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錬金失敗で幼女になった元魔女、弱小クランで胃袋を掴むことにしました  作者: サエトミユウ


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第2話

 さて。

 町へ出ることは決まった。

 この家にあるものはサッパリわからないので持っていくものはないかと思っていたけど、

「鞄くらいは持っていきましょうよ!」

 って言われた。

 そうだね。鞄とハンカチくらいは持っていくべきかな!

 とはいえ、戻ってくる予定なんだけど。

 って考えてたら、

「知らない女の子が一人で歩いてきて、買い物をしたらどこかへ消えたら不審がられるでしょ? 戻ってくるにしても、町にも拠点を作らないと」

 ってパラスウ改めパーラに諭される。

「……でも私、見た目完全に女児じゃない? 親がいると思われるでしょ。郊外に住んでるとかいう設定にしようかって思ってたんだけど」

「郊外ってどこの郊外ですか。町以外に人が住んでたら怪しいんですって。親無し記憶無しでこの町にたどり着きました、のほうがあるあるですよ」

 って言われたよ。

 そうなんだ……。前世の記憶からすると、女児が一人で歩いているのがまず怪しいけどね。

 どのみち、親はいないし記憶もない。それは本当。

 どこから来たのかもわからない。名前だけがわかる状態で、どこまで通用するか試してみましょう!


 ということで、町に住む方向性で考える。

 女児だと宿にも泊まれない気がするけど、ダメなら帰ればいいし。食料を買って帰ろう。

 そしたらパーラも諦める気がする。町へ行く半分くらいは、パーラが行ってほしそうだからって理由だもん。


 ポシェットとボストン鞄にパーラとプールが持っていくものを詰めた。お任せするしかない。何がどこにあるかすらわからないから。

 服は大人用しかないらしいので、パジャマ代わりになりそうなフレンチスリーブのチュニックを一枚だけ入れてもらい、普段着は町で買うことに決めた。

「いざ、出陣!」

「おー!」

「なーん!」

 扉を開け、勇んで歩いた。


 で、今ココです。

 どこだって? 町の中だよ!

 町にはなんの問題もなく入れた。

 前世の町と違うのは、壁で囲まれていたってとこ。

 なるほど、郊外が通じないね。

 町への入り口には門があった。

 前世とは全然違う、石造りの町並み。

「えーと……。ドコへ行けばいいの?」

 キョロキョロしていたら、パーラが教えてくれた。

「まず、身分証を手に入れましょう!『ギルド』ってところに行けば、さまざまな受付をやってます! そこで相談すれば最適解が得られますよー」

 なんだろう。

 このパーラのナビゲーションピクシーみたいなアレは。

「ゲームっぽいなあ。ま、いいけど」

「ゲーム? なんですソレ?」

「気にしないで。ギルドに行こう」

 ナビゲーション鴉パーラの言うことを聞こう!


 パーラに案内してもらってギルドへ行った。

 ギルドは、総合案内所兼役所みたいだなって思った。

 まず受付の女性に相談する。

「えっと……。親がいなくて、記憶もなくて、ここに来ました。お金はたぶん持ってます。魔法とか錬金を教えてもらいつつ働こうかなって考えてるんですけど……あ、その前に身分証がないんですけど」

 そう言ったら、受付の女性は気の毒そうな顔になった。

「それは大変ね……。襲われたの?」

「違います。っていうか、覚えてなくて、道を歩いてここにきました」

 支離滅裂だが嘘は言ってない。

「……そうね……。年齢はわかる?」

「ろっぴ――」

「ご主人! 六歳でしょ!」

 パーラに遮られた。

 そこで受付の女性に驚かれた。

「もしかして、使い魔!?」

 あ、わかるんだ?

「らしいです」

「お嬢さんの?」

「らしいです」

 記憶がないのでマジわからん。

「そうですよー。彼女がご主人様です」

「あら。すごいわね。もしかしてご両親もしくはどちらかが魔術師だったのかしら」

 魔術師。

 魔法使いじゃないのか。

「……わかんない。覚えてないから」

 ありがたいのかありがたくないのか、今世の記憶は親もない。逆行したんじゃなさげなのは、見た目六歳……よりも幼そうなのに、幼少の記憶すら持ってないこと。

 マジで前世の記憶しかないのよ。ただ、言葉はわかるし文字もわかる。パーラとプールの名前を忘れてたけど、飼ってたのも覚えてる。

「そう……。じゃあ、提案するわね」

 と、受付の女性が優しく言ってくれた。


 まず、使い魔がいるということは、魔術師の素養があるはずだということ。

 錬金術についてはまだわからないが、これは勉強して学んでいくらしく、学ぶにはお金がかかるとのこと。

 よその町には魔術を学ぶ学校もあるが、まだ入学できる年齢ではないということ。

 親がいないのなら、何か働かないとお金がなくなるだろうこと。

「奨学金で学校に行くにしても、どちらにしろお金がかかるわ。一番は誰かの弟子になることだけど、伝手がないと難しいの。だから……一番のおすすめは、クランに入ることね」

「クラン」

 私が繰り返すと受付の女性がうなずいた。

「同じ目的を持っていたり、あるいは進む進路が同じだったり、理由はさまざまだけど、グループを作ってその仲間で助け合うのよ。クランに加入していると優遇されるし、いろいろと便利だからみんな必ずどこかのクランに入っているわ」

 つまり、複数あるってことか。

「魔術なら魔術研究クランの最大手、【叡智の尖塔】かしらね。錬金術のクランは加入にお金がかかるし、さらに研究発表や月謝もかかるからオススメしないわ」

 すごいなクラン。前世のナントカ会みたいなのかな。会員費とか取るアレね。


 で、クランに加入したい場合、いろいろな検査をして、検査結果をクランに送るそうだ。

「じゃあ、さっそく――」

「ちょちょちょ、待てよ。そんなちっちゃいのに正規検査を受けさせる気かよ、お前、正気か?」

 って、後ろから男性の声が聞こえてきた。

 振り返ると、私から見たら青年だけど私の見た目年齢からするとオジサンが呆れ顔で立っている。

 受付の女性は急に無表情に変わった。

「そうは言っても、『規定』です」

 抑揚なく言い切る。

「身分証の発行だけなら、簡易検査でいけるはずだ。特に、『基準範囲外の年齢の場合』ならよけいにそうだろ」

 受付の女性が黙る。

 私は二人を見比べた。

 どういうこと?


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