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放課後の生徒会室。ほかの生徒会役員は、作業を終えた人から帰って行った。残っているのは私と花菜さんの2人だけだ。
「花菜さん、終わりそうですか?」
私はなるべく明るい口調で花菜さんに声をかける。花菜さんはそれに応えることなく、うつろな目で窓の外を見ていた。
「花菜さん」
もう一度花菜さんに声をかける。
「ああ、ごめんね。ここまでやったら今日は帰ろうか」
取り繕うような笑顔を見せて花菜さんは私に言った。
「⋯花菜さん、何か私にできることは無いですか?」
「玲ちゃん?」
「花菜さんは、ずっと何かを抱えていて、それでも笑顔で⋯私は、そんな花菜さんの隣にいたかった⋯」
私は、花菜さんの哀しみや孤独と共鳴しているつもりだった。でも違う。自分の鬱屈を少しでも晴らすために、ただ花菜さんを利用していたに過ぎなかった。
私は今までの想いが身体中から、溢れ出てくるのを抑えられなかった。
「私はっ、花菜さんが⋯好きです⋯だから⋯私にも⋯貴方の枷を分けてください⋯あの男じゃなく⋯私に⋯」
花菜さんは、驚きを隠せずにじっと私を見た。
「玲ちゃん、ありがとう」
諦めたような、穏やかな花菜さんの微笑み。
⋯わかってた。私の『好き』は花菜さんには決して届かない。
「ごめんなさい、私、先に帰ります」
私は荷物をまとめて、急いで生徒会室を出ようと扉を開けた。
「⋯玲⋯」
そこには拓海が立っていた。
「ごめん、花菜が心配で来てみたら、お前らが話しているのが聞こえて⋯」
拓海は複雑な表情を見せた。
「玲!」
拓海の呼ぶ声が背後で聞こえたが、そんな拓海を置き去りにし私は走った。
⋯中庭のベンチで、いつものように花菜さんを待っているあの男に会うために。




