第22話
夜食は、ニョッキと根菜をお肉の脂で揚げ焼きにしておろしチーズかけたものにした。
ちょっとコッテリしちゃったかな。
ラーメンとか作ってあげたいけど、起きてられないし伸びちゃうし。
聞いた話じゃ全然作れないみたいだから、お湯で麺を茹でるとかも無理そう。
「作り置きは、どーしても食べたいってときはいいですけど、こっちは絶対に食べないでください。パーラとプールのキープ分ですから、絶対ダメですよ」
「「「わかった」」」
今日の夜食を食べるチームのオタクさんとインテリさんとタラシさんがうなずいた。
それを、ヒソヒソ話しながら女装さんと美人さんが見ている。
食べたいなら分けてもらってください。
ちょっと悩んだけど、小鍋に野菜とお肉とショートパスタを入れて煮た。蓋をして、お盆にお椀とスプーンを添える。
「あ、あの。スミスさんの部屋って……」
タラシさんにコッソリ聞くと、タラシさんが苦笑して教えてくれた。
ノックしたら、しばらくして小さく扉が開き、その後大きく開いた。
「あの、あの。調子が悪そうだったから……」
スミスさんが苦笑する。
「いや、悩んでるだけで調子は悪くねーよ」
「そ、そうですか……」
「せっかくだから、入りな」
「あ、はい」
入ったら、パーラとプールも当然のように滑り込んできた。
スミスさんはお盆を受け取りサイドテーブルに置く。ベッドに腰掛けると、私を見て尋ねた。
「具合が悪そうだから、夜食を持ってきた?」
「体があったまる感じの、スープです。食べて、汗をかいて、それで寝たら治るかなって」
スミスさんが私の頭を撫でる。
「あんがとよ。……その優しさを、ソーンにも分けてやってくれよ」
「それは……」
「ダメですね。許しません」
と、パーラが断った。
「……私にとっては、私の使い魔のふたりが一番なので……」
「だよな。……それに、今朝の今日だもんな。早すぎるか」
パーラとプールがうなずく。
「でも、たった一日でソーンがかなりへこんで反省した。一晩経ったらもっとだろ。そのうち、『死なない程度にボコボコにしていいから許してくれ』って言ってくるだろうから、そうしたら許してやってくれよ、な?」
パーラとプールに訴える。
パーラとプールが私を見て、渋々とうなずいた。
「ご主人様はあなたに恩を感じているので、今回はあなたの顔を立てて許しましょう。でも、まだ早すぎます! 簡単に許したらつけあがりますよ、あの下郎は!」
「グルルル」
パーラの意見にプールも同意している。
「わかった、区切りがあるならいいよ。このままだと本気でまずいからな」
ってスミスさんが言った。
心なしか顔色も良くなったみたい。心労だったか。
「……私の食事くらいで大げさだなあと思ったりもしますけど、この町の食事事情もあるようなのでそれなりに厳しい罰だったんだなとも思い直しました。でも……。聞いた話だと、今回パーラとプールがハッキリと告げただけで、そもそも不和はあったと思いますよ」
スミスさんが苦い顔をした。
「……わかってる。だから喧嘩を禁止した。言い合いになったら壊れるからな」
「でも、言われっぱなしで、言われたほうは傷ついて我慢しているのはよくないんじゃないですか?」
「そこまでやわじゃねーと思ってる。俺も他の連中もな」
つまり、柔い人を守るための喧嘩禁止ということか。
「その、スミスさんの守っている柔い人は、喧嘩しないんですか?」
「本人は喧嘩を売ってるつもりも買ってるつもりもないんだよ。サーシイと一緒だ」
「私!?」
なんで!? 売っても買ってもいないもん!
スミスさんが笑う。
「そら、気づいてねーじゃん」
「うぐ。……わかりましたー。じゃあ、その辺はいいです」
確かに、売っても買ってもいないと私は思ってるけど相手によっては売りつけられたり買われたりしているって思っていたら困るわ。
「サーシイがメンバーと仲良くやれてるようで、連れてきてよかったって思ってる。ソーンについても、サーシイ自体はまるで気にしてないしな」
「困ったオジサンだなって思ってますよ。それだけです」
「……俺、アイツと一つしか変わんねーんだけど」
「スミスさんはカッコいいお兄さんです!」
そこは断言する。
スミスさんが私の頭を撫でくり回した。
「サーシイが、あと十歳くらい年くってたら惚れちゃったぞ?」
「フッ。罪な女ですね、私」
そう言ったら爆笑されたよ。
「じゃあ、そういうことでよろしくな。俺もできるだけ反省させるように持っていくから」
「次はありませんからね!」
「なーん!」
と、パーラとプールが返した。
部屋を出るとき、ふと振り返る。
「――私が千六百歳ほど歳をとってたらどうします?」
「は?」
スミスさんがキョトンとして聞き返してきたけど、そのまま扉を閉めた。
「? 私、どうしたんだろ?」
急に言いたくなったんだけど。言った後で我に返ったわよ。
「ご主人様……?」
「ミャー……」
パーラとプールも驚いたようで、私を心配そうに見つめていた。
「いや気にしないで。私もわかんないし」
なんでしょうかね。厨二病が発動したかな? 六歳児だけど。




