま、いいんじゃないの? 面倒はスミスがみるんでしょ?」

 と、女装さんが急に軟化した。

「私はどちらでもかまわない」

「僕も~。決めるのはクランリーダーだから」

 と我関せずっぽい二人が我関せずっぽい発言をする。

 残るは少年。

「チッ! そんなちっこいのにできるワケねーだろ! 俺は反対だからな!」

 そう言って去っていったわ。

 スミスさんは肩をすくめる。

「アイツが何を言おうが、クランリーダーの俺が加入を決めたんだから反対しようが無理だけどな。だからサーシイ、お前はここのクランだ! 料理クランは伝手がないから、料理の修業をしたいならここでやってくれ」

 最後に親指を立てて言った。


          *


「部屋、ホントにここでいいのか?」

「今のところは! 私、ちっこいので!」

 最上階、屋根裏部屋を貸してもらった。

 憧れの!

 屋根裏部屋を!

 天井が斜めだわ。天井に窓があるわ。そして扉があって屋根に出られるわ!

 ソファを運び入れてくれたので、ちっこい私にはじゅうぶんなベッドになった。

「……で。さっそくで悪いが、今いるクランメンバーを紹介するから下りてきてくれ」

 ってスミスさんに言われたのでついていく。

「あと、食事は各自調達なんだが……料理できるんだってな?」

「はい。ただ、道具の使い方が違ってたりすると、そこは教わらないとダメかもです」

 とは言った。

 なんせ、前世の厨房の記憶しかないからね……。


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